(3)
「え? できますよ。計算上まだ引き返し地点にはまだ到達していないのに、寝起きが悪いとタコイチは引き返さなくっちゃって思っちゃうってことですよね?」
数人が考えを巡らせた。
「うむ。一応筋の通った説明にはなっているか?」
とタコキュが言い。
「ま、ゾータコ中は休みも取れるからな、タコゴは運転業務を離れて。タコジュゴとゾータコ準備に入るということで良さそうだな」
「わーい。ゾータコって初めて」
とタコゴは盛り上がり、他の個体はお互いに目配せして、タコゴの言動について、こそこそと分析しあった。
「まあ、少し陽気、ってことでは、楽観的な思考ができるってことで、ゾータコに入っても良いのでは?」
とタコシがそっと言い。
「そうだな、今回、タコジュゴも入るしな」
とタコハチがまとめ、
「よし、タコゴ、タコジュゴが明日からゾータコ業務に就く」
とタコキュが宣言した。
「他に何か質問は?」
とタコキュが続けて皆に問うと
「えっと、ちょっと話がかなり基本部分に戻るんですけど…」
とタコジュが申し訳なさそうに話に分け入り、皆が一斉にタコジュに注目した。
「あの、新資源って、とどのつまり、何なんですか?」
これでまた皆は緊張状態に陥り、しばし沈黙が続いた。
「あのね、それがわかっていたら、こんな捜査に出てないんだよ」
とタコゴが言った。
「何か新しい機能を持った物質…、燃料になるものとか…、おそろしく堅いとか、おそろしく変形するものとか、おそろしく透明とかさ、今まで見たことも聞いたこともないような物質を探しているんだから、それが何ってのはわかるわけないんだよ」
ここでしばしの沈黙があった後、
「ま、そういうことになるな」
とタコキュが言った。
「じゃあ、とにかく、運転未経験の4個体、タコジュイチ、タコジュニ、タコジュサン、タコジュシを加えて、タコニ、タコロク、タコキュ、そしてこの私タコハチの8個体体勢で運転業務を遂行する」
タコハチが言った。
ミーティングが終わり、ゾータコ室で、タコゴとタコジュゴがくつろいでいた。
「ああ、オレ、とにかく早く折り返し地点に行きたい」
とタコゴ。
「わたしの引き継いだ経験記憶には、タコ星での生活ってものが存在しないんすけど…」
と、タコジュゴ。
「そうだよね。なんか、だれもタコ星を知らないんだよ」
「そうなんすか?」
「そう。だからこそがんばれるんだよ」
「そういうもんすか?」
「そうだよ。皆、ちゃんと使命を心得ているから、口には出さないけどさ、皆が皆、タコ星に帰ることに憧れていると思うな」
「そうすか?」
「そうだよ」
「さ、ゾータコに入ろうぜ」
タコゴは陽気に第2手でタコジュゴの頭をぽんぽんとたたき、
「あ、ロマンすね?」
というタコジュゴの口を第3手で押さえ
「し~っ! だめだよ、そういう漠然とした概念は思っていても口にだしちゃだめ!」
とうっとりしながら、
「ゾータコこそが大事。どんどん増やそうぜ」
と、ポケッと見つめるタコジュゴを第4、第5手で抱きしめ、
「まだまだしっかりしなくちゃ、うんうん」
と一人でうなずいた。
「はい? あ? わ、わっかりました」
タコジュゴは首をかしげながらもわかったそぶりを見せ、2個体はゾータコ業務に入った。
お詫び
本日、(3)を掲載するにあたり、(1)(2)を読み直したところ、タコ星人の名前で混乱していた部分がありましたので、その部分を書き直しました。
申し訳ございませんでした。
もし、何かお気づきのことがありましたら、お教えいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。




