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お前ちょっと魔王ぶっ倒してこい  作者: 猫面人
第一章 魔王オーディン編
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九話 必殺虫籠殺法

 敵は俺を殺さんとわんさか押し寄せてくる。取り囲まれた。今は一定の距離を開けて様子を見ている。騎士達は後ろへ下がってしまった。オルタスやマイケルを警戒して、兵士と兵士の間に騎士は居る。ちょうどバームクーヘンみたいな形になっている。

 さて、多重に囲まれている訳だがどうしようか、切り込もうにも、この3メートル程の距離が厄介だ。こちらから動けばすぐに反応されてしまうし、俺は後ろまで気を配らなくてはいけないから集中が落ちる。どうしたものか。

 周りを見渡す。兵士や騎士しか見えない。いや、少し上を見ればロザリンドとハルがいる。疲れきった表情をしている。ふむ

「ロザ!!援護を頼む!」

 敵に緊張が走る。何人かは櫓を警戒し始めた。しかし最前列はしっかりと俺から目を離さない。

「何をしたらいい?」

 言ったら対応されないだろうか?ふむ、仕方あるまい。

「囲め!俺ごと俺を狙う敵を全て囲め!!この隙間を埋めてくれ!」

「わかった!バリア!!」

 敵は櫓を見たままだ。あれ?騎士が鎧を脱いだようだが、兵士と騎士の区別がつかなくなってしまっている。彼ら、それぞれ剣術が違うようだし、戦い方もまるで違う。これは戦いづらくなったな。

 ロザリンドのバリアが敵と俺を囲んだ。ちょうど円形になっている。そのバリアの壁が少しずつ狭くなってくる。壁の縮小に合わせて敵が押されてきた。

「なっ!バリアを移動させるだと!?人間の魔力でそんなことできるはずが!!」

 なんか喚いてるが、斬りやすくなった。もう一メートル先まで迫っている。しかも、押されてバランスを崩しているものまでいる。

 俺は刀を振り回した。最前列にいた敵が死ぬ。適当に突っ込んだ。横に薙いだ。勢いを殺さないように上段に運んで振り下ろす、そのまま地面ごと斬り身体を返して斬り上げる。刀を振るう度人が死んでいった。大量の虫を入れた籠に天敵となる生物を放り込んだかのような状況だった。

 半分程減らしたらかなり動きやすくなったようで、ようやく敵が反撃を開始した。

 しかしパニックに陥って、味方を斬る者が数名。それらは味方によって全て殺された。剣術を見るに、斬ったのは全て騎士。斬られたのは兵士だ。

 残り70。騎士がさっきと変わってなけりゃ23。他は全部兵士か。

 とりあえず近くにいた敵兵士を斬った。

「さぁさぁ、次はどいつだ?誰が俺を殺すのだ!ほらほら、怯えてたって状況は変わらないぜ?」

 騎士は平気そうだが、兵士に恐怖心が宿った。しかし、心をコントロールし、すぐに落ち着く。良い兵士だ。

 兵士の戦い方は集団戦。数ではなく連携で敵と戦う。対集団に最も力を発揮する。対して騎士は1対1での戦闘に向いている。敵の攻撃を受け止めかわし反撃のチャンスをうかがう。どちらも強敵に思える。バリアももう縮められない。しかし、彼ら騎士と兵士がごちゃ混ぜになった状態で戦えるのだろうか。この集団の中で、騎士は連携ができない。

 敵が攻撃を仕掛けてきた。突きの体制のまま突進してくる。一回転しながらかわして、回転を利用して一人二人と斬る。今のは全て兵士か。騎士はバラバラに攻撃を仕掛けてきた。こちらは敵の動きに対応しながらまた一人二人と斬っていく。

 どんどん敵の数が減っていった。兵士と騎士とで足を引っ張り合う所もあった。しばらく斬っていると、虫籠の中には俺以外居なくなっていた。


 ロバートはバリアの中の戦いを見て、ただ突っ立っていた訳ではない。命令を下してはいたのだが、バリアに阻まれて声が届かなかった。そして、全滅を見届けた。

 あまりの出来事に呆然と立ち尽くした。だがすぐに己を取り戻す。あの筋肉は?ーーまだ戦闘中だ。しかしもうこちらの兵は半分になっている。オルタスは?ーー居ない!クレイモアが地面に刺さっている!もう戦闘が終わっているのか!!

 背後に気配を感じ、すかさず回避。ヒュンッ!という鋭い音が頭上を掠めた。

「ようロバート。元気そうだな」

 オルタスだった。三年前と変わらぬ言葉で再開を果たす。

「おう、お前も3日で副団長止めたようにはみえねぇな」 

 ハッハッハとオルタスが笑う。しかし、目は笑っていなかった。

「だって副団長ってよ、書類仕事ばっかじゃねえかよ。飽きるわ」

「ふん!騎士の誇りの欠片も無い奴め」

「騎士の誇りだぁ?か弱き一般人の親子を手に掛けて、よく言えたもんだなぁてめぇ!!」

 オルタスが首を狙ってナイフを振る。ロバートはこれを難なくかわし顔面への蹴り。オルタスは吹っ飛んだ。

「危ない危ない。東方不敗のおかげで助かった。今俺が鎧を着たままなら死んでいた。さすがだな」

 ロバートは馬さえ降りて戦闘の準備をしていた。東方不敗に馬をやられたら完全に終わりだからだ。

「クソ!クソクソクソ!!てめぇロバートボゲェ!!ぜってぇ殺してやる。できるだけ苦しませて殺してやる。てめぇは一度も俺に勝ったことねぇ雑魚だからな。楽勝さ」

「勘違いするなオルタス!あの頃よりも俺はずっとずっと強くなった!!今はお前よりも強い!」

「さぁて、どうだか」

 ロバートはランスを構える。オルタスも立ち上がりナイフを構えた。

 2人の戦いが始まった。


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