55. 人との邂逅②
「お見事です」
レスが賞賛の言葉を述べた。
どうやらこいつは俺の剣速に目が追い付いたらしい。
対して、手枷足枷を断ち切られた男の子は目を白黒させている。
周囲のレス以外の面子の反応も男の子と似たようなもので、赤の竜将ハインツですら目を見開いて驚いていた。
俺はそんな周りの反応を無視して、とりあえず残りの子達、若干男の子より年下らしい女の子達に近づき同じように枷を外してみせた。
「あんた、いったい何者なんだ・・・?」
呆然と問う男の子。
俺は彼等を安心させるため、にっこりと笑ってみせた。
「なに、どこにでもいる人畜無害なただの猫又さ。さて、すぐにでも話を聞きたいところだが、君たちも長旅で疲れているだろう。今日のところは体を休めるといい。レス、この子らを風呂に入れて飯を食わせてやってくれ。あと服もよろしく」
レスは枷の破片を手に取りしげしげと眺めていたが、俺に話しかけられると破片から目を離し俺に向かって恭しく礼をした。
「拝命しました、偉大なる我が主よ。ハインツ、ミルス。この子達に服と食事を用意しなさい。アヤメは風呂の用意を」
子供達は俺とレスのやり取りに目を丸くしていたが、レスに促されてアヤメと供におとなしく公衆浴場に歩いていった。
部屋から俺とレス以外が退出するのを待ってから、レスが口を開いた。
「彼らが着けていた枷ですが、どうやら追跡の呪紋が刻まれていたようです」
部屋に残ったレスが、俺の目の前に枷の破片を差しだした。
金属製の枷の破片には、赤い線で奇怪な模様が描かれている。
「追跡の呪紋?なんだそれは?」
「アイテムへのエンチャントの一種なんですが、要はどこにそのアイテムがあるか大まかな位置が分かるという代物です。おそらく奴隷が逃げても必ず捕まえられるようにしたものなのでしょうが・・・」
「なるほど。つまり、あの子らには追手がかかっているかもしれないという事か。しかし詳しいなレス。なんでそれが追跡の呪紋だなんて分かるんだ?」
「ふふ。呪紋は専門分野でして。さて、我々が警戒するほどの事でもありませんが、いちおう念のため警備を強化しておきましょうか?」
「ああ、頼む。そうしておいてくれ」
「拝命しました。それでは」
さっそく警備を強化するため、レスは集会所を出て行った。
「追手か。むしろ都合がいいかもね」
独り部屋に残された俺は、ぽつりとつぶやいた。




