第17話 お買い物
「おい!お~い!起きろ!起!き!ろ!」
「ん〜………うるせえなぁ朝っぱらから騒ぐなよ」
ナツキに起こされた。
今日は昼まで……なんなら24時間寝るつもりだったのに、人のおやすみタイムを邪魔しやがって。
「おはよう」青
「ん、おはよう。服は買って来た?」
「それなんだけどさ、お金ないじゃくん?」青
「あ」
そういえば、昨日の賞金渡すの忘れてたな。
金もなしに買い物行けって言われても無理な話だわ。
これに関しては俺が悪かった。
「ごめんごめん、完全に忘れてたわ。もう目覚めたし、あれなら一緒に行く?」
「それはいいんだけどさ、あの子はどうするの?」青
「1人でお留守番は流石に無理かな?」
「さぁ?」青
本人に聞いてみるのが1番早いか。ナツキと2人で決めるより、全員で話し合ってどうするか決めるほうがいいだろう。
「え!みんな起きてんじゃん!」
「あ、おはよう。お前よく寝たなぁ、もう昼だぞ」青
「マジで?俺の朝食は?」
「あるわけないでしょ昼なんだから」青
そりゃそうだわ、この宿は朝食しか付いてないんだから。食べたかったな、異世界の料理。いや、そんなことよりお留守番どうこうの話だよな。
「俺たち少しだけ部屋空けようと思ってるんど、1人でお留守番できるかな?」
「え?ハルも行くの?」青
「まぁな。それで、どうかな?」
「お留守番………で、できます!」赤
オーラの色が赤に変わった。つまり嘘だ。
でも留守番できないってどういうことだ?部屋でじっとしてられないってことか?それとも、俺達の荷物を盗むとか?どっちにしろ、1人にはしないほうがよさそうだな。
「とりあえず無理そうだね」
「………え?」青
「うっし!誰が行くかじゃんけんで決めようぜ!男気一発勝負で!あいこは同じの出した奴らな!」
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じゃんけんで一人勝ちして服を買いに来た。服屋で、子供用の服一着と帽子だけでは、釣り銭が足りないと言われて、自分たちが着る用の服も含めていろいろ買ったら、ジャイアントボア討伐の報酬が半分近く飛んでしまった。今思えば、店主の口車に乗せられていたのかもしれない。
「どこだよ………ここ」
買い物自体は無事に終わったが、帰る時に道に迷ってしまった。
歩けども歩けども視界に映るのは似たような景色。町中なのに森で遭難でもしたような気分になる。
「あの〜すいません。道をお尋ねしたいのですが」
「ん?ええ、構いませんよ」青
近くを通った白髪の爺さんに話しかけた。
服装的に神父とかそういう人だろうから、この町に昔からいると勝手に思ってたけど大丈夫だよな?
「宿の場所がわからなくて……」
「宿の名前はわかりますか?」青
「わかりません!」
「………」
「馬車の停留所の近くだったのは覚えてます」
「ああ、それならこっちですよ」
爺さんが歩き出した。もしかして宿まで連れて行ってくれるのかな?ええ人や…。
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「ハルのやつ遅くね?」
「迷子になってたりして」
「ありえるわ〜」
わたしは彼らに助けられた。
お父様から逃げて追われていた薄汚い奴隷を何も言わずに助け、事情も聞かずに匿ってくれた。けど、このままじゃ彼らとお父様の衝突は避けられないだろう。そうなれば、たとえ彼らが勇者だったとしても、無事では済まない。
これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
「迷惑とか気にしなくていいからここに居なよ」
この大きくて無表情な人はシュウさん。なぜかいつもわたしが思っていることをまるで心の声が聞こえているかのように言い当てる。
「そうそう、俺らはもうとっくに追われる身なんだから!」
こっちの小さくて元気な人はナツキさん。すっごく鼻がよくて、他人の抱いている感情が匂いでわかるらしい。
「今更って感じだよね」
あっちの……その…なんていうか……あんまり特徴の無い人はトウヤさん。手で触れた人の記憶が読めるって言ってた。本当かどうかは分からない。
「たっだいま〜」
「お、やっと帰ってきた。遅かったね」
「悪い悪い、ちょっと迷子になってた」
お買い物に出かけていたハルさん?が帰ってきた。
「良いのが多くてさ、沢山買ってきちゃった!」
そう言ったハルさん?の影から、両方の手を使っても持ちきれないくらいたくさんの紙袋が出てきた。
