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転猫  作者: 相川秋実
第一章
18/137

18. 名誉挽回

次の日は早朝から、女の子と数匹の子狐とともに食料を取りに行くことになった。

女の子の名はキョウカ。アンジュの娘だそうだ。

皆で村の裏山に登ると、各自散開して専ら木の実やキノコなどの山菜を集めている。


「くにゃ?(これは食べれる?)」

ジローがキョウカの前に拳ほどの大きさの栗を置いた。

「はい。それは大鬼栗ですね。皮は硬いですけどおいしいです」

キョウカは大鬼栗を拾うと背負った籠の中に入れた。

続いてタローがキョウカの前に木の実を置いた。

「へにゃ?(これは食べれますか?)」

「それは毒のある実です。食べられません」

「Σ(Σ)」

タローは肩を落として木の実を捨てに行った。


・・・


「くにゃ~?(これは?)」

「魔木苺の実ですね。甘くておいしいですよ」

「へにゃ~?(これは~?)」

「それは魔ベラドンナですね。甘いですが毒があります」

「へにゃ~・・・(むむむ・・・)」


・・・


「くにゃにゃ~?(これは~?)」

「あ、それは珍しいですね。王松茸です。焼くと香ばしい良い匂いがします。とても美味しいですよ」

「へにゃにゃ~?(これは・・・?)」

「そ、それはまさかドラゴンキラーマッシュルーム!?伝説の猛毒キノコです、良く見つけましたね。焼いて埋めておいてください」

「・・・。(・・・。)」

タローは猛毒キノコを見ながらしょんぼりしている。


・・・タロー(´・ω・`)


俺達が和気藹々と山菜取りに励んでいると、一匹の子狐が走って戻ってきた。

体毛の模様から判断するに、昨日俺達が村まで追いかけてきた子狐のようだ。

「こーんっ!」

「え?猪が追ってきたですって!?大変っ!」

キョウカが声を上げるのと同時に、子狐が逃げてきた方の藪がガサリと揺れた。

そして藪から大きな猪らしき動物が出てきた。

動揺するキョウカ達。

俺はキョウカ達と猪の間に移動しながら、猪をアナライズした。


名前:?

属性:火

種族:猪族 猪

称号:

ノーマルスキル:

魔法:


まんま猪だな。

"魔"とか付いてないし、スキルも魔法もないし。本当に純粋な動物としての猪なのだろう。


「み、皆さん。逃げてください」

キョウカが俺達と子狐達の前に出ようとする。

しかしそれを制するようにタロジロがキョウカ達の前に出て、俺の両脇へと並んだ。


「にゃ(タロー。ちょっと氷結弾を撃ってみてくれ。どんな魔法なのか見てみたい)」

「へにゃ~(了解です兄上)」


先ほどまでのしょんぼりした姿はどこへやら。タローは元気いっぱいに返事をすると、背中に生えた爪楊枝大の羽をはばたかせて飛び立ち、猪の目線と同じ高さに留まった。

・・・その羽、飛べたのか。飾りだと思ってたよ。

「へにゃっ!(氷結弾)」

タローの目の前に小さな光り輝く魔法陣が現れ、そこから水晶玉のような青く光る物体が出てきた。

そして魔法陣が消えると同時に、魔法球は猪に向かって飛んでいく。

猪は魔法球ごと俺達を吹き飛ばすべく真正面から突っ込んできた。阿呆だ。

魔法球と激突し、ピシッ、っという乾いた音とともに凍りつく猪。

そしてそのままゆっくりと横に倒れていった。


「すごい・・・」

キョウカが感心したようにタローを見ている。先ほどまでの残念なモノを見る目とはえらい違いだ。


倒した猪はかなりの重さだったので、キョウカが縄をつけて引っ張ってもびくともしなかった。

色々試したが、結局最後は村までアンジュを呼びに行って、アンジュに引っ張ってもらって何とか村まで持ち帰ることができた。

「ずいぶん大物を仕留めたの。今夜も夕飯は豪華になりそうじゃ」

猪を引っ張っりながら、アンジュはころころと笑っていた。


里に戻って簡単に昼食を取り、午後は人化の術と念話の修行をすることになった。


俺は今、アンジュの家の居間で座禅を組んで瞑想している。

タロジロも俺の両脇で座禅を組んで瞑想していた。

「・・・・・・・・・くにゃ(ZZZ)」

訂正。ジローは寝ている。

俺達の周りには、子狐達が同じく座禅を組んで瞑想していた。

彼等もこの修行を毎日続けているらしい。

「何事も集中が肝心じゃ」

アンジュは座禅を組んだ者達の頭に掌をかざして回っている。

なんでも、魔力の流れを上手く促して人化をしやすくしているそうだ。


念話はその日のうちに習得できた。

元々かなり良いところまで来ていたようで、座禅を組んで瞑想していた折にアンジュの魔力操作によってすぐに習得できたのだ。


その日の夕飯は猪肉と山菜を煮込んだ鍋だった。

昨日と同じ面々で食卓を囲む俺達。

やはり大人はアンジュしかいない。

・・・どうも気になるな。

今日もそれとなく理由を聞いてみたが、昨日と同じくアンジュにそれとなくはぐらかされてしまった。

他の子達に聞いても、どうやら口止めされているようで答えてはくれなかった。


どうも何か、俺達に都合の悪いことを隠しているようである。


プレビュー機能があることを知りました。

何気に超便利。

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