第2話 ユウナとネコさんたちの街の防衛(準備編)
今回の内容に合わせるため、第2章第3話のユウナとネコさんのお買い物の一部を修正しました。ストーリには影響を与えない内容です。内容については後書きの方に記載します。
・セリフの修正を行いました。内容については後書きの方に記載します。ご指摘ありがとうございます。2017/10/1
「今、皆様の手元にある紙は無作為によってお渡ししています。その紙には数字が書かれています。その数字と同じ数字の紙が貼りつけられた防衛用資材を地図で指定している場所まで運んでもらうことが、今日の午前中の緊急クエスト内容になります。資材の重さはほぼすべて同じですので、個人の能力による資材の重さの違いはありません。パーティーを組んでいる人たちには人数分用意されています。ただ、運んでもらう距離については、出発地点がすべて同じである以上多少の距離の差はあります。これについては防衛用資材を発注するにあたって、街の防衛班にあえて仕事を作るよう業者の皆様に資材運搬の仕事を発注しなかったのです。業者の皆様の仕事を減らして皆様の稼ぎを確保したのに、多少の労力の差を不服とされる方は緊急クエストの受注を辞退してください。Cランク以上の冒険者の方も不服とされるのでした辞退下さって結構です。今回はあくまで緊急クエストですので、クレーム等は受け付けません。ただ、質問は構いません。それでは、今の説明を受けて納得された方は2時間以内に与えられた資材の運搬を完了させてください」
私とネコさんたちは魔物の大群からカーヤの街を守るための緊急クエストに参加することになりました。今は集合場所に指定されていた広場にいて、資材運搬の指示を受けています。私とネコさんたちはパーティーでの申請を行っているので説明にもあったように5人分の資材運搬を受け持っています。
ちなみに昨夜、家に泊まっていたミラさんとヨナさんは朝食後それぞれの持ち場に出発しました。朝食には、サンドウィッチを作った時に並行して作って冷蔵庫で保管していた『なんちゃってうどん』を振舞いましたよ。うどんの麺は小麦粉と水と塩で普通に作り、カーヤの街では昆布や鰹節がないので出汁は鶏がらスープというちょっと変則的な料理です。もしかしたら、私が知らないだけであるところにはある料理かもしれませんが。スープは、鶏がらを火加減を気にせずひたすら熱湯でぐつぐつと茹でて灰汁を取り、澄んだスープに醤油がないので、(家庭科部で使うため持っていた調味料の中には醤油はあります。ただ、携帯用の少量ボトル分だけしかないので今後のために使いませんでした)街で購入できた塩と胡椒で味付けしたものです。このスープのつくり方は、テレビ番組で見た東南アジアの料理を参考にしたものですよ。ミラさんとヨナさんの知識によると小麦粉を練ってスープに入れるだけの料理はあるのですが、ひも状に形成された麺類は無いそうです。初の麺料理はミラさんやネコさんたちにとても好評で、全員がお代わりをしてくれました。確かにこの世界に来て麺類は見たことが無かったので、麵状のパスタ料理なども美味しく食べてくれるのでは?と考えが浮かび家庭科部員としての血が騒ぎますね。おっと、好評だった料理のことを思い出してしまい、思考がそれてしまいました。今は街の防衛に集中しないといけませんね。
「これは木の矢に、握りこぶし大の石ですね」
紙に書かれた数字と同じ資材を見つけました。それらは防衛戦に用いられる矢と投てき用の石ですね。かなりの量が置かれており、私たちではどれくらいの回数で運び終わるのでしょうか?防衛班に参加していた冒険者が意外と多く混雑しているので、私たちは他の冒険者がひとまず広場から出発するのを待ちました。
「ユウナさん、困っていますね。俺が運んであげますよ」
「え?」
周辺の冒険者が数人になった時、急に名指しで言葉を掛けられたので振り向くと私より少し年上ぐらいの男性が立っていました。初対面のはずなのですが、なぜ私の名前を知っているのでしょう?この男性の外見を例えるなら学校に一人はいる注目されるイケメンです。……ですが、失礼な感想になりますが王子様のようなラルフさんや、美形のゴレットさん、そして性別こそ違いますが美女のミラさんにマリアベルさん、美少女のヨナさんと知り合った後なので心動かされるほどはありません。えっと、私みたいな地味子がそのような感想を抱くなんて失礼ですが、そう思ってしまったのです。なんだかすみません、親切な方。
