表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師、異世界をソロで往く 帝国編  作者: 迷子のハッチ
第7章 終わりの始まり
93/94

第64話・5 南への道(5)

国境はどうするのか、カスミの帝国最後の冒険が始まります。

 その日は8kmほど村道を行くことが出来ました、村は2000mを越える盾の様な山の麓に30軒程が固まって切り立った崖の中腹にあります。

 魔物を狩って生活して居る様で、毛皮や肉などの獲物を干してあり狩人か魔物専門の冒険者のキャンプ地かもしれません。


 村から更に山へ向かって道が伸びていたので、その道も無くなるまで山に近づいてそこで家を出して泊まります。

 今日は12kmぐらい進めたと思います。


 辺り一面の白一色です、雪が積もり森の木も樹氷で白く成っています。

 レタと一緒に家(神域の部屋)に引っ込んだ私は外と中との温度差に体毎溶けてしまいそうです。


 疲れた体を湯舟に浸かって、あったまります。

 今日はカスミちゃんと洗いっ子します、カスミ姉ねは私達に引っ付かれる前に体を洗ってしまっています。


 今日の夕食(朝食)は小麦のパンと人参とグリーンアスパラガスのスティックサラダにベーコンとスクランブルエッグのマッシュポテト付とホットミルクの取り合わせです。

 食卓にはバターと蜂蜜がいつでもどうぞとばかりにツボに入れて置いてあります。


 食後は何時ものハーブティーを飲みながら、ぼんやりとここしばらくのポリッジから献立が離れてサラダとかマッシュポテトになったのはジャガイモが多く取れたのかもしれないとか、季節感が相変わらず無い食事は体の代謝機能を惑わせないだろうかとか考えていると。

 (なに馬鹿な事考えてんのよ、美味しいは全てを超越するのよ by妹)


 さて少し飛空服の出来具合を確かめてから寝ましょう。

 新しい飛空服は敵の飛行機から技術を盗んだ推進器を2基備えている、飛空服になりました。

 推進器を備えている為、翼の強度は前回より上げて作ったので、前回の翼より一回り小さく頑丈になっている。

 翼の展開時の長さは4.5m。

 魔石を使った推進器2基は展開時に翼の根本に設置される。

 その他は前回と同じです。


 この調子なら明日テスト飛空を兼ねて一気に4~50kmぐらい進めそうですね。

 明日(今夜)天気が晴れになりますように。


 夜5時(午後10時)雲が思ったより少なくなっています、朝方に掛けて晴れるかもしれませんね。

 私達は家から出てこれから飛び立つ予定です。

 新しい飛空服を地上に居て展開します。

 推進器のスイッチを入れて、軽く飛空で上昇します。

 思ったより上昇が楽に、そして早くできます。


 地上ではレタ、アイ、ナミとカスミちゃんが手を振って見送ってます、この後カスミちゃんが家に皆を入れてくれるのです。


 推力を挙げていくと、グイグイと上昇する速さが上がっていきます。

 100,200…500mまで15分で上昇してしまいました。

 尾根を越えるため更に上昇します、600,700,…1500m上昇しました。

 30分で1500m上昇です、これまでの最高の上昇スピードです、ここは海抜2500mぐらいの高さになります。


 横を見ます、今日は1人での飛空ではありません、私の横を同じ飛空服を展開させて飛んでいるカスミ姉ねがいます、そうなんです、姉ねも一緒に飛んでくれているのです。


 私を一人にしないと皆が決めて地上の移動はレタが一緒でしたが、どうしても飛空する時は一人になります。

 そこで飛空の大先輩カスミ姉ねが神域の部屋から出て一緒に飛空する事になったのです。

 ただ長時間神域から離れられないので1回に4時間以内と決められました。


 カスミ姉ねとランデブー飛空です、つい笑顔が出てしまいます。


 カスミ姉ねの後ろを飛空していきます。

 水平飛空へ変えて南西へ向かいます、ここまで上がってもまだ高い山が幾つか見えますが飛び越えるのならもっと低い尾根が幾らでもあります。


 久しぶりの好天の中、2人で星空を見ながら気持ちよく飛空を続けます。

 (カスミちゃんは寂しいよ by妹)

 (そう思うのならカスミちゃんも飛空を会得するんだね by大姉)


 2刻(4時間)ほど飛空し降ります、今日はここまでです。

 降りたら一度飛空服のチェックをするから明日はお休みだよと姉ねから言われてしまいました。

 残念ですが、今日の飛空はここまでです。


 2500mクラスの山の深い谷に降りていき、魔物の少ない岩場を今日の塒にします。

 今日だけで60kmぐらい移動出来たでしょう。

 この調子なら国境の町コキュナトスを迂回して国境を越えられるでしょう。


 家に帰ってお昼(夜食)を食べます。


 一日開けた次の日、昨日から雪が降り続き飛空できません、この調子なら夜でも昼でも関係なくなってきました。


 飛空出来る時に飛空します、今は天気の回復待ちです。

 10日近く同じ場所に居ます、天気は相変わらずの雪模様、もうそろそろ雪がやみそうな気がします。

 カスミ姉ねの話では、ビチェンパスト王国の南の海から湿った大気が吹いてきてこのロマーネ山脈にぶつかって急激に冷やされて山脈の南側に雪を降らせるけど、山の間を縫って風が通リそれがここらの盾みたいな山肌にぶつかり雪がいつまでも降るこのような天気になるんだって。


 カスミ姉ねもそろそろ止みそうだと言ってたから明日は飛空出来ると良いな。


 夜の間に風が止んで、当たり一面真っ白です。

 今日は朝から空も晴れて絶好に飛空日和、カスミ姉ねと飛空します。


 今日上昇するのは2500m以上、海抜3000mぐらいまで登ります。

 この先越えていかなければならないのは3000m近く高さの在る高い山々だから、ロマーネ山脈の東の中央山脈を成す高山です。


 60分かけて3000mまで上昇します、ここまで高く上ると周りの山頂が下に見えます。

 カスミ姉ねが先導して飛空していきます、推進力を強めにして時速35kmほどの速度に調整します。


 出発して3時間後、100kmほど進んだ所で眼下に比較的大きな町が見えてきました。

 ここが国境の町コキュナトスでしょう、私達はここを素通りして国境を越えます。

 (入国の手続きとかしなくても良いの? by妹)

 (帝国が外国の貴族に身分証を作らせるのは他の国では出来ない事なのさ by大姉)

 (貴族は自分の国の証明証が在ればどこでも通用するのよ by小姉)

 (帝国だけは貴族として扱ってほしくば帝国の許可を得よってね by大姉)


 (一気に国境を超えるよ by大姉)

 2kmぐらいの幅のU字谷を越え、その真ん中に作られた国境の町コキュナトスも越えて山の向こう側に降ります。

 (やったー、帝国の国境を越えたよう by妹)

 (おめでとう此れで追われる事も無くなるさね by大姉)

 (ありがとう、皆の御蔭で国境を越えられました by小姉)

 『お嬢様おめでとうございますです』

 『おめでとうございます、今日はお祝いですね』

 『アイよ、ごちそうを作るでござるよ』

 レタもアイもナミも皆で祝ってくれます。


 雪の積もった稜線を越えて街道が通る道の脇の空き地に降りる、人通りは全然無くて恐らく雪で通行止めになっているのでしょう。

 初めてのビチェンパスト王国の土地(雪の上)に家を出して姉ねと二人で入ります。


やっと帝国を抜けてビチェンパスト王国へたどり着きました。

カスミの冒険は、ヴァン国編へと続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