海外デビュー未遂!?
「また明日ね!」待ちに待った放課後、級友と別れて駆けて行くダン。
ノルッシ(ヘルシンキ大付属中)の門を出ると、たちまちヘルシンキ中心街に紛れる。
東京や大阪のような大都市と比べれば小ぶりだが、賑やかな通りにはディナータイムの仕込みの香り、
耳を吸い寄せて行く音楽、春の彩りで目を引き付けるショーウインドウが溢れ出している。
チラ見しながらも、そのままトラムの駅へたどり着く。
一息ついたところで、髪をそよがせる潮風に気づく。
比較的コンパクトで平坦な港町ヘルシンキは、どこでも潮風がお供だ。
間もなく現れた車両へ乗り込む。ここから10分足らずの旅。
HJKの下部組織はスタジアム周辺に施設を構える。
この通いやすさがノルッシを選んだ理由だ(パパのコネもあるけど笑)。
街並を何気なく眺めているうちに到着。目の前にフィンランド最大のサッカークラブ、HJKのホームスタジアムが。
いつものようにU-15のエリアに入ると、顔見知りのU-19のコーチが声をかけて来た。
「おっダン、早かったな。ところで今日からU-19に参加してみないか、良かったら。」
「え~っ!じゃあオランダ遠征はどうするの?」
再来週に控えていたU-15のオランダ遠征。フィンランドのレジェンド、ヤリ・リトマネン(アヤックス他)が築いたこのルートを、修学旅行のように楽しみにしていたダンであった。
「うーん。前向きに検討中と言う所で。俺も又聞きだから。」及び腰のU-19コーチ。
「まっお任せするよ。やっぱり早く昇格したかったからね。」
このスピード感がHJK、5大リーグへも多数の選手を供給する秘訣なのだ。
着替えを済ませU-19のグラウンドへ入ると、「おっ来たな」「改めてよろしく」新しい仲間達が続々と声をかける。
「じゃあ、いっちょやりますか」
14歳の春は、この日のストレッチに始まった。




