第十四話:食堂『しゃーろっと』、本日オープン!
朝。私の部屋の窓から、明るいお日様の光がたっぷりと差し込んできた。
今日はいよいよ、私の食堂が正式にお店を開く日だ。
ベッドから起き上がると、足元で丸くなっていたハクがすぐに目を覚まして、大きな尻尾をバッサバッサと振って挨拶をしてくれた。
「おはよう、ハク。今日からとっても忙しくなるわよ」
私が声をかけると、ハクは元気よく吠えて、さっそく厨房の方へと走っていった。
私も身支度を整え、清潔なエプロンを身につけてから、自分の部屋の扉を開けた。
扉の向こうには、私が土属性魔法で作った広くて使いやすい厨房がある。
昨日の夜に完成したばかりのお味噌とお醤油の匂いが、まだほんのりと空気に残っていた。
部屋の端では、コテツちゃんがすでに待機していて、私と目が合うと大きな右手をゆっくりと上げてくれた。
「おはよう、コテツちゃん。さっそくお昼の開店に向けて、たくさんのお料理を作っていくわよ」
コテツちゃんは力強く頷き、かまどの前へと向かった。
私はまず、地下室の壺から大量の白いお米を大きな器に運び出した。
今日やってくるお客さんがどれくらいになるかはわからない。でも、ギルドのガンツさんや冒険者の人たちがきっと来てくれるはずだ。たくさん炊いておいて損はない。
水受けの鉢で、お米を何度も丁寧にお水で洗う。
シャカシャカという軽快な音が厨房に大きく聞こえる。
濁ったお水を捨て、また新しいお水を入れる作業を繰り返し、お水がすっかり透明になったところで、巨大な土鍋の中へとお米を移した。
お水をたっぷりと入れ、蓋をしてしばらく置いておく。こうすることでお米がお水を吸い、炊き上がりがとてもふっくらとするのだ。
「コテツちゃん、火をお願い。最初は強くして、お鍋の中のお水が沸騰したら弱くしてちょうだい」
私の指示を聞いて、コテツちゃんは手際よく薪を並べ、火打石でカチカチと火を起こした。
パチパチという音とともに、炎がかまどの中で元気に燃え上がる。
その間に、私はお味噌汁の準備に取り掛かる。
別のお鍋にお水とお肉の骨から取ったダシを入れ、市場で買ってきた葉っぱのお野菜と、甘い根菜を包丁でザクザクと切って放り込む。
お野菜が柔らかくなるまで火にかけ、最後に昨日できたばかりの茶色いお味噌をお玉の中で丁寧にお湯と馴染ませていく。
お味噌が全体に広がった瞬間、あの深くて心が落ち着く匂いが立ち上った。
「わんっ!」
ハクがお味噌汁の匂いに反応して、かまどの横で嬉しそうに吠えた。
彼もすっかりこの匂いがお気に入りになったようだ。
「次はお肉の準備よ。今日は特別なお肉料理を作るからね」
私は作業台の上で、市場で仕入れた豚肉によく似た魔物のお肉を取り出した。厚みのあるお肉を、食べやすいように少しだけ薄切りにしていく。
トントン、トントンと包丁の音が続く。
お肉を切り終えた後、私は別の食材を取り出した。
市場の野菜売りのおばさんから買っておいた、土のついたゴツゴツとした形の根菜だ。
表面の皮を包丁で薄く削り取ると、中から黄色っぽい中身が現れる。そして、鼻をツンと刺激するような、独特の爽やかで辛みのある匂いがした。
間違いない。これは生姜だ。
前世で私が大好きだった、あの生姜とまったく同じものだった。この世界にも似たような植物があることは知っていたけれど、市場で見つけた時は本当に嬉しかった。
私は土属性魔法で新しく作った、表面がザラザラとしたおろし器を用意した。
「これを使って、生姜を細かくすりおろすのよ」
おろし器に生姜をこすりつけると、シャリシャリという音と一緒に、生姜の水分と細かくなった繊維が器の下に落ちていく。
爽やかな辛い匂いが、厨房の中にいっそう強く広がる。
「くしゅんっ!」
匂いを嗅ぎにきたハクが、大きなお鼻をヒクヒクさせて大きなくしゃみをした。
「ふふっ。ハクには少し刺激が強いかもしれないわね。でも、これが後でお肉をものすごく美味しくしてくれるのよ」