「どの服がいい?自分が1番着たい服を選んでね。ちなみに俺のイチオシはこれ」
「じゃあ、それで」
「しゃぁ!!」
ハルさん?が勧めてくれたのは、真っ白なノースリーブのワンピースと麦わら帽子。自分のおすすめが選ばれたからなのか、物凄く喜んでいる。
「ど、どうですか?」
「いいね、最高。誰かカメラ持ってない?この瞬間を永遠のものにしたいわ」
ハルさん?が天を仰いでいる。この瞬間を永遠のものにするって、カメラ?というのはそんなにすごいものなのかな。
「じゃ、行こっか!えーっと、お名前を聞いてもいいかな?」
「フィーアです」
「そっか!俺はハル!よろしくね!フィーアちゃん!」
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フィーアを連れて町へ出てきた。
「なんか、人多くない?」
町が人で賑わっており、露店が立ち並んでいる。今日は何かお祭りでもあるのだろうか。人が多すぎて、子供で他より身長の低いフィーアは周りが見えないのではなかろうか。はぐれる可能性もあるし、いっそのこと抱っこでもしたほうがいいかもしれない。
「うっぷ……」青
「よいしょっと」
「え?あの、ちょっと!」青
「ごめんね、人混みを抜けるまで我慢して」
人混みを抜けた先に、座って休憩できる場所があった。
シュウが人酔いしやすい体質なので、そこで少し休むことにする。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない……」青
「だろうな」
「ごめん……」青
シュウが完全にダウンしてしまった。
どうして外で体調崩した人って謝るんだろう。体調不良は誰も悪くないのに。
「あれ?フィーアちゃんは?」青
「え?」
「いなくね?」青
「はあぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
子供というのはじっとしていられないものだ。目新しい物があれば、目だけでなく身体までもがそれを追ってしまう。だからこそ、子供から目を離してはいけない。これは俺のミスだ。
「あ、いた」
俺達が休んでいたところのすぐ近くにあるおもちゃ屋。フィーアはそこにある白い狼と黒い狼の2匹のぬいぐるみを店の外からじっと見つめていた。
「それ、欲しいの?」
「えっ、いや、その……」青
「可愛いじゃん。こっちの黒い子とか君に似てるし」
似てると言ったが、俺はフィーアがイヌ科の獣人であることしかわからない。このぬいぐるみのように狼かもしれないし違うかもしれない。そういえば、獣人にも犬種とかあるのかな?ゴールデンレトリバーの獣人とか柴犬の獣人とかハスキーの獣人とか。流石にないか。
「買っちゃう?」
「い、いらないです!!!」赤
「ほんとに?お金はあるよ?」
「本当です!!」赤
口では要らないと言っているが、オーラの色は赤。本当は欲しいということだ。俺に遠慮は………するよな。昨日初めて会ったばかりだし。
「あら残念。なら俺が買っちゃお〜っと」
「なぁあんた、ちょっといいか?」青
店の扉を開けようとしたその時、ガラの悪い男達に話しかけられた。
「ん?」
「獣人のガキを探してるんだが、何か知らないか?丁度あんたやそこのガキみたいな黒い髪なんだが、まさかそのガキじゃないよな?」青
俺の隣にいたフィーアが怯えている。こいつらはフィーアを所有していた組織の人間と見て間違いないだろう。
「あはは、この子は僕の妹です。獣人じゃありませんよ」
そう言って俺は、男達にフィーアの帽子を取られないよう、彼女の頭に手を置いた。
「なら、その帽子を取れ。そうしたら信じよう」青
「嫌です。赤の他人であるあなた方の命令を聞く義理はありません」
「いいから取れよ。それとも、取れない理由でもあるのか?」青
話通じねぇなこいつら。女の子のことをこう言うのは気が引けるが仕方ない。
「妹は円形脱毛症に悩まされておりまして、人前で帽子を取ることを嫌がるのです」
「その、えんけいだつもうしょう?って何なんだ?」青
ミスったぁぁぁぁ!!!!
この世界に円形脱毛症は存在しないのか?いや、まだこいつが知らないだけの可能性も………この人数が知らないわけないよな。どうしよ。
「おいハル、どうかしたの………あ」青
「お、お前ら!昨日の!」青
ナツキ達が最悪のタイミングでやってきた。
こいつらは遠目で昨日会った奴と気づいて待っておくとかできないのか?
「テメェこいつらの仲間か!てことはそのガキが探してたガキじゃねぇか!」青
「やっべ、バレた。逃げるぞ」




