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魔術師、異世界をソロで往く 帝国編  作者: 迷子のハッチ
第6章 神聖ロマナム帝国帝都ミンスター
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第52話 帝都ミンスターで暗闘(4)

暗闘の最終話です。

 翌日もレタは大使館で調べものをしてから帰ってきました、話し合いは続きます。


 「ボネ公爵派の動きが今一つ見えないのだけど、何かわからない?」

 「偵察バグからは大使館の見張りから、まだ見つからないと連絡があったぐらいしか進展は無いのよ」


 「帝国政府から何か動きはあったのですか」とアイが聞いて来る。


 「いいえ、婚姻の申し込みがあったと聞いてから何も聞いていないわ」

 「私から言えるのはこれまでヴァン国の王族が帝国貴族と婚姻したことは一度も無いことだけね」

 「なのに懲りずに婚姻の打診を不審なほど続けている事ぐらいかな」


 「帝国建国前から婚姻したいって言ってたらしいであります」レタが、大使館の資料から調べてきた情報を教えてくれる。


 そうなのよね、大使館の記録ではネーコネン一族からハイエルフの今の長に嫁にするから島から出てこいと言ってた記録があったのよ。

 (千年の恋煩いかぁ by妹)

 (そんな可愛い物じゃ無いよ、寿命を延ばして帝国を支配し続けたいだけさ by大姉)


