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Fly*Flying*MoonLight  作者: あかし瑞穂
再び……新月
47/88

PM3:20 ビルの外

 消防隊が到着した時には、炎は消えていた。

……皮肉にも、一階で起きた爆発の風が、炎を全て吹き飛ばしていた。


 俺は目の前、の光景に愕然としていた。


 ……一階と二階は、全焼。鉄筋の骨組だけになっていた。他の階もガラスが吹き飛び、ほぼ全壊、に近かった。


 全身の力が抜けた。思わず膝をつく。

 駆け付けた消防隊員が、確認するためにビルだった場所に入っていくのを、ただ、見ていた。


「内……村……さんっ……!」

 伶子の口から、嗚咽が