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お前ちょっと魔王ぶっ倒してこい  作者: 猫面人
第一章 魔王オーディン編
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八話 重い鎧

 オルタスによると敵の数は、城詰めの兵が二百、騎士団が五十人。騎士はよっぽど強いらしい。並みの冒険者百人束になっても倒せないとか。兵士も強いらしいが実感が湧かない。しかし数が多いから油断はできない。

 ロザリンドは櫓に登りきった。ハルが登ってくる敵を落としていく。櫓からロザリンドが魔法で攻撃するが、騎士団にはあまり有効打を与えられずにいる。

 マイケルは櫓周辺で戦闘。ロザリンドとハルの負担を少しでも軽くするためだ。襲い来る兵士達の剣の嵐をかわしながら反撃を入れている。強い。今も右ストレートが敵の顔面に炸裂した。兵士が吹っ飛ぶ。初めは筋肉の力だと思っていたが、恐らく魔法で強化もしているのだろう。今は上手く立ち回っているが、しかしそう保ちそうにない。

 オルタスは身の丈程もある剣にヒートのエンチャントをして、それを軽々と振り回し騎士の鎧ごとバッタバッタと斬っている。

 俺はというと、野太刀をとにかくブンブン振り回していた。当たれば死ぬが、どうしても単調な攻撃になってしまい、軽装の兵士にかわされてしまう。刀が重いのだ。

「クッソ!」

 振り下ろした刀をかわされ、敵兵が剣で突きを放ってくる。かわせない、まずい。

「もらったぁ!!」


 火力は落ちるが仕方ない。俺は野太刀から手を離し、太刀を抜いた。

「なっ!戦士の魂を手放した…!?」

 一瞬動揺した兵士を斬る。手にイヤな、でもどこか懐かしい感触が伝わった。周りの兵士にも動揺が伝わる。

 全てかわさなければならない野太刀と比べ、ガードができるのでだいぶ楽になった。

 騎士団の戦闘は、ガード主体のようだ。重たそうな鎧を着ているからだろうか?だとしたら

「オルタス!代われ!」

 俺は兵士たちの相手をしながら、野太刀の回収の機会をうかがっていた。

 「あぁ!?今忙しい!!」

 そりゃそうだ、しかし、疲れてきた。どう考えても敵の数が多すぎる。数に押されて負けるのがオチだ。さっきオルタスの腰にナイフがあったのを確認した。オルタスなら軽装の兵士相手にも上手く戦えるだろう。俺はダメだ、振りが遅い上に単調で当たらない。太刀なら斬れるがだいぶ力がいる。このままでは皆死ぬ。いつかマイケルが倒れたら、押し止められていた敵がわんさかとハルとロザの下へ向かうことになる。そうなってはいずれ限界がくる。

 嵐のような剣に対応してはいるが、いい加減限界だ。そうだ、

「ロザ!!援護!!」

 俺の声を聞いたロザリンドは魔法を放った。

「フレア!」

 俺の周りに火が降った。敵兵が焦げて死んでいた。肉の焦げる臭い。

 よし、刀を拾える。走って拾って、そのまま敵の壁が薄い所へ突撃、かわされた。

「おっと!」

 かわしながら突きを入れてくる。恐らくこれが彼らの剣術。軽装で攻撃をかわし、一撃で仕留める為の突き。もう見切った。

 突きの合間を縫って蹴り。顔面にヒット。しかし浅く、よろめいただけだった。だがそれで十分。バランスを崩した所へ刀を返す。スルリと両断された。

 勢いを殺さないように刀を振り回しながら突撃。オルタスのそばまでたどり着いた。

「お、おい!こっちくんなよ!!」

「うっせぇボゲェ!!こちとら命かかってんだよ!!!」

 騎士に向けて斬撃。やはりガードの体制になる。

「貰った!」

 騎士の首が落ちた。

「オルタス、俺を魔法強化できねぇか?」

「あぁ!?なんだってしょうがねぇな!」

 オルタスが騎士の相手をする片手間に、俺に手をかざした。その瞬間、力が漲ってきた。

「サンキュー!お前は他の兵士の相手をしてくれ!」

「お前にできんのかよ!?」

 横に薙いだ。今までとは比べものにならないスピードで、目の前にいた5人の腰から上が無くなる。

「任せろ!」

「あ、あぁ」

 オルタスは剣の嵐をかいくぐり兵士の集団に向かっていった。

「ひ、ひいぃぃい」

 敵の騎士が怯えた声を上げる。そりゃそうか、目の前で同僚の腰から上が吹っ飛んだんだから。構わず斬りまくる。重たい鎧で逃げることもできず、ただ斬られていった。

 マイケルはまだ疲れを知らず戦い続けている。なんてスタミナなんだ!!ロザリンドは騎士への攻撃を諦めて兵士に攻撃しているが、どうやら疲れきっている。ハルも同様だ。

 オルタスは巨大な剣をしまってナイフで応戦している。オルタスの周りではどんどん兵士が死んでいく。

 俺は野太刀を流れるように振り回し、なにもかもを斬りまくっていた。流されるように騎士達が死んでいく。


 この状況はまずい。そう思ったのは王立騎士団団長、ロバートだった。ハジメと騎士の戦闘状況を見て、すぐに命令を飛ばす。

「団員はすぐさま鎧を脱ぎ捨てよ!!東方不敗には無意味だ!!ガードではなく全ての攻撃をかわせ!!付近の兵士達は騎士団への援護に回れ!!オルタスとそこの筋肉には少数精鋭で当たれ!櫓の二人は疲弊しておる!無視だ!他は全て東方不敗に向かえ!!殺せ殺せ!東方不敗の首を獲ってこい!!!」

 相手は少数、例え囲まれても問題ない。そこまで被害は出ないだろう。騎士団も兵士と同じ軽装ならば、東方不敗の剣もかわせると思っている。実際ロバートには剣筋が見えているし、騎士もそうだった。数で押し切れば何とでもなるはずだ。

 しかしこれが、さらなる戦況の悪化に繋がる事になる。そうロバートは敵を甘く見ていたのだ。

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