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魔術師、異世界をソロで往く 帝国編  作者: 迷子のハッチ
第6章 神聖ロマナム帝国帝都ミンスター
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第53話 帝都ミンスターその後

帝国のその後の後始末の様子です。

 老舗旅館猟犬亭での騒動、その夜のボネ公爵邸とボネ伯爵邸さらにオルカ男爵邸の爆発と火災。


 皇帝が直接事態の解明に乗り出す大騒動になった。


 このような混乱の中ヴァン国大使からオルカ男爵次男のヴァン国姫カスミ・ヴァン・シルフィードへの暴行未遂の告発がされた。


 混乱に拍車をかけるようなタイミングで、何故告発がされたのか?


 ナミを大使館への連絡のため派遣したところ、大使館の周囲に近づくと影魔術を使用して潜む者を察知し、大使館への連絡が取れずに引き返してきた。


 そのため私達が大使館へ連絡出来たのは、私が鳥型の土人形を作って手紙と連絡用の魔道具を鳥に持たせて、大使館へ送れるようにするのに時間が掛かってしまったから。

 (重たい魔道具を運べる鳥が大きくなるのは作る前から分からなかったの? by大姉)

 (カスミの所為じゃ無いよ、送受信の魔道具に音声と画像を組み込んで重くした、カスミちゃんが悪いんだよ by妹)

 (いえ、通信に画像は必要でした、重さを考慮しなかったのは失敗でしたね by小姉)


 結局送れたのは次の日の昼近くになってしまい、大使の告発状提出に遅れてしまったのが原因です。


 でもこれが事件の解明を速め、結果として今回の事件で帝国に不利な状況を作る事につながりました。


 その後の流れは。

 この件が明るみに出たため、一連の騒動を帝国は関連付けて考えられるようになりました。

 帝国はこの事件を時系列に次の様に判断しました。

 ・オルカ男爵次男の事件発生

 ・オルカ男爵帝都へ

 ・カスミ姫帝都へ

 ・オルカ男爵がボネ公爵へ泣きつく

 ・ボネ公爵はカスミ姫に係わる絶好の機会だとオルカ男爵に悪いようにしないと返事

 ・ボネ公爵はヴァン国大使館を監視し始める

 ・カスミ姫帝都到着ー予約している旅館猟犬亭へ宿泊

 (これはカスミが一度も旅館の部屋を使わず家で寝泊まりしていたため、従者が予約してカスミが来るのを待っていたと判断した)

 ・大使館からカスミ姫の従者を尾行してカスミ姫の泊まっている旅館を見つける

 ・オルカ男爵次男の事件を口実にカスミ姫を拘束するため家臣を派遣

 ・旅館猟犬亭でボネ公爵家臣とカスミ姫家臣の戦いが発生

 ・カスミ姫側が勝利

 ・カスミ姫による、ボネ派への宣戦布告

 ・カスミ姫が旅館猟犬亭を出奔行方を晦ます

 ・カスミ姫家臣によるボネ公爵邸襲撃

 ・カスミ姫家臣によるボネ伯爵邸襲撃

 ・カスミ姫家臣によるオルカ男爵邸襲撃

 ・ヴァン国大使によりオルカ男爵次男の告発


 帝国は皇帝も含めて私の捕獲を狙っていたと思われます。

 何と言っても私の宣戦布告がボネ公爵に伝わったのは帝国政府の使者が伝えたのですから間違いの無い事でしょう。

 ナミによると一連のボネ派の周囲に影に潜む何かを感じていたそうです。

 恐らくレタを付けたのも、私が泊まっているのを旅館の従業員か支配人から聞き出したのも帝国の影でしょう。


 そうでも無ければレタが付けられるようなへまをするはずがありませんし、老舗の旅館の従業員や支配人が泊り客の事を話すはずがありません。


 それに、今回の襲撃はあまりにも強引な上に権力でねじ伏せるのが当たり前と思っている人間の命令だと感じます。

 (皇帝って権力者のトップだよね by妹)

 (カスミを攫えれば、後は権力で何とでもなると思っていそう by大姉)


 ナミは、旅館を出る時もその影を感じたので、石礫を潜んでいると思われる数か所へ打ち込んだが何にも反応が無かったけど、それから影を感じる事は無くなったそうです。

 (影かぁ、帝国も影魔術を使う忍者みたいな人達が居そうね by大姉)

 (今回の事件に影魔術師が関与したことは間違いないわ by小姉)


 帝都の南側へ移動する時も移動してからも影を感じていないので、此方を見失い追跡できなくなったのだと思います。


 帝国はこの事件があってもまだ私をどうにかしたい様です、その後も大使館や事件の関係先に影が常に張り付いて見張っているのがナミの調べで分かったのです。


 レタは一連の事件で公になった事実(大使が知っている事全部)をいかにも帝国貴族が悪だくみをしているかのように(事実です)書いて、新聞(南側の人達へ情報と娯楽を提供)へ投稿したのです。


