PM1:10 私の部屋
「……で……」
頬にあたる、冷たい手の感触。
「ん……」
目を開ける。あ……れ……?
「かず……や、さん……?」
和也さんが、ため息をついた。
「……まだ、少し熱いな」
和也さんの手……気持ちいい……あれ?
「和也さん……お仕事……」
「ちゃんと済ませてきた」
ほっとため息が出た。
「良かった……」
和也さんが、私の瞳を覗き込んだ。
「……身体、無理、させたか?」
「え……」
うっ……うわわわわわっ!! い、一気に脈拍上がったっ!!
「だだだ、だい……じょう……」
最後の言葉が、和也さんの唇に消えた。
しばらくして、ぽそっと私は言った。
「……風邪、うつっちゃう……」
「うつした方が、治るだろ?」
「そ、そんなんじゃ、治りませんって!」
お仕事あるのにっ……!
「……俺のせい、だからな。風邪ひいたの」
「……も、もう、それは言わないでっ……」
恥ずかしい……っ。私は上掛けを顔まで引っ張り上げた。
「……和也~。楓ちゃん、起きた~?」
……晴人さんの声。上掛けから顔を出す。
「ああ」
和也さんが答える。ひょこっと、ドアから晴人さんが顔を覗かせた。
「あ、随分顔色良くなったね」
「ありがとうございます、晴人さん……」
にこっと晴人さんが笑う。
「ご飯作ったから、少し食べたほうがいいよ」
「……晴人さん、が?」
「うん」
晴人さんは、ちょっと照れたように笑った。
「あ、和也にも食べさせてやるよ。お前も昼食べずに、すっ飛んで帰ってきたんだろ」
「……」
じろり、と和也さんが晴人さんを睨む。
「じゃ、下に来てね」
晴人さんはにやり、と笑って、廊下に消えていった。
ゆっくり身体を起こす。あ、本当、良くなってる。
「じゃあ、下に……」
床に足を下ろそうとした時、ふわっと抱きあげられた。
「か、和也さん!? 私歩けますっ」
和也さんは、私を抱いたまま、部屋を出た。
「……抱かせてくれ。お前がしんどい思いをしてる時に、傍にいてやれなかったから」
……し、心臓がっ……
顔を隠すように、和也さんの首に両手をまわした。
なんか、また、熱出そう……。私は和也さんの腕での中で、ため息をついた。