私はすりおろした生姜を大きな器に入れ、そこへ昨日完成したばかりのお醤油をたっぷりと注ぎ込んだ。
さらに、市場で買った甘い果物の絞り汁を少しだけ加える。これで、お醤油のしょっぱさと、生姜の辛み、そして果物の甘みが一つになった最高のタレができあがる。
切り分けておいたお肉を、そのタレの中へ入れてしっかりと手でもみ込む。
お醤油と生姜の匂いがすでにお肉に染み込んでいき、焼く前だというのに美味しそうな匂いがしている。生姜焼きだ。
お肉のタンパク質がお醤油の成分と反応して柔らかくなり、さらに生姜の成分がお肉の臭みを消してくれる。この世界のお肉はどうしても魔物特有のクセがあることが多いけれど、生姜とお醤油を使えば、そんなクセはすっかり消えて、すばらしい旨味だけが残るのだ。
そうこうしているうちに、巨大な土鍋の蓋の穴から勢いよく白い湯気が吹き出し始めた。
お米の炊ける甘い匂いが、お味噌汁の匂いや生姜の匂いと一緒になって、厨房の中はこれ以上ないほど食欲を刺激する空間になった。
窓を開け放つと、その匂いは風に乗って、お店の外の通りへと流れていく。
◇
お昼前。
お店の外からは、通りを歩く人たちのざわざわとした声が聞こえてくるようになっていた。
「なんだか、すごくいい匂いがするぞ」
「この新しい食堂からだ。今日が開店らしいぞ」
「それにしても、嗅いだことのない匂いだな。腹が減ってくる」
そんな声が窓越しに聞こえてきて、私の期待は大きく高まった。
土鍋の火を止め、十分に蒸らしたところで、私はお店の入り口へ向かった。
重い引き戸を開け、表にコテツちゃんと一緒に作った手作りの看板を立てる。
「いらっしゃいませ! 食堂しゃーろっと、本日開店です!」
私が大きな声で外に向かって言うと、通りにいた人たちが一斉にこちらを見た。
ハクも私の隣でお座りをし、「わふっ!」と元気よく愛嬌を振りまいている。
すると、大通りの方から、大きな足音を立てて歩いてくる集団が見えた。
「おお、開いたか! 朝からギルドまでとんでもなくいい匂いが流れてきて、仕事に集中できなかったぞ!」
先頭を歩いていたのは、冒険者ギルドのギルドマスター、ガンツさんだった。
その後ろには、大きな剣や槍を背負った冒険者たちが五、六人ほど続いている。みんな、私のダンジョン踏破の時によくギルドで見かけた顔ぶれだ。
「ガンツさん、いらっしゃいませ。一番乗りですね」
私が笑顔で出迎えると、ガンツさんは豪快に笑いながら、重い引き戸をくぐってお店の中へ入ってきた。
「おう、開店おめでとう。約束通り、ギルドの連中を連れてきたぜ。それにしても、外から見た時はボロい建物だったが、中は見違えるようにきれいになったな」
ガンツさんは、広い土間を見渡して感心したように言った。
土属性魔法で壁や床を直し、市場で買ってきた頑丈な木のテーブルと椅子を並べた客席は、とても清潔で居心地の良い空間になっている。
「さあ、好きな席に座ってください」
冒険者たちは武器を壁に立てかけ、テーブルを囲んでどっしりと腰を下ろした。
「それで、お嬢ちゃん。メニューはなんだ? これだけいい匂いがするんだ、なんでも食うぞ」
ガンツさんが大きな声で尋ねてきた。
「今日のメニューは一つだけです。『生姜焼き定食』になります」
私が答えると、冒険者たちは顔を見合わせた。
「しょうがやき? ていしょく? 聞き慣れない言葉だな」
「はい。ご飯と、温かい汁物と、生姜というお野菜とお醤油を使ったお肉のおかずがセットになったお食事のことです。すぐに用意しますから、待っていてくださいね」
私が説明すると、ガンツさんは大きく頷いた。
「わかった。その定食ってやつを、ここにある人数分頼むぜ」
「かしこまりました!」
私は深くお辞儀をして、すぐに厨房へと戻った。
さあ、いよいよ本番だ。
コテツちゃんに頼んで、かまどの上の厚い鉄の板を熱くしてもらう。
十分に熱を持った鉄の板の上に、タレに漬け込んでおいたお肉を次々と乗せていく。
ジューッ!
