49. 拠点を作ろう!①
長期の滞在となりそうなので、アインベルグ跡地に簡単な拠点を作ることにした。
平原は死霊やら狼やらと敵が多いので、家でもないとおちおち安心して寝てもいられないのだ。
「そういうことでしたら、我が配下を呼びましょうか?」
「リザードマンや竜がうろちょろしてたら、旅人は寄ってこないんじゃないか?」
「ふむ、そうですね。では数は少なくなりますが人化ができる者たちだけ呼びましょう」
なるほど。それなら問題ないな。むしろ人が多いほうが、旅人としては話しかけ易いんじゃないだろうか?
「頼めるか?」
「もちろんですとも。ではさっそく呼んできます」
レスは俺達から距離を取ると、人化の術を解いた。
まばゆい光と衝撃波とともに、漆黒の魔竜が姿を現す。
レスが大きな翼を羽ばたかせて飛び立つと、その姿はすぐに空の中の小さな点となり、やがて視界から消え去った。
速いな。
あんだけ速いのなら、ここまであの姿で送ってくれればよかったのに。
なんか釈然としない思いがふつふつと沸いてくる。
しかしレスは基本的に旅は歩きを推奨しているので、頼んでも運んではくれなかっただろうが。
なんでも、かつての大魔王からも旅は歩いて経験を積むことが大事と常々言われていたらしい。
千年経っても律儀にそれを守っているのだから、義理堅いというか頭が固いというか。
ふと、空を見上げていた俺の服がくいくいと引っ張られた。
俺が振り返ると、ジローが俺の服を引っ張りながらこちらを見上げていた。
「リョウ兄。剣教えて」
短剣を片手に持ちながら、ジローはふす~、と鼻息を出した。
ジローは見た目は金髪碧眼の美少女なのだが、いちいちこういった行動をするのでなんかもったいない。
まあ、これも個性か。
「あっ、ずるいぞジル。兄上、僕にも教えてください」
タローも剣の教えを乞うてきた。
「兄は弱いから修行しても無駄」
「Σ」
ショックを受けるタロー。相変わらず面白い顔をする。
「ジル、そりゃないだろう。タローはなかなか見込みがあるよ。タローもちゃんと教えてやるから、そんな顔をするな」
俺は兄弟のやり取りになごみながらも、二人の申し出を了承した。
人化したのがうれしいのか、武器をもらったのがうれしいのか。
最近タロジロは、事あるごとに剣の稽古をせがんでくるようになった。
俺の流派であるミカサギ流豪剣術は主とする武器が刀なので、こいつらの得物には最適とは言えない。
なので俺はタロジロの得物にあった形に剣技を改変するべく試行錯誤を続けていた。俺にとっても、ある意味では良い修行となっていると言えるだろう。
にこにこしながら剣を抜くタロジロ。
対する俺も腰に差した刀をゆっくりと抜くのだった。




