誘拐犯との対面
ドアを開けると、二人の視線が痛い程だった。
ヒロは俺の真後ろにいるので、まだ、この二人からは見えていないだろう。
『おい、俺はジーズー王国の国王だぞ。
いつまでこんな所に閉じ込めておくんだ。
さっさと解放しろ。』
やはり、尊大な言い方だな。
この男、本当に国王なのか?
『申し訳ありませんが、確認が取れるまでお待ち下さい。
私は冒険者ギルドマスターのマティアスと申します。
お名前を伺いたいのですが。』
『ふん。
こんなに遠くて野蛮な国には、俺の名も伝わってはいないのだな。
良かろう。
俺は、ブランドンだ。
ブランドン陛下と呼びたまえ。』
『そちらの者の名前は?』
『ふん。
名も無き家来だ。』
威張りちらしていて、いけ好かない野郎だな。
『では陛下自ら、なぜこの国に来られたのですか?』
『俺の妻がこの国にいるとの情報があったからだ。
愛しい妻を迎えにきたのだ。
俺は優しいからな。』
『妻とは、一緒にいた女性の事で間違いないのですか?』
『ああ。
妻は突然拐かされたのだ。
妻の誘拐と、俺の不当な拘束で、この国はもう終わりだな。
お前たちは処刑だな。』
こんな奴が国王の国こそ、終ってるんじゃないか?
殴りたくなるのを、必死で堪えた。
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『お前たちは処刑だな。』
マティアスさんの後ろに隠れるように立っていたら、そんな声が聞こえた。
この人、何言ってるの?
マティアスさんは、悪い事なんてしてないじゃない!
それに、妻って、私の事を言ってるんだよね?
こんな人知らないし、好きになんかなれっこない!!
もう、腹が立つ!!
『マティアスさんは悪い事なんてしてません!
処刑になんてなりませんよ!!』
怖いのも忘れて、前に出て言ってしまった。
『おお!
チヒロではないか?
探したぞ!!』
『私は、あなたの事なんか知りません!
私は、マティアスさんの嫁です!!』
『この者の嫁だと?!
一体、どういう事だ?!』
うう。
そんな、怖い顔したって、私はマティアスさんの嫁ですよ!!




