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運命の彼女を追って進学したのに、振った四人が全力で潰しに来てます  作者: 銀河猿


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第38話 なんとか乗り切ったと思ったら、次の爆弾が爆発しました

「ただいまー……」

いつも通りの挨拶とともにドアを開けた瞬間、陽奈が僕の胸に飛び込んできた。

「おかえり、志貴!」

「うおっ!? ど、どうしたんだ陽奈。急に……」

「だって、志貴がいつも通りの感じで帰ってきたのが嬉しくて……」

陽奈は僕の胸に顔を埋めたまま、安心したように吐息をつく。

「なんだよ、いつも通りって。別に何もないよ」

「うんうん、信じてたよ志貴。大好き!」

「変なやつだな」と苦笑しながら、僕は陽奈の頭を撫でる。

「……えへへ、もっとして」

「……そろそろ、いいかなぁ?」

リビングの入り口で、のどかが笑顔で立っていた。だが、その瞳は全く笑っていない。

「何? のどか、羨ましいの?」

陽奈が勝ち誇ったように煽る。

「羨ましいです! 志貴くん、後で私にもしてくださいね」

「のどか!? そんなキャラだったっけ?」

「いいんです。志貴くんを早く私だけに夢中にさせるためですから!」

「アタシだって! 志貴を夢中にさせるもん!」

「……早くしてくれませんか?」

さらに冷徹な声が響く。美雪姫が、修羅の如きオーラを纏ってこちらを睨んでいた。

「は、はい……すぐ行きます」

美雪姫の「鶴の一声」で、のどかと陽奈はしぶしぶ僕から離れていった。美雪姫は二人の背中を見送ると、僕にだけ聞こえるフランス語で吐き捨てた。

「Ils flirtent partout... quel coureur de jupons…(どこでもイチャイチャして……本当にスケコマシですね)」

おい、どこがスケコマシだ。

今のどこにその要素があったんだよ……。

「それで? 今日のドッジはどうだったの?」

夕食を頬張りながら、陽奈が前のめりに聞いてきた。

「食べるか話すかどっちかにしなよ」

僕がたしなめると、陽奈は慌ててご飯を飲み込み、目を輝かせた。

「それで……? どうだったのよ!」

僕は少し真剣な顔で、正直な感想を口にする。

「思っていた以上に楽しかったよ。やっぱり、チームプレイってのも捨てがたいよな」

その瞬間、陽奈の表情から光が消えた。

「そう……なんだ……」

彼女は勢いよく乗り出していた体を戻し、覇気のない声で呟く。

「じゃあ、ドッジボール部にするんだ……」

「おいおい、どうしたんだ? そんなこの世の終わりみたいな顔して」

「だって、今回は志貴と一緒に練習できると思っていたから……」

「練習くらい、いつでも一緒にできるだろ?」

「それもいいけど! アタシは一緒に『部活』として頑張りたかったの!」

陽奈の瞳に、うっすらと涙が浮かぶ。

「アタシ、もう帰る……」

「おい、陽奈待てって!」

僕は立ち上がり、逃げようとする彼女の腕を掴む。

「離して!」

「いや、離さない。ちゃんと僕の話を聞け」

「アタシを捨てたくせに! 急に出てきたあの双子に尻尾振ったくせに!」

「捨ててないし、尻尾も振ってない! 落ち着け!」

無理やり陽奈をこちらに向かせる。

「まだ、ドッジボール部に入ると決めたわけじゃない」

「え……?」

「さっきのはただの感想だ。向こうも月曜日まで返事を待ってくれると言ってくれた。だから、それまでじっくり悩むつもりだ」

「……そうだったの? アタシ、てっきり……」

「お前の早とちりなんて今に始まったことじゃないだろ。何年一緒にいると思ってるんだ」

「うん……うん、ありがとう、志貴……」

「さあ、早く席に戻れ。おかずが冷めるぞ」

「全く、人騒がせなやつだ」と味噌汁を啜る杏。

「いつものことでしょう。勝手に話を進めるんですから」と紅茶を優雅に飲む美雪姫。

「仲直りできてよかったですね、陽奈ちゃん」と、のどかが微笑みながら皿を片付け始める。

ようやく、いつもの平穏な夕食が戻ってきた。

(そういえば、日曜の件はまだ誰にも話してなかったな……)

そう思いながら席に着いた、その時だった。

――テーブルに置いてあった僕のスマホが、一通の通知を告げる。

『今日はありがとうございました。プレイしている姿、とてもかっこよかったです』

『日曜日も、楽しみにしていますね』

「……日曜日、ってなに?」

横から画面を覗き込んだ陽奈が、地を這うような声で呟いた。

その一言で、リビングの空気が一瞬で凍りつく。

「これはどういうことかな、志貴?」

「詳しく、理由をお聞きしましょうか。志貴さん?」

波乱の夕食会は、どうやらここからが本番のようだった。

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