激しい音とともにお肉の脂が弾け、香ばしい匂いが上がる。
お肉の表面がきれいな茶色に焼けたところで、全体を大きく裏返す。
中までしっかりと火が通ったのを確認し、器に残っていたタレを少しだけ鉄の板に追加でかける。
ジュワァァァァァッ!!
本日一番の大きな音とともに、焦げたお醤油と生姜の匂いが爆発するように厨房いっぱいに広がった。
お肉の焼ける匂いとお醤油の香ばしさ、そして生姜の爽やかな辛みが合わさって、暴力的なまでに食欲を刺激してくる。
客席の方からも、「うおおっ」「なんだこの匂いは」という冒険者たちの野太い声が聞こえてきた。
「コテツちゃん、お盆の準備をお願い!」
私の声に合わせて、コテツちゃんが大きなお盆をいくつも作業台の上に並べる。
私は巨大な土鍋の蓋を開け、真っ白でふっくらと炊き上がったご飯を、木のお茶碗に山盛りに盛り付けていく。
お米の一粒一粒が輝いていて、とても美しい。
その隣には、お野菜がたっぷり入ったお味噌汁をお椀によそって置く。
真ん中には、生姜焼きのお肉のお皿だ。お肉の横には、細かく刻んだ緑色の葉っぱのお野菜を添えておく。
「よし、できたわ。コテツちゃん、配膳をお願いね」
私が言うと、コテツちゃんは両手に一つずつ、さらに平らな頭の上にもう一つ、合計三つのお盆を同時に乗せた。
そして、ガシャンガシャンと足音を立てながら、土間の客席へと向かっていく。
彼の動きはとても滑らかで、頭の上のお盆も全く揺れない。お味噌汁の汁一滴すらこぼすことなく、冒険者たちのテーブルへと正確にお盆を置いていった。
全員の前にお食事が並び終え、私も土間へと出ていった。
「お待たせいたしました。生姜焼き定食です」
私が言うと、ガンツさんと冒険者たちは、目の前に置かれたお盆を見て不思議そうな顔をした。
「お嬢ちゃん、これは……なんだか見たことのないものばかりだな」
ガンツさんが、お味噌汁のお椀を指差して言った。
「この汁、なんだか茶色いぞ。それに、お肉の方にかかっているのも黒っぽいタレだ。凄まじくいい匂いがするが……」
「本当だ。それに、この器に入っている白い粒の山はなんだ? パンの代わりか?」
他の冒険者たちも、初めて見る和食の姿に驚きを隠せないようだった。
無理もない。彼らが普段食べているのは、塩味のスープに、硬いパン、そしてただ焼いただけのお肉だ。
お味噌もお醤油も、そしてふっくらとしたお米も、この世界では誰も見たことがないのだから。
「毒は入っていないから安心してください」
私が冗談で笑うと、ガンツさんは豪快に笑い返した。
「あっはっは。あのミノタウロスを倒すお嬢ちゃんが、わざわざ毒なんて使うわけがないさ。ただ、あまりにもいい匂いがするのに、見た目が全然知らないものだから戸惑っただけだ。どうやって食えばいいんだ?」
「まずは、その温かい汁物を一口飲んでみてください。それから、お肉を少し食べて、その味がお口に残っているうちに、白いご飯をたくさん頬張るんです」
私が食べ方の説明をすると、ガンツさんは大きく頷き、木のお椀を両手で持ち上げた。
そして、ズズッと大きな音を立てて、お味噌汁を一口飲んだ。
その瞬間。
ガンツさんの動きが、石の像になったかのようにピタリと止まった。
「ガンツさん?」
私が声をかけると、ガンツさんはお椀をテーブルに置き、手で口元を覆ってから、信じられないものを見るような顔で私を見た。
