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プロローグ 「始まりと終わりの物語」
――もうっ、いい加減にしてっ!
ふと耳元に響いた懐かしい声は、厳しくスイを叱りつけるような、そんな声だった。
鋭利な刃、まるでそいつはそれが自身に向けられたものだとわかっていたかのように穏やかな表情で、しかしその一撃を避けようともせず、ただ、自身の死を受け入れるかのようにして散っていった。
***
憎い……あいつが……あの、『英雄』が……
処刑台の前に立たされた青年。
民衆からの罵詈雑言、それだけが青年の耳に届いていた。
こいつらは何も知らない。英雄のことも、『英雄』のことも、そして、俺の事すら――
――ありがとう……、スイ。僕を殺してくれたのが君でよかった……。
死に際、その青年の脳裏によぎったのはこの結末を招いた元凶――『英雄』の最期の言葉だった。
憎い……憎い、憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い――
「なんでっ………」
紺髪の青年、スイの人生最期の一言は処刑人の振り下ろした剣によって遮られたのだった。
人生の最期の最期、水色髪の男がこちらを向いて穏やかな笑みで何か言っている気がした。
ただ、その言葉すらもわからないまま、『英雄殺し』は観衆の前で首を刎ねられ絶命した。
スイ、次は君の番だ...…
何万回も聞いてきた憎い声、幻聴とともに…
そうしてスイの意識は永遠の闇へと深く沈んでいった。




