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君のためなら、何でもできる。   作者: 足早ダッシュマン
第4章 ─錆びし黄金時代編─
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第10話 逃げねば

※本作は一部に生成AI(ChatGPT)による言語補助を活用していますが、ストーリー・キャラクター・構成はすべて筆者が作成しています。

ご理解の上でお読みください。

1

 一方(いっぽう)そのころ――


 スマラグドスは、(あき)らかに(こわ)れていた。


 道路(どうろ)のあちこちには、事故(じこ)(つぶ)れた(くるま)放置(ほうち)されている。


 高級車(こうきゅうしゃ)も、配送車(はいそうしゃ)も、区別(くべつ)なく。


 建物(たてもの)突っ込(つ こ)んだもの。

 横転(おうてん)したまま()まっているもの。

 (ほのお)()げているものまであった。


 なのに。


「……なんなの、これ」


 誰も叫(だれ さけ)ばない。


 (たす)けを()(こえ)も、怒鳴(どな)(ごえ)も、()(ごえ)もない。


 ただ、(とお)くで警報音(けいほうおん)だけが(むな)しく()(つづ)けている。


 都市全体(としぜんたい)が、呼吸(こきゅう)()めてしまったみたいだった。


 ミチルは周囲(しゅうい)警戒(けいかい)しながら(ある)く。


(とにかく……(はな)れないと)


 (なに)()きているのか()からない。


 政府(せいふ)なのか。

 魔女(まじょ)なのか。

 それとも、この都市(とし)そのものがおかしくなったのか。


 だが、本能(ほんのう)()げていた。


 ここにいてはいけない。


 その(とき)だった。


 前方(ぜんぽう)街灯(がいとう)(もと)に、()ぶらの人影(ひとかげ)()っている。


 (しろ)いベール。

 (しろ)長袖(ながそで)(ふく)

 (しろ)手袋(てぶくろ)


 見覚(みおぼ)えが、ありすぎた。


 ミチルの(あし)()まる。


「……エイコ?」


 (のど)から、勝手(かって)(こえ)()れた。


 その人物(じんぶつ)がゆっくり()(かえ)る。


 ジェーン。


 ホステルで(はたら)いている少女。


 けれど、ミチルにとっては(ちが)う。


 ハサミ エイコ。


 たった一人(ひとり)友達(ともだち)


 (むね)が、(つよ)締め付(し つ)けられた。


 (さが)していた。


 ずっと。


 (ばつ)としてでも、使命(しめい)としてでもなく。


 本当(ほんとう)は、もう一度(いちど)()いたかった。


「……っ」


 言葉(ことば)()ない。


 一方(いっぽう)、ジェーンは都市(とし)混乱(こんらん)しているのを()らないのか


 ただ、ぼんやり()っている。


 どこか(ゆめ)(なか)にいるみたいに。


 (とお)くで、また轟音(ごうおん)()った。


 地面(じめん)がわずかに()れる。


 ミチルは反射的(はんしゃてき)(そら)見上(みあ)げ――(とお)くにそびえる虹色(にじいろ)巨塔(きょとう)視界(しかい)()れる。


 嫌な汗(いや  あせ)背中(せなか)(つた)った。


()からない)


 (なに)も。


 (なに)()きているのかも。

 何が正(なに ただ)しいのかも。


 けれど。


 たったひとつだけ、はっきりしていることがあった。


 ――この()を、ここに()いてはいけない。


 ミチルは(いきお)いよくジェーンへ駆け寄(か よ)る。


「――?」


 ジェーンが(なに)()うより(はや)く、その手首(てくび)(つか)んだ。


 (しろ)手袋(てぶくろ)()しの感触(かんしょく)


 (ほそ)い。


 (むかし)()わらない。


()なさい!!」


 ミチルは(さけ)ぶ。


 方向(ほうこう)なんて()からない。


 安全(あんぜん)場所(ばしょ)がどこかも()からない。


 それでも。


 ただ、この都市(とし)から(とお)ざけたかった。


 ミチルはジェーンの手を引(て ひ)き、がむしゃらに(はし)()す。


 (くだ)けたガラスを踏み越(ふ こ)え。

 横転(おうてん)した(くるま)(よこ)(とお)()ぎ。

 不気味な静寂の都市を。


 背後(はいご)では、虹色(にじいろ)巨塔(きょとう)(みゃくうつ)打つように(ひか)っていた。


 まるで、二人(ふたり)()ているみたいに。


2

 ケイは、(しろ)いカエルのぬいぐるみを(しず)かに(かか)えたまま、パーティー会場(かいじょう)(あと)にした。


 ドアの()こう(がわ)


