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転猫  作者: 相川秋実
第一章
53/137

53. 拠点を作ろう!③


 アインベルグ跡地に来てから、そろそろ1ヵ月が過ぎようとしていた。


 簡単な拠点を作るだけのつもりだったので寝泊まりできる建屋だけあればよいと考えていたのだが、結果的には結構な数の建屋ができることになった。


 拠点づくりを任せた四竜将とその配下は、魔物なだけあって人とは比べ物にならないほど力が強かった。

 竜将達はおろか黒リザの兵士達も、人型の状態にあって楽々と丸太を肩に担いで持ち歩ける。

 長髪でモノクルをかけた如何(いか)にも線が細いひ弱な感じのインドア派代表のレスでさえ、片手で軽々と丸太を持ち上げることができた・・・というかこいつの場合は元が魔竜王だったか。人化後とのギャップが激しすぎて忘れてた。

 彼らはその怪力で、まるで積み木を組み立てるような感覚で見る見るうちに建屋を建てていった。


 北の森から送られてくる木材の量も半端ない。

 青の竜将アヤメとその配下による空輸により伐採された木材が次々と運ばれてくるため、たった一日で家が1つか2つ建つくらいの量の木材が送られてくるのだ。

 おそらくこの建材調達班も、怪力やらスキルやらで効率的に材料を調達しているのだろう。

 

 その結果最初の数日だけで、雨露をしのげる簡素なログハウスを複数作ることができた。


 ログハウスはレスの配下含めた全員が寝泊まりするのに十分な数を用意できたので、その後は他の建築物を作ることにした。


 まずは公衆浴場である。


 最近は、寝る前に紫の竜将ミルスの背に乗って川まで向かい、川で水浴びをするぐらいで済ませていたので、ここらでひとっ風呂浴びたくなったのだ。


 公衆浴場は床と風呂を石材で作った。

 木材でもがんばれば作れたかもしれないが、道具が乏しくあまり細かい細工ができないので、風呂桶を作っても水が漏れることが懸念されたのだ。

 そのため青の竜将アヤメに岩山まで行ってもらい、家程の大きさの岩を持ってきてもらって、それを風呂の形にくりぬいた。

 アヤメは巨岩を爪に掴んで飛んで持ってきたらしいが、さすがに重かったのか休み休みとなり、運搬には3日ほどかかった。


 風呂の水は毎回川から汲んでくるわけにもいかないので、青の竜将アヤメに氷を出してもらって、赤の竜将ハインツに炎で溶かして適温まで温めてもらっている。

 かなり手間だが、即席でここまでできれば良い方だろう。拠点と言っても別に長居をするつもりもないしね。長居をしないという意味では、むしろ風呂とか作るのもやりすぎだったのかもしれない。


 風呂に使った石材はかなり白に近い灰色だったので、かなり綺麗な風呂となった。

 なんか清潔感があって落ち着くな。


 風呂を作った後は、みんなが一堂に集まれる集会場と炊事場を作った。


 体育館並みの大きさの集会場は、やはり紫の竜将ミルスとその部下によって淡々とくみ上げられていき、3日ほどで完成してしまった。

 耐震性とかが気になったが、レスの指示のもとで設計・建設された建物は昔TVで見た木造建屋の作り方に似ており、かなりしっかりした作りに見えた。

 レスは伊達にモノクルをかけていないな。


 炊事場は、雨が降った際に火を起こせないような状況を避けるために発案したのだが、食べる場所も同じ建屋にあったほうが良いだろうとレスに提案されたので、最終的に食堂みたいな形の建物となった。


 今はレスの配下を全員含めても全体で25名しか拠点にいないが、土地も建材も暇も余っていたので食堂は100人くらい入れる建屋になった。

 ちょっとやりすぎたかもしれない。

 また、火を使う釜土のまわりは石材を積んで作った。

 木だと火事になるかもしれないため、その辺はちゃんと配慮したのだった。


 あとはトイレとか上下水道とかを作れば、ちょっとした小さな村として機能するんじゃないだろうか?

 トイレは今現在は拠点内の一か所に複数の穴を掘って対処している。

 用が済んだ後は土で埋めるような形をとらせているが、時間が許せば最終的には水洗トイレにしたいところだ。


 待望の南からの人間が拠点にやってきたのは、俺がそんなことを考えていた矢先のことだった。


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