 またヴァン国大使も社交界で、この事件を自国の姫への重大で姑息な襲撃として襲撃犯のボネ派を非難したのです。


 今は社交の季節真っ盛り、今回の事件はそこへ話のネタを提供する絶好の機会です、狙わないはずがありません。


 結局帝国首脳陣の思惑を超えて、この事件の顛末は社交界のこの季節一番の話題となっていきました。


 この話を土台に歌劇が作られたほどです。

 主題はカスミ姫とボネ公爵長男の悲恋だそうです。


 あらすじはオルカ男爵次男に襲われている所をボネ子爵(公爵長男のこと)に救われたカスミ姫はボネ子爵に恋をします(ウゲッ)ボネ子爵もカスミ姫の可憐さに惚れ二人は甘い一夜をすごす(やめてカスミちゃんは耐性0なのよ by妹)のです。


 しかし、他国の姫との結婚を良しとしない父ボネ公爵と叔父ボネ伯爵によりカスミ姫は襲われ命を落とします。


 助けに駆け付けようとして間に合わなかった子爵は姫の亡骸に縋り付き、自死してしまいます。


 二人の亡骸を見て、ボネ公爵とボネ伯爵とオルカ男爵は深く反省して、ふたりの墓を作り一緒に埋葬するのであった。

 (どこからオルカ男爵出てきた by妹)


 まぁ内容は別にして、悲恋ものは受けますから、しかも死んだ二人に対して生き残る3人は実際は逆と言う、劇作者の意図を感じます。


 もちろん名前をそのままでは使えないのでゴツゴツ公爵やらポンコツ伯爵みたいな名前になっていますけどね。


 またしても一月ほどの家での隠遁生活を強いられた私達ですが、大使とは頻繁に連絡を取り合っています。

 (通信魔道具が大活躍、やったぁ by妹)


 神域と外との通信は私達の脳内会話を除いて出来ないので、私達の誰かが外に出て通信を中継する必要があります。


 ですから帝国との一連のやり取りがどうであったのかは知っています。

 (帝国政治でボネ派が影響力を落とし、東邦方面軍閥の派閥が発言力を強めたのもこちらに都合が良かったと言えるね by大姉)


 しかもヴァン国から竜騎士対策の切り札となりえる火球砲の貸し出し交渉の真っ最中で、この事件を受けて一時交渉は中断してしまいました。


 社交シーズン一杯の8月まで事件の処理は話が纏まらず。


 結局、東邦方面軍閥の火球砲を欲しがる要求にボネ派が圧殺されてしまい、帝国はこの件を全ての責任は死んだ3人にあるとしたのが8月の終わりごろでした。


 9月になって政治的にもヴァン国と揉める事を避けた帝国は、事件の責任は死亡したボネ公爵とボネ伯爵とオルカ男爵にあると認め、他の関係者の罪は不問に処すことを公表して、一連の事件の幕引きを計ったのです。


 私への無罪と穀物の輸出増加容認を火球砲の貸し出しとで取引したのです。


 帝国も火球砲を借りる期間を無期限とする事を粘って勝ち取り、どこかの国の大使の派遣期間が延びる事(冬季は帰ります)になってしまいました。

 (でも、穀物の輸入が増える事は容認されて良かったね by大姉)


 当事者のボネ公爵とボネ伯爵にオルカ男爵は死亡、対してカスミ姫(私)は逃亡して行方不明中です。

 特に帝国はデモンストレーションした火球砲の威力と性能に衝撃を受けたと言う事もあり、帝国(皇帝)としてもこうするしかなかったのでしょうね。


 又、事件の責任がある死亡した3名以外への罪は無しとして3名の家族へ配慮し、速やかな爵位の継承が認められたのです。


 ただし事件の発端となったオルカ男爵次男は死刑、騎士31名も死刑か追放となりました。


 又被害を被った旅館猟犬亭の損害を襲ったボネ公爵とボネ伯爵が支払う事、ボネ公爵とボネ伯爵とオルカ男爵の被害は自業自得として被害の賠償は無しとなりました。

 (良かったね、賠償金とか払えないよ by妹)


 こうして無罪放免となった私達ですが、一人大変な仕事を押し付けられた方がいまして、この方への大きな借りを返すために一つの仕事をヴァン国に雇われた傭兵として受ける羽目になってしまいました。

 しかもヴァン国兵を率いる部隊長として私を据えるそうです。

 (良いの?傭兵が隊長って by妹)

 (断れ無いよ、借りが多すぎだからね by大姉)


 帝都を離れて東へ護衛の旅です。


東邦方面軍軍閥は今後帝国の最大勢力となっていきます。

東邦とは帝国が侵略した東で作った領土を公国にした事で沢山ある属国を指して東のくにと言っています。

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