「か弱いお嬢さんと従者の動物たちではこの資材を時間内に運ぶのは無理でしょう。さぁ、運びたまえ」
イケメン(仮)さんが言葉を発すると後ろに控えていた世紀末風で屈強な男性たちが、私たちが運ぶ資材を持ち上げて運び出そうとしました。
「ちょっ、ちょっと待って下さい。それは私たちが運ぶ資材です。勝手に運ばないでください!!」
「にゃふふ~!!」「にゃむむ!!」「にゃきゅ、にゃきゅ!!」
私とネコさん、エルフネコさん、天使ネコさんがイケメン(仮)さんの勝手な行いに対して声を上げましたが、資材を置いてくれません。ネコさんたちが非難を強めようと一歩踏み出そうとします。すると、ドワーフネコさんが私たちとイケメン(仮)さんの間に移動し「にゃぷにゃぷ」と抑えくれました。イケメン(仮)さんの言葉に私たちはつい頭に血が上りましたが、ドワーフネコさんは冷静な対応を取ってくれました。流石はドワーフネコさんです…、あっあれっ?ドワーフネコさんは貧乏ゆすりのように右足を上げ下げしています。えっと、その足の下の地面がちょっとずつ窪んでいるような気が…。あっ、もしかして、ドワーフネコさんは私たち以上に怒っているのでは!?確かに力仕事の得意なドワーフネコさんからすると、勝手に資材を運ばれるのは屈辱ですよね。
「ドッ、ドワーフネコさん、落ち着いてください」
ネコさんたちも気づいたのか、ドワーフネコさんに駆け寄ります。
「…にゃぷ~。にゃぷ~。…にゃぷっと」
ドワーフネコさんは数回、深呼吸をして私たちに頷いてくれました。自分の能力を否定されたにもかかわらず問題が起こらないように私たちをたしなめて、しかも怒りを鎮めてくれるなんてドワーフネコさんは大人ですね。ただ、ドワーフネコさんの好意に甘えるだけではいけません。私もビシッと言わなくては!!
「あの!!私たちでもこの資材は運ぶことができます。ですので、お気遣いいただかなくても結構です!!」
えっと、かなりきつい口調で言ってしまいました。彼の考えはどうであれ、私たちの手伝いをしてくれようとした事実に少しだけ心が痛みます。
「ふっ。美しい外見だが、それを鼻にかけることのない慎ましやかな性格だね」
…は?イケメン(仮)さんは私の考えに気づくことなく、見当違いな感想を述べています。それにしても何ですか?美しい外見だなんて。
「君こそ、俺にふさわしい人物だ。この緊急クエストが終わったら、俺と付き合ってくれ」
「え?……は?なっ、何を言っているのですか!?えっと、付き合うですって!?」
なっ!!何なんですか、この人は!?
「ふっ、照れなくてもいいよ。このカーヤの街の有力者であるジョセフ・ゴールドマンはもちろん知っているね。俺はその一人息子であるウォーク・ゴールドマンだ。君と付き合うに足る家柄と財産は持っているよ」
え?…え?突然のことに思考がスリープしてしまいそうです。すみません、ドワーフネコさん。ビシッと言おうと思っていたのですが訳が分からなくなりました。とりあえず、わかったのは3人目の有力者の名前がジョセフ・ゴールドマンで目の前の人物の名前がウォーク・ゴールドマンということだけです。
「だっ、だから何を言っているのですか!?なぜ、私があなたと付き合わなくてはならないといけないのですか!?それと初対面なのになぜ私の名前を知っているのですか!?」
「何だ?知らないのかい?今、君はカーヤの街で一番有名な女性だよ。聖女候補とされている世界樹教団のマリアベルと同じかそれ以上の美しさの冒険者がいる、と噂が絶えないんだぞ。美しさとはそれだけで価値がある。だから君は有力者の息子である俺と付き合い…いや!!俺の嫁となるべきだ!!」
「は?」
意味が分からない言葉が、イケメン(仮)さん…ウォークさんから放たれました。いえ、それよりも私が街一番の有名な女性とか、マリアベルさんと同じかそれ以上の美しさ?マリアベルさんに失礼ですよ。
「えっと、このウォークさんは変なことを言っていますよね?」
私たち以外に唯一残っていた荷物を運ぶ寸前の3人の冒険者の男性たちに問いかけます。
