プロローグ
思い返せば、ボクの実験はろくに成功していない。香織先輩と人形を戦わせた時も、瀬良で爆破テロを起こそうとした時も、美津希先輩に魔法を乱用させようとした時も、全て成功とは言えない結果になった。唯一の成功は時先輩を捕まえられた事ぐらいか。
父も母も、きっと失敗だらけだったのだろう。なのにどうして挫ける事なく、実験を続けられたのかな。ハァァ、なーんか思ってたのと違う人生になっちゃった。
「いた、夏目さん!」
「何ですか、美津希先輩」
「ケルベロスが凄い弱ってるの。医療魔具とか造れない?」
「・・・難しいです。薬師丸先生に頼られては」
「それには、肝心のケルベロスに頼らないといけなくて」
別に治すことは訳ないけど、何か気乗りしない。美津希先輩を利用しようとしたお礼として、手助けしても良いけど、結果として役に立ったし面倒くさい。
「だったら香織先輩はどうですか。本人の魔力が低くとも、魔力の家系なら何か手段があるかもしれませんし」
「そっか、ありがとう!」
魔力を持ったケルベロス。魔獣自体は希少だから、実験対象になり得たけど、観察したら大した事なかった。時先輩の魔力を一部移植させた、劣化版蔵本時なんだもの。それなら、オリジナルがいれば十分。生みの親については、本人から聞こう。
ハァァ、もう時先輩で実行しようかな。ボクが魔力を高めればいけそう・・・だけど。
チートってつまらないんだよね。もう少し道中を楽しもう。一先ず、香織先輩の観察続行で。




