平和の終わりとオーポネント、気づかれることのない恋
一週間が経過した。相変わらずビカサルは平和だ。しかし、ビカサル帝国議会はというと……
「総員、配置につけ!」
「ハッ!」
「サティア、頼んだぞ。ほかの者は援護を!」
「わかった!」「了解!」
帝国議会領には、活性化した魔物たちが襲ってきていた。議会から警告信号が出たことを聞き、俺たちがレクナス領から駆け付けたのだ。
「食らえ!」
俺は右手を突き出す。するとあたりが光であふれ、魔物達が消滅していく。
「よし!この調子だ!」
次も。その次も。そのまた次も。なんど追い払っても魔物は全滅しない。
「くっ……いったいどんだけいるんだよ。」
そろそろ腕が痛くなってきた。もう、あれをやるしか……
「よし!行くぞ!」
俺はとりあえず、異能で敵を倒しつつ敵軍の中心に行った。
「おい、なにをする気だ!」
「大丈夫だティナ!あとそれ以上近づくと危ないぞ!」
さぁ、大丈夫、俺ならできる!!
「エクスペンティブジョン!」
俺の周りで炎の大爆発が起こる。そうだ、前に出した異能の一つだ。呪文がわかって、また使えるようになったのだ。しかし、困ったもんだな……。今回全くマナを消費していない状態だったので、マナを使い切ってしまうとなると……。
「サティア!?大丈夫か!?大丈夫か!?……」
だんだんと声が遠のいていく。そして、消えた。
「ん……」
「お、サティア、起きたか。」
んーと俺の真上の方向からティナが見つめていて、地面と違う感触……ってまさか!?
「はっ!……なんでひざまくら?」
俺は飛び起きて聞いてみた。
「そっそれは……サティアは動かないし、地面に寝かせておくのもあれだったから……べっ別にやりたくてやったわけじゃないからね!?」
あーはいはいそーゆーのいいです。
「もうちょっと……寝てていいから……。」
……彼女は頬を赤らめ、顔をそむけて言った。かわいいなおい。
「わかったよ。」
俺はそんな誘いを軽く受ける。そういえばおれ、魔王軍と戦ってたっけ。
「何があったの?」
「えっとね……サティアが魔法を打って、周りにいた魔物は全員死んだよ。それどころか、私たちも巻き込まれたけどね。」
「ごめん……」
「謝らなくてもいいのよ。魔物は全員倒せたし。」
「魔物って、どこからきてるんだ?」
「オーポネントよ。」
「おーぽねんと?」
「そうよ。詳しいことは分からないけど、私たちは魔王軍をそう呼ぶ。魔王が生きてる限り、魔物は絶えないわ。」
「なにそれ、チートじゃん。」
「でも、魔王を一回倒せば済む話よ。」
「確かにな。……また寝てもいい?」
「いいわよ。心行くまで寝て。」
「ありがとう。」
俺は目を閉じた。
* * *
「ふぅ……。」
今は夜。サティアとの会話が終わったのが夕方だから、三時間くらいかしら。
「私も寝ようかな……」
サティアと一緒に寝る。それは今のわたしにはハードルが高すぎるかもしれない。でも、今しかない。
「……おやすみ、サティア……」
私は、かなりの罪悪感とともにサティアを地面に降ろし、自分もその横に寝た。
「……」
そしてわたしは、サティアの頬にキスをした。
「ん……」
一瞬サティアが起きたが、大丈夫だったようだ。私も寝よう。
そしてこの夜のことを、サティアが知ることはなかった……はず……。