「残念ながら、君はいろいろと街中で噂になっているよ。『光の剣』のメンバーに寵愛を受けているとか、猫使いの掃除屋とか、その有力者のボンボンが言うようにマリアベル女史に匹敵する美少女ということでもね。でも、実力者である『光の剣』のメンバーと仲が良いから、男たちはちょっかいをかけづらかたんだよ」
「ボンボンの言うことは事実だ。だが、貴女にとって真に相応しいのは我だ!!」
「お前は魔物討伐に参加するのが怖くて防衛班に参加したのだろうが。その体たらくでよくこの美少女が自分にふさわしいなんて言えるな」
何だが私は知らぬ間にカーヤの街で有名になっていたみたいです。多分、『光の剣』の元メンバーであるラルフさんたちと仲良くしてもらっていたのを他の冒険者たちに見られていたことが原因で、私に対する過大評価が産まれたのでしょう。それにしても、ネコ使いの掃除屋なんてネコさんたちに失礼な話です。あと私が美少女だなんて?この街の皆さんの美醜の感性は日本と違うのでしょうか?私は日本では両親か、本当に仲の良い女友達にしか可愛いとは言われたことはありません。異性からは…その…胸への視線は感じましたが、顔に関しては何も感想はありませんでしたから。小学生の頃は男子から地味子なんて言われてからかわれていました。中学生になると流石にそんな意地悪は無くなり、小学生の頃に私のことを地味子て言っていた男子が彼氏がいないなら付き合ってやろうか?なんて気遣ってくれるようになったほどです。もちろん、丁重にお断りしました。だって、罪悪感から付き合ってもらってもお互いのためになりませんものね。
「とにかく、変なことは言わないでください。私は他人のわけのわからない評価なんて知りません。今はただ、このカーヤの街でネコさんたちと暮らしていくことが重要なんです」
「やれやれ、慎ましやかな性格はそれだけで美徳であるが、そんなに頑なになることはないだろう?俺の父親は他の戦闘ありきの有力者と違い商業の才能でのし上がった人物だ。そして、その息子である俺もいずれはこの街の…いや、帝都一の商人になり、ゆくゆくは貴族の地位を手に入れる!!ユウナさん…いや、ユウナは貴族婦人の生活が約束されているんだぞ」
「えっ?今言ったことは、本当ですか?」
「ふっ、どうやらユウナも俺の魅力に気づいたようだな」
いえ、私が確認したかったのはウォークさんの魅力に関してではありません。重要なのは『俺の父親は他の戦闘ありきの有力者と違い商業の才能でのし上がった人物だ』のセリフです。だって、ゼブリーズ様は商才によって、有力者になったってノーラさんが教えてくれたのですから。
「違います!!私が確認したかったは―」
「今から、俺の屋敷へ行こう。有力者である父さんに紹介するよ」
「えっと、あなたのお父さんは今は街にいないのですよね」
今、ゼブリーズ様が魔物襲来の緊急クエストを取り仕切っているのは、冒険者ギルドのギルドマスターと有力者2人が街を離れているためのはずです。今ウォークさんの屋敷へ行っても、有力者である父親を紹介できるはずがありません。
「ちっ、何で知っているんだ。魔物の襲来の騒動で『光の剣』のメンバーが近くにいないと教えてもらってユウナを手に入れるチャンスだったのにっ。もういい!!ユウナには言葉より、行動で示したほうが良さそうだな。こっちに来るんだ!!」
なっ!!ウォークさんは豹変し、私の腕をつかんで無理やり連れて行こうとします。それを見たネコさんが敵意をむき出しにして魔力の爪を伸ばし飛びかかろうとしています。エルフネコさんたちもその手に魔力武器を具現化しました。ドワーフネコさんの武器は初めて見ましたが、魔力によって作られた槌のようです。すると、世紀末風な男性たちが立ちふさがります。その威圧感からなのか、ネコさんたちも距離を取り身構えました。彼らは実力者なのでしょうか?それよりも私もこの状況から逃れないと…っ、ウォークさんの力は意外に強く私の腕力では捕まれた手を振り払うことはできそうにありません。ギルド職員はこの場からすでに離れていて、先ほど質問に答えてくれた3人の冒険者もウォークさんの暴挙の前に荷物運びに出発しています。街の住民も魔物の襲来に備えて家屋に避難しているせいなのかほとんどおらず、ウォークさんの行動に気づいていないようです。えっと、どうしたらいいのでしょうか?
