2. ソフト・ファシズム
みんな大好き、休みを告げるチャイムの音が鳴り響く。
一限終わりの教室内では猨島がクラス内から睨まれていた。
彼はクラス内でそこそこ活発的であり、フランクな奴でもある。身長も男子の平均は超えており、顔は…悪くはないのであろう。なにせ、クラス内の女子からの支持率もひととき前までは高かったのだ。
私も新学期初日から先ほどの事件じみたことは頭にくるので、久々に強く言おうと思い詰め寄り、語りかけた。
「言い訳は聞きたくない。でも残念だけど、真実は消えないよ。何が理由であなたが私に執着しているのか知らないけど、ストーキングしていたっていう客観的な事実から、あなたはどうやって逃げるつもり?」
私は猨島にガッカリしていた。
幼馴染だったこともあり、猨島のことを助けることはよくあったが、善行が裏目に出たような感じだ。
HRから今まで静観していた男子?生徒である牛丸優太が、私を睨みながら語りかけた。
「蟹江さん、ずっと見てて思ったけどさ、決めつけは良くないんじゃないかな?そもそも、純信はずっと否定してるじゃないか」
なんとなく予想はついていたが、猨島と仲の良い牛丸が反論してきた。私は、女子だと思えばそうなりそうな牛丸の華奢な体型と麗人風な顔を利用して言いくるめる。
「牛丸くん、あなたは逆にストーキングされ続けたとしたらどんな気持ち?ずっと続けてもらって良いと思っているの?私と同じように常識的な人だったら嫌な思いをするわ。プライバシーの侵害だし、人によってはトラウマになることだってある」
牛丸は私から出る常識に対して、少し言葉が詰まったようだったが、言い返してきた。
「でも、ストーカーし続けたとしていたら、純信が蟹江さんの3〜5分後に来るのはおかしいでしょ」
牛丸はたぶん私の胸につっかえていた謎であろう話題を引き合いに出して対抗する。だけど、まだ違和感が拭えきれない。
「もうこんなことやめよ?蟹江さんも争うことは控えているんでしょ?」
仲裁に入ったのは蜂須由香さんだ。
私の性格を知っているのか、この人も指摘が鋭い。しかし、今回の違和感がまだ拭えていない気がする。
私はそれを抱えながらも、当たり前のことを言い返す。
「なぜか客観的に私が悪くみられているような気がするけど、よく考えてみて。現在の状況から本当に悪いと感じるのは圧倒的にあっち(猨島)じゃない!あなたたち2人もアイツの味方をするよりこちらにつく方が正しいとは思わないの?」
あの2人に裏がありそうだと疑いを持っていたら、静まった教室にチャイムの音が鳴り響いた。
同じ音のはずなのに、みんな大好きなはずなのにこの音がこれほどまでに耳心地が悪いと感じたのは何故だろうか...
次回の投稿は2026年11月10日予定です。