 今日も大使館でボネ派を調べていたレタが報告します。

 「ボネ公爵の派遣した影ですが、大使館近くに拠点を5か所も作っています」

 レタの話だと見張りだけでそんなことをするのでしょうか。

 するかもしれないけど、本格的に人数を投入していることは確かでしょう。


 「何人いるかレタは数えた?」

 「ハイでありまする、各拠点に3名~5名で交代しながら見張っているです」


 急にレタが立ち上がると、私達に警告を発します。

 「お嬢様、何者かが旅館の私達の部屋に侵入しています」


 レタの脳内画像には明らかに旅館の従業員とは違う動きをしているパターン登録していない人間が室内を動いている。


 「お嬢様、もうしわけありませんです、恐らく大使館から出る時、後を付けられたのでありまする」レタが頭を下げてお詫びする。


 「あなたの落ち度ではないわ、私の油断がレタを安易に大使館に行かせたのですから、相手も侮れませんわね」


 「レタ人数はわかる?」脳内画像では室内に6名程いるようですが、部屋の外にも何人かいます。


 「居間に3人、お嬢様の部屋に3人、廊下に2人、後は分かりません」


 「この旅館が彼等に協力している様子はあるでござるか」ナミが気になる事を聞いています。


 「従業員はこの階には近寄らないで、遠くから見ているだけのようであります」レタが状況から判断しているようだ。


 「逆らえない立場の様ですね」カスミ姉ねがボネ派が貴族の立場で介入した可能性をありそうだと見ているようです。


 「お嬢様、このままでは部屋に何か罠を仕掛けられると厄介です、排除するべきです」

 レタが提案してきます。


 「賛成です、敵は賊として今の状況では排除しても問題無いと考えます」アイが怒っている姿は初めて見ました。


 「先に某が敵に気が付かれないように影に潜んで行くでござる」


 「敵の能力は何かわかる?」とレタを見て聞きます。


 「はい、全員魔道具を身に着けています。セルボネ市のスリも持っていた、耐魔術の魔道具で魔石の級が上の物を装備していますです」


 「戦闘能力はこちらと比較して強い?」魔術に対する防御対策をしているのは私達が魔術師だと認識しているからでしょうね。


 「互角か敵の方が強いかもしれません」レタが悔しそうに言います。

 この辺はレタとの比較だと考えるべきでしょうね。


 ここは決断の時です。

 「ここは敵の根拠地です、帝都の政治を考えると表に出ての戦いは不利と考えます」

 「皆、裏での暗闘になりますが敵を早急に排除する必要があります」

 「先ず私の火球で敵に物理的な攻撃を行います」

 「魔術への防御はあるようですが衝撃波の様な物理的な物までは防げないでしょう」

 「家(神域の部屋)から彼らの居る部屋の中に打ち込み部屋の扉を閉めればこちらに影響は無いでしょう」


 「戦闘の準備をしてください」

 「「「「「はいっ」」」」」


 何時ものボディースーツとミスリルの鎧にヘルメットを付けて準備完了です。


 全員で玄関の前の間に集まり、敵の様子を伺います。


 「敵は全員で6名、全て居間に居ます」レタが逐次報告します。


 扉を少し開けます。

 敵の何人かが見えますが、此方に気が付かないようにタイミングを計ったので、みんなこちらに背を向けて離れた場所で何かしているようです、罠でも仕掛けているのでしょう。


 火球を1発敵の居る部屋へ打ち込みます、直ぐに扉を閉めて様子を伺います。


 爆発の音も衝撃も何もありませんでしたが、敵の居る部屋では火球が破裂して部屋が敵諸共吹き飛んだようです。


 私が扉を開けると部屋はめちゃめちゃになっていました。

 火事も発生しましたが、直ぐにアイが消し止めました。

 部屋の窓は全て吹き飛び、部屋の中は瓦礫と化しています。


 幸い、部屋の形は残ったようですが修理に大金が掛かるのは明らかです。


 敵は室内に居た6人は即死していますが、部屋の前で見張っていた2人は怪我はしていますが生きているようです。


 家(神域の部屋)から不安そうにこちらを見るカスミ姉妹に手を振って、扉を閉めて消します。


 ナミを先頭にアイ、私、レタの順に部屋からでます。


 敵は館内は8人だけなのかこの部屋に誰も来る様子はありません。

 ナミが見張りの2名の手を後ろで縛っている所を見ると意識は無いようです。

 致命傷でもないようです。


 先ずはこの宿を出て、ボネ派から姿をくらますことが優先目標です。


 私達4人が旅館の1階まで降りてくると従業員が私達の周りから離れます、鎧兜姿の私達は恐ろしい姿に見えるのでしょう。


 1階の受付に従業員で見覚えがある人が居ましたので、言葉を掛けます。

 「どこの誰かもわからない者どもから襲撃を受けました、貴方は何か知っていますか?」


 受付の従業員が恐る恐る。

 「ハイ、ボネ公爵の配下の方が見えて寄り子の男爵家へ不埒な行いをした者どもを捕らえるとおっしゃられてあなた方の部屋へ向かわれたのですが、私どもへは近づくなと3階から追い出されたのです。」


 「そうですか、ボネ公爵ですか、ではこの始末ボネに取って貰いましょう」


 「私はヴァン国王位継承者3位のカスミ・ヴァン・シルフィード姫ですボネとやらに伝えるが良い」

 「ボネよこのような不埒な行い宣戦布告と見なす、覚悟せよ」


 「分かりましたか」と念押しすると。

 敵の残党がいたようで、2人程外へ出ていくのが見えました。


 「レタ敵を排除しながら出ます」

 レタに旅館から出る様に指示を出す。


 ナミが姿を消していますので早くも敵の排除に動いているのでしょう。


 『レタ南へ』

 潜伏するには南は商業区ですから補給しやすく都合が良いようですから南側に潜むことにします。


 大急ぎで帝都の南側まで移動します、馬車などで移動できないので大通りの裏をひたすら走ります。


 南側にある緑の多い一角にある広場で、見通しの悪い木立に囲まれた場所が新しい家(神域の部屋)の場所です。


 レタによると旅館から出ても後を付けてくる人影は無かったとのこと、ナミも影に潜む者はいたが排除したと言っている。


 今は夜1時(午後6時)、食堂で全員揃っての食事中です。


 旅館の部屋と1階に数匹置いてきた偵察バグから、その後の敵の動きを見ていたレタが報告してくれました。


 それによると、けが人2人は私達が旅館を去った後直ぐ、襲撃の仲間と思われる者が助けて行ったそうです。


 ボネ公爵に宣戦布告の話が伝わったのは3コル(45分)ぐらい経ってからで、帝国の尚書省から人が派遣されて宣戦布告の内容を知らせて来たそうです。

 あの時旅館の1階から出て行った2人はどうやら帝国の裏だったようですね。

 ボネ公爵はその連絡を受けて確認に手間取り、結局公爵家の裏が独自に動いて死体の回収に行ったそうです。


 ボネ派の裏組織が旅館に駆け付けたのは、そうゆうことで1刻(2時間)も時間がたってからだそうです。

 遺体を引き取り、旅館と話し合い、昼の12時(午後5時)頃引き上げていったようです。

 この時1階で私と話した従業員から直接聞いた宣戦布告の話を何度も確認していたそうです。


 宣戦布告したのですから、今夜この後ボネ公爵とボネ伯爵とオルカ男爵の邸宅の彼らの部屋を爆破してやります。


 明日大使館へ連絡を入れる必要はあるかもしれませんね。

 今日入れると邪魔されるかもしれないですからね。

 (カスミとっても怒ってるよね by妹)

 (カスミがこんなに狂暴になるぐらいにはね by大姉)

 (狂暴になってるわけではありませんよ、理不尽な暴力に切れてるだけです by小姉)


 食事の後、飛空服に着替えます。

 そうです空からボネ派を襲撃です、私への不埒な計画を潰して差し上げますわ。

 (なんだか、”おほほほ~”って手を口に当てて言ってる姿が見える気がする by妹)


 木立を出て上空へ、飛空服を展開して更に上昇します。


 レタが出している脳内画像には帝都の地図があり、そこに今日の襲撃目標の3地点が明るく表示されている。


 帝都の空を滑空しながら徐々にボネ公爵邸へ近づいて行く、更に上昇し地上500m地点からゆっくりした速度で滑空を始める、その先にはボネ公爵邸のボネ公爵の部屋、脳内画像にはボネ公爵が1人で部屋に居るのが分かる。


 ゆっくりと魔力を込めた魔術を行使し火球を打ち出す、火球は直線で移動しボネ公爵の部屋へ吸い込まれるように消えた後、大爆発を起こす。


 ボネ公爵の次はボネ伯爵、そこも終わらせるとオルカ男爵、淡々と爆撃を熟すと飛び立った木立へ戻り我が家へ帰る。


 ただいま~、今帰ったよ。


セルボネ市の頭達と同じ対応をしたとカスミは分かっているのでしょうか?

前よりは襲ってきた者達を全員殺していないだけ余裕があったのでしょう。

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