「待つです~。ユウナお姉ちゃんを離しなさい~」
「えっ?その声はルゥちゃんですか!?」
「にゃふふ!?」
「にゃむむ!?」
「にゃきゅきゅ!?」
「にゃぷ?」
悩んでいると後ろからほんわかとした、けれど意志のこもった声が掛けられました。振り返るとそこには『妖精の針子』の店主のルゥちゃんが立っています。そして、ルゥちゃんの横にはゼブリーズ様と同じくらいの年配の女性が立っていますね。でも、ルゥちゃんはエルフネコさんの買い物に行った時にお客様と一緒に1週間ほど街から出かけると言っていました。出発の日を1日目と考えるとまだ3日目のはずです。トラブルでもあったのでしょうか?って、いやいや、トラブルが起こっているのは私なのですよね。
「なんだこのガキは?俺の邪魔をしたらガキでもただじゃおかないぞ」
「ほう、ルゥが邪魔をしたら何をするっていうだい?」
「ババァ、お前も邪魔をするのか!!」
ウォークさんに問いかけたのはルゥちゃんの横に立っていた女性です。ルゥちゃんの銀髪が少し薄まったような綺麗な白髪で顔には多少のしわが見て取れます。しかし美しい立ち姿を保っていて、年齢を感じさせない女優のような感じです。それにしても、ウォークさん…いえウォークは先ほどから片りんを見せていましたが、ルゥちゃんと女性の登場で完璧に本性を現したようです。ルゥちゃんたちにガキやババァだなんて本当に失礼な人です。
「やれやれ、ジョセフの孫は甘ったれた小僧だねぇ。ルゥも言ったがその女の子の手を今すぐ離しな。私は気が短いんだよ」
「なっ、父さんを呼び捨てだと。お前ら!!このババァに目にもの見せてやれ!!」
白髪の女性のセリフにウォークは自分では行動を起こさず、世紀末風な男性たちに命令をします。
「他人任せとは情けない。お前らも雇い主に恵まれずかわいそうだね。それとも、そんな男だと知ったうえで喜んで仕えているのかねぇ。だったら、容赦しないよ!!」
「ひっ!!」
「なっ!!」
「こっ、殺される!!」
白髪の女性が鋭い声を上げると世紀末風な男性たちは青ざめて我先にと逃げていきました。えっと、これって、ゼブリーズ様が冒険者たちと対峙した時の状況と同じのような…。ウォークも私から手を離して地面に座り込んでしまいましたが、すぐに足をもつれさせながら走り去りました。
「ユウナお姉ちゃん、大丈夫ですか~」
世紀末風な男性たちが立ち去ったのを確認してルゥちゃんとネコさんたちが駆け寄ってくれました。
「はい、大丈夫ですよ、ルゥちゃん。あの、助けていただきありがとうございました」
抱き着いてきたルゥちゃんの頭を撫でながら、助けてくれた女性に対してお礼を言います。
「にゃふっと」「にゃむっと」「にゃきゅっと」「にゃぷっと」
すると、ネコさんたちも一緒に頭を下げてお礼を言ってくれました。
「おやおや、流石はルゥが気に入っている人物とネコちゃんたちだね。礼儀正しいのは素晴らしいことだよ。さっきのボンボンにも見習ってほしいものだね」
「えっと、私はユウナ・イチノセです。この娘たちはネコさん、エルフネコさん、天使ネコさん、ドワーフネコさんです」
「にゃふっと」「にゃむっと」「にゃきゅっと」「にゃぷっと」
「ご丁寧にありがとう。私の名前はルシアだよ。このルゥの祖母で『妖精の針子』の先代店主だ。ルゥからユウナちゃんたちの話は聞いているよ」
「わたしのお祖母ちゃんですよ~」
そう言われれば、ルシアさんはルゥちゃんの顔立ちと似ています。いえ、この場合はお祖母さんであるルシアさんに孫のルゥちゃんが似ていると言うほうが正解なのでしょう。
「えっと、ルシアさんはお強いのですね」
「なに、昔にちょっと冒険者をしていただけの話さ。一応、冒険者登録だけは今もしているけどね」
私が先ほどのウォークたちとの件を尋ねるとルシアさんは何でもないという風に答えました。
「ユウナお姉ちゃん、このドワーフネコちゃんはネコちゃんのお姉ちゃんですか?」
私がルシアさんと話していると、ネコさんたちとたわむれていたルゥちゃんが質問を投げかけてきました。
「はい、ルゥちゃんが出発した後に合流しました。力持ちで手先が器用で…そうだ、【クリエイトツール】が使えますよ」
「にゃぷっと」
「えっ、本当ですか~!?」
「それは凄いね」
私の説明にルゥちゃんとが驚きの声を上げ、ルシアさんが感心しています。
「はい、そうですよ。ねぇ、ドワーフネコさん」
「にゃぷっと。【にゃぷぷとにゃーぷ】」
私の言葉にドワーフネコさんが頷き、【クリエイトツール】を発動します。右手にはちゃぶ台を作った時の蛍光ピンクなノコギリが現れました。
「ほぅ、これは素晴らしいね」
「これは凄いですよ~!!」
