マティアスさんにお料理を
マティアスさんが冒険者ギルドでお仕事をしている間、私はお料理を習う事にしました。
ビーもおまけで習います。
二人だけでお留守番なんて言語道断、とマティアスさんが言って、ギルドまで連れて来たんですが、長い時間なので退屈過ぎます。
そんな時、食堂のおばさんが手招きしてくれたのですよ。
『ギルマスの好物教えてやるからね。』
とても優しいおばさんなのです。
旦那さんは料理長さんらしくて、子供二人がチョロチョロしているのが邪魔に思っても、奥さんの威圧で黙らせてしまいます。
『尻に敷かれてるな。』
ビーがボソリと呟いてましたよ。
『まず、そこに座ってこの豆をむいておくれ。』
沢山の豆をむくようですね。
『ただの雑用要員だな。』
ビーがため息をついてますね。
時間はたっぷりあるんですから、喜んでお手伝いしましょうよ。
黙々と二人で豆をむきます。
さやを開いたら平均4~5個の豆が入っていて、なんだか可愛らしいんですよ。
この豆でどんな料理を作るんでしょうね。
『キミ、自分の事はどの位覚えているの?』
ビーが聞いてきました。
『さあ、分かりません。
私はマティアスさんと一緒に住んでいる【ヒロ】です。
それ以外の事は分かりませんね。』
『キミはそれで良いの?
自分の事を思い出したくはならないのかな?』
『昨夜は私、直ぐ眠ってしまったんでしょうね。
手を繋いだ後、何か分かったんですか?』
『キミにかけられている術が、かなり強いものだという事が分かったよ。
護符やら準備万端で介入しようとしたけれど、弾かれた。
俺の能力でダメなんだから、これはもう、時機を待って自然に任せた方が良いのかも知れないね。』
『自然に戻れるんですか?』
『多分ね。
キミの潜在意識では戻りたがっているようだから、そう遠い未来ではないと思うんだ。』
私が成長したら、マティアスさんはどう思うんでしょうね。
怖いけれど、一人でお料理を作ってあげたりして役にたちたいので、やっぱり大きくはなりたいんですけど。
『さあ、豆がむけたら、おいしいスープを作るよ!』
おばさんが促してきます。
マティアスさんの好物の豆のスープ、頑張って作ります!!
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昼飯を食いに食堂に行くと、ヒロが満面の笑みでスープを運んできた。
ヒロがお手伝いして作ったのだと言う。
『マティアスさんの好物の豆のスープですよ!』
うっ、、、。
ヒロの後ろで料理長の奥さんが、にこやかに召し上がれと言っている。
俺、このスープ苦手なんだよな。
奥さんはそれを知ってて、わざとヒロに作らせたんだろうな。
苦手だけど、可愛い娘が頑張って作ったんだ。
決死の覚悟で完食し、美味しかったとお礼を述べた。
・・・・・・・この奥さんには敵わないな。
最強の魔物と戦った方が、まだ勝てそうだ。




