第33話・4 暗躍ー2
暗躍の2つ目です。
西の頭への暗躍 回春薬の作成と効果
西の頭候補の一人沖仲仕のまとめ役が家庭の事で悩んでいるそうだ。
川湊と港の荷役作業の全てを牛耳るゲンターシュミスは力自慢の脳筋男だった、しかし気っぷが良くて面倒見の良さから慕う者が多くいつの間にか沖仲仕のまとめ役の頭となった者だった。
妻との間に2男1女の子を儲け闇ギルドの一員にしては円満な家庭を築いていた。
その男が家庭の事で悩んでいると噂になって、ある男の伝手でゲンターシュミスことゲンに会った、怪しい商人のノーフェス(ナミ)は悩みを聞くのだった。
「ゲンさんや悩みがあると東の頭に聞いてやってきましたが、何を悩んでいるんです」
「話してごらんなさい、話すだけでも気持ちが軽くなるものですよ」
と無責任な物言いで脳筋なゲンを言いくるめて悩みを聞き出すノーフェスです。
「実はな、娘の嫁ぎ先の義父どのが四六時中家の中に居て若い二人が二人っきりに成れなくて困っているんだ。」
「わしもいい年だし、早く孫が欲しいもんじゃがこのままじゃいつまでたっても孫の顔が見れんのじゃ。困ったもんじゃのう。」
「ようござんす、このノーフェスがその悩み見事に解決して見せましょう」
「おう、どう解決するってんだぁ」不思議がるゲンさん。
「簡単な事ですよ、お困りの原因の義父どのをどうにかしてしまえばいいのですよ」
と怪しく笑うノーフェス。
「おい、冗談じゃねぇぞ殺しは無しだ!」と慌てるゲンさん。
「まぁまぁ、そんなことはしませんよ、義父どのには少し若返って貰うだけですから」
「なに!そんなことができるのか?」とゲンさん。
「本当に若返る訳ではありませんがね、この回春薬を使えばしばらく春が戻ってくるのですよ」
「効き目抜群の薬ですが使いすぎると老化が早くなりますがね」
「イーヒッヒッ」と脅すノーフェス。
その夜、娘が嫁いだヴァルボネ商会一族の店アイヒミュンゼン商店に一人の忍者が忍び込んでいた。
忍者はアイヒミュンゼン商店の店主ナフサネルが寝酒を飲むため用意した酒に回春薬を数的垂らした後、天井裏に潜み店主の様子を見ていた。
そうとは知らず、何時もの様に寝る前に寝酒を飲むと、寝付けない体をベットに横になって思うのだった。
「この頃気力の衰えが激しくて、寝るのも一苦労するのう、昔の様にピンシャンとしていた頃が懐かしいのう。」
「あの頃は、女房だけでは満足できずに妓楼に入り浸ったのう、懐かしいわい」
「そろそろ効いて来る頃よ」忍者がそっと声を漏らす。
「お、なんじゃこりゃビンビンにピンシャンしてくるぞ」
久しぶりの感覚に若いころを思い出し思わずニヤリと笑いを浮かべる。
「よし、久しぶりに行ってみるか」
飛び起きると、隠しからお金を出して懐へ入れる。
「おおい、ガァシュン、ガァシュン儂はちょっと出てくるぞ、今日は帰らん」
「戸締りをして、早く寝るんだぞ」とそそくさと店をでます。
その有様を呆然と見送る息子のガァシュン、父のあのような姿は最近見たことがありません。
首を振りながら、言い付け通りに店の戸締りをして、久しぶりの二人っきりの夜を楽しむためいそいそと妻の下へいきます。
こうして半月程2,3日に一度回春薬を使い、若い二人を残して店主ナフサネルを妓楼へと追いやりました。
「ゲンさん娘さんからいい知らせがあったと聞いて来てみましたがどうでした」
そろそろ辞め時かな、と思っていたノーフェスはゲンさんに成果のほどを聞いた。
「おう、あんたか実はな、娘から子供が出来たと報告があったんじゃよ」ご機嫌なゲンさんが言う。
「おや、それは早いですねびっくりですよ」とまだ始めて15日ぐらい、子供が出来てもそれが分かるのは2月は先だと思っていたノーフェス。
「若い二人は邪魔者の義父どのが居ても居なくても、やる事はやってたんじゃ。」
「じゃが今回の義父どのの放蕩、随分助かったそうでの。」
「義父どのが近々隠居するそうじゃ、なんでも妓楼に古くからの馴染の女が居るらしく、その女を身請けして二人で暮らすんじゃと。」
「お前さんには世話になった、これで孫が2人も3人できるじゃろうからな。ガハハ!」
ま、終わりよければ全て良しといいますからな。
こうして、西の頭候補の後ろ盾を得る事に成功したナミは、彼を西の頭にするべく暗躍するのでした。
回春薬と言ってもバ〇〇〇ラな的な薬でしょうね。