「えっと、凄いのですか?ドワーフネコさんは人前で【クリエイトツール】を何回か使ったことがありますが、特に何も言われませんでしたよ」
「そうだねぇ。生産職以外の人にはそんなもんだろうし、生産職でも実力が伴っていないと何も感じないだろう。世間一般では【クリエイトツール】は道具を具現化する便利な魔法という認識だ。珍しい才能による魔法だがちょっと大きな街や帝都に行けば所持者は一人や二人見ることができるから、そんな認識なんだよ。だが、本質は違う。【クリエイトツール】は使う者の技量によって『より質の高い道具』を具現化できるんだ。つまり、神業を持つ職人が【クリエイトツール】を持っていればその具現化する道具の質がはね上がり、その道具を使って作られた生産品は神具とまで評されることもあるのさ。例えば、今そのドワーフネコちゃんが持っているノコギリだが、実力者が具現化すれば木材を切っても木くずすら残らず切り口は金属のように磨かれたかのような断面になると言われているねぇ」
「そうだったんですか。そういえば、ドワーフネコさんが木材を切ってくれた時は木くずが出なかったですね。断面もきれいだったので、やすり掛けも本当は必要なかったかもしれませんね」
「にゃぷっと」
カラーボックスを作った時のことを思い出しました。木くずが出なかったのは、魔法で作り出した道具の効果なんだろうと思っていました。
「本当かい!!それほどの実力者は帝都でも1人しかいないと言われているが…」
ルシアさんはドワーフネコさんを見つめます。それに対してドワーフネコさんは臆することなくルシアさんを見つめ返します。
「なるほど。このドワーフネコちゃんは相当な実力者だね」
ルシアさんは私が言ったことが本当だと信じてくれました。
「ドワーフネコちゃん、すごいです~」
「にゃぷぷ~」
ドワーフネコさんはルシアさんとルゥちゃんの賞賛に照れているようです。
「そうだ、ルゥちゃんは1週間くらいお客様と出かける予定ではなかったのですか?」」
ウォークたちが逃げ去ったので、先ほどの騒動の時に浮かんだ疑問をルゥちゃんに投げかけます。
「途中の村で魔物の襲来の話を聞いたので仕事が取りやめになりました~。お祖母ちゃんはその村に迎えに来てくれたんです~」
「久しぶり孫の顔を見ようと思っていたからちょうど良かった。ところで、ユウナちゃんたちは街の防衛を請け負ったのかい」
「そうなんです。午前中はこの資材を壁の上に運びます。昼頃には壁の上で街に近づいてきた魔物の迎撃に当たります」
「カーヤの街は冒険者が多くいるから問題はないだろうさ。それにネコちゃんたちも結構な使い手のようだから心配なさそうだね。まぁ、手に負えないと思ったら迷わず『妖精の針子』へ逃げてきな。ルゥの友達だから私が守ってあげるよ」
「ありがとうございます、ルシアさん。危険だと思ったらお店に逃げさせてもらいます」
「それが良い判断だ。ほどほどに頑張りな」
「ユウナお姉ちゃんにネコちゃんたちも頑張ってください」
「にゃきゅっと」
ルゥちゃんとルシアさん激励してくれた後、お店へと帰っていきました。正直、魔物との戦闘になる可能性があることに不安があったのですが、実力者であるルシアさんが守ってくれると言ってくれたので少し安心できました。ルシアさんは私の不安を感じ取ったのでしょうか?その後、資材運びを開始したのですが頑張りによって多く思えた資材も数回で運び終わることが出来ました。もちろん、私やネコさんたちも手伝いましたよ。
「さて、次の集合まで時間があるので家に帰って少し休憩しましょうか?」
「にゃむっと」
エルフネコさんたちも賛成してくれたので、マイホームへと帰ろうとしました。しかし…。
カーン!!カーン!!カーン!!
「魔物の群れが近づいてきたぞー!!冒険者たちは集合しろー!!住民は建物の外に出てくるなー!!」
街中に鐘の音が鳴り響き、魔物の群れの襲来を知らせる防犯課の人たちの声が響き渡ります。
「皆さん、広場に戻りましょう」
「にゃぷっと」
魔物の襲来が予想より数時間早くなったようです。私たちは頷きあって先ほどまでいた広場に駆け出しました。どうか、ネコさんたちと無事に家に帰れるように願いながら。
お読みいただきありがとうございました。
今回の内容に合わせるため、第2章第3話のユウナとネコさんのお買い物の一部を修正しました。
内容はルゥの髪の色をピンク色から銀髪へと変更しました。ストーリーには全く影響はありません。
・ユウナのセリフの修正を行いました。
お気遣いしなくて結構です!!→お気遣いいただかなくても結構です!!
ご指摘ありがとうございます。2017/10/1