「おい……なんだこれ。ただの塩の味じゃない。野菜の甘みと、肉のダシ、それにこの茶色い汁の奥深い味が一緒になって……腹の底から温まるような、とんでもなく優しい味がするぞ!」
ガンツさんの大声に、他の冒険者たちも慌ててお味噌汁を飲み始めた。
「うおおっ、本当だ! なんだこの汁!」
「うまい! こんなうまいスープ、飲んだことがないぞ!」
客席が一気に騒がしくなる。
ガンツさんは次にお箸……ではなく、彼らが使い慣れている木製のフォークを手に取り、生姜焼きのお肉に突き刺した。
そして、大きなお口を開けてお肉を放り込む。
ザクッ、という良い音がした。
「……!」
ガンツさんは目を見開いた。
お醤油の香ばしさと果物の甘み、そして生姜のピリッとした辛みが、お肉の脂をすっきりとさせ、凄まじい旨味となって口の中に広がったのがわかったのだろう。
彼は私の説明した通りに、すぐさまお茶碗の白いご飯をフォークですくい、お口の中へ追加で入れた。
お肉とタレの味を受け止める、お米のふんわりとした柔らかさと甘み。
「う、うまい……! うますぎる!」
ガンツさんは立ち上がりそうになるほどの勢いで叫んだ。
「この肉のしょっぱさと生姜の辛みが、この白い粒の甘みと信じられないくらい合う! パンなんかよりもずっと柔らかくて、口の中で肉の脂と一緒になって最高の味になるぞ!」
ガンツさんの言葉を聞いて、他の冒険者たちも一斉にお肉とご飯を食べ始めた。
ガツガツ、バクバク!
土間の中に、男たちが夢中になってご飯をかき込む音が連続して聞こえる。
最初は黒い色に戸惑っていた彼らだったが、一口食べた途端にその味の虜になってしまったようだ。
「おい、このお肉にかかっているタレ、最高だぞ! ピリッとした辛さがあるのに、果物みたいな甘みもあって、いくらでも食える!」
「本当だ! この白い粒と一緒に食うと、口の中がたまらなく美味しくなる!」
冒険者たちは口々にお肉とご飯の相性の良さを叫びながら、ものすごい速さでお皿の中身を減らしていく。
会話をする余裕もないほどに、お肉を口に入れ、ご飯を頬張り、合間にお味噌汁を飲むという動作を繰り返している。
見ているこちらが気持ちよくなるほどの、すばらしい食べっぷりだ。
「お嬢ちゃん、この白い粒、もっとないか! 肉の味に合いすぎて、すぐになくなっちまう!」
あっという間にお茶碗を空にした冒険者の一人が、空の器を突き出して叫んだ。
「俺もだ! おかわりを頼む!」
「こっちも汁を追加してくれ!」
次々とおかわりの声が上がる。
「はい、たくさんありますからね。ちょっと待ってください!」
私は嬉しさで胸をいっぱいにしながら、急いで厨房へ戻った。
巨大な土鍋から、次々とご飯をよそっていく。
コテツちゃんが空いたお茶碗を受け取り、私がご飯を入れ、またコテツちゃんが運んでいく。
その見事な連携のおかげで、冒険者たちを待たせることなくお食事を出し続けることができた。
コテツちゃんは休むことなく動き続け、次々におかわりの器を土間へ運んでいく。彼の無言の働きぶりは、食堂の店員として百点満点だ。
「わんっ! わふぅ!」
入り口のそばでは、ハクが大きな尻尾を振って、美味しそうに食べるお客さんたちを満足そうに眺めている。