 そこに(ひろ)がっていたのは、(さき)ほどまでの(きら)びやかな都市(とし)とは別物(べつもの)光景(こうけい)だった。


「……はぁ」


 (おも)わず、眉間(みけん)のしわが(ふか)くなる。


 道路(どうろ)完全(かんぜん)機能(きのう)(うしな)っていた。


 (くるま)何台(なんだい)衝突(しょうとつ)し、()(かさ)なるように()まっている。

 信号(しんごう)(くる)ったように点滅(てんめつ)し、道路標識(どうろひょうしき)はぐにゃりと()がっていた。


 なのに、(ひと)悲鳴(ひめい)がほとんど()こえない。


 (しず)かすぎる。


 まるで都市全体(としぜんたい)が、(なに)かに呑み込(の こ)まれた(あと)みたいだった。


「……交通網(こうつうもう)()んでるな」


 ケイは冷静(れいせい)周囲(しゅうい)観察(かんさつ)する。


 この状態(じょうたい)で“(もん)”を(さが)すのは危険(きけん)すぎる。


 人の流れも、都市構造も、既に正常じゃない。


地上(ちじょう)駄目(ダメ)だ。これじゃあ地下鉄(ちかてつ)混乱(こんらん)してるだろう。)


 そう判断(はんだん)した瞬間(しゅんかん)、ケイは片手(かたて)(かる)()った。


 空間(くうかん)魔法陣(まほうじん)(はし)る。


 (つぎ)瞬間(しゅんかん)、ホバースクーターが召喚(しょうかん)された。


 白銀色(はくぎんいろ)流線型(りゅうせんがた)機体(きたい)


 だがサイズはユウ(よう)(つか)られているため。成人(せいじん)サイズには(すこ)(ちい)さい。


「……重量(じゅうりょう)オーバーになりませんように!」


 道具(スマホ)道具(のりもの)(いの)る。


 それでも、()べないよりはマシだった。


 ケイは(しろ)いカエルのぬいぐるみを(ふところ)丁寧(ていねい)()()み、そのままスクーターへ(また)がる。


 浮力音(ふりょくおん)


 機体(きたい)がふわりと(ちゅう)()いた。


「ヨシ!()くぞ」


 (ちい)さく(つぶや)き、アクセルを()かす。


 スクーターは(よる)のスマラグドスを駆け上(か あ)がるように飛翔(ひしょう)した。


 ビル(ぐん)()え、さらに(うえ)へ。


 地上(ちじょう)惨状(さんじょう)(とお)ざかっていく。


 だが。


「……ん?」


 ケイの表情(ひょうじょう)(くも)る。


 (そら)


 (なに)かがおかしい。


 最初(さいしょ)は、ただの違和感(いわかん)だった。


 星空(ほしぞら)が、不自然(ふしぜん)()れている。


 いや――


 (ほし)じゃない。


 ケイは目を細める。


 暗闇(くらやみ)()こうに、“(なに)か”がある。


 巨大(きょだい)すぎて、認識(にんしき)できなかったもの。


 それは、空全体(そらぜんたい)(おお)うように存在(そんざい)していた。


 びっしりと。


 均一(きんいつ)に。


 無数(むすう)の“(ひか)宝石(ほうせき)”が(なら)んでいる。


 暗闇(くらやみ)の中で、(あわ)虹色(にじいろ)(かがや)くそれら。


 だが(つぎ)瞬間(しゅんかん)、ケイは理解(りかい)する。


 タイガにてユウが(けもの)(たお)した(あと)にはぎ()っていた()()


「あれ……まさか魔核(まかく)か?」


 ぞわり、と背筋(せすじ)()える。


 宝石(ほうせき)のように()えたものは、すべて。


 大量(たいりょう)魔核(まかく)貼り付(は つ)けられた都市(とし)(おお)屋根(やね)だった。


 巨大(きょだい)(なに)かの表面(ひょうめん)に、整列(せいれつ)するように貼り付(は つ)けられた無数(むすう)宝石(ほうせき)たち。


 (そら)だと(おも)っていたもの、そのものが。


 “()()()()()()()()”。


「――っ!?」


 ()づいた瞬間(しゅんかん)


 ゴンッ!!


 (はげ)しい衝撃(しょうげき)


 スクーターが屋根(やね)にぶつかった。


 機体(きたい)(おお)きくバランスを(くず)す。


「しまっ――」


 ホバースクーターが回転(かいてん)する。


 制御不能(せいぎょふのう)


 夜景(やけい)天地(てんち)(さか)さまにひっくり(かえ)る。


 ケイはとっさに(ふところ)()さえた。


 (しろ)いカエルのぬいぐるみだけは(はな)すまいと。


 そのまま。


 (かれ)(よる)のスマラグドスへ()かって、()(さか)さまに落下(らっか)していった。



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