自分がお肉を食べたわけでもないのに、なんだか誇らしげな顔をしているのがとても愛らしかった。
時には、ご飯粒を床にこぼした冒険者の足元へすかさず駆け寄り、きれいに舐めとってあげるという看板犬らしい働きも見せている。
◇
三十分後。
あれだけたくさんあった巨大な土鍋のご飯も、大鍋のお味噌汁も、大量に用意した生姜焼きも、すっかり空っぽになってしまった。
「ふう……食った食った。腹がはち切れそうだ」
ガンツさんは大きく膨らんだお腹を手でさすりながら、椅子に深く背中を預けた。
テーブルの上には、きれいにお米一粒残さず食べられた空の器が山のように重なっている。
他の冒険者たちも、大満足といった顔で息を吐き出していた。
「お嬢ちゃん、あんたはとんでもない魔法使いかもしれないが、それ以上に、とんでもない料理人だな」
ガンツさんが心底感心したような声で言った。
「こんなにうまい飯を食ったのは、生まれて初めてだ。あの茶色いスープも、生姜を使ったお肉の黒いソースも、今まで味わったことのない深みがあった。それに、あの白い粒だ。あれがあるだけで、肉のうまさが何倍にもなる。魔法の食べ物だな」
「喜んでいただけてよかったです。あの茶色いのはお味噌、黒いのはお醤油、そして白いのはお米というんです。私の故郷で食べられていた、最高のお食事なんですよ」
私が笑顔で答えると、ガンツさんは大きく頷いた。
「間違いない。この味を知っちまったら、もうその辺の酒場の干し肉とパンには戻れねえよ。ギルドの連中にも絶対に教えなきゃならんな」
「ええ、明日も必ず来ますよ。金ならいくらでも払いますからね」
他の冒険者たちも口々に褒めてくれる。
「ありがとうございます。明日も、明後日も、ずっと美味しい生姜焼き定食を用意して待っていますね」
私は深くお辞儀をした。
王都のエヴァンス伯爵邸にいた頃、台所から遠ざけられ、自分の好きな料理を作ることができなかったあの窮屈な日々。
理不尽な理由で家を追い出された時はどうなることかと思ったけれど、今はこの辺境の町へ来て本当に良かったと心から思える。
私がずっと求めていた和食を完成させ、それをたくさんの人たちが美味しいと笑顔で食べてくれる。
これ以上の幸せは、きっとどこにもない。
ガンツさんたちがお金を払い、満足げな顔でお店を出ていくのを見送った。
「コテツちゃん、ハク。お疲れ様。初日から大成功ね」
私が声をかけると、コテツちゃんは両手を上げて万歳をし、ハクは「わんっ!」と元気よく吠えて私の足元にすり寄ってきた。
今日はもうご飯がなくなってしまったから、夜の分を新しく仕込まなければならない。
ガラッ。
その時、再び入り口の重い引き戸が開く音がした。
「あの……ここ、ご飯屋さんですよね? すごくいい匂いがして、外から見ていたんですが……」
顔を出したのは、市場でよく見かける若い商人だった。
どうやら、ガンツさんたちの食べっぷりを外から見ていて、我慢できなくなって入ってきたようだ。
「いらっしゃいませ! ごめんなさい、今ご飯を炊き直すので、少しだけ待っていてくださいね」
私は満面の笑顔で彼を迎え入れた。
私の和食の匂いが、この町の人たちを次々と引き寄せている。
どうやら、休んでいる暇はないようだ。お昼ご飯の時間はまだまだ終わらない。私はすぐに厨房へと戻り、新しいお米を洗うために水受けの鉢の前に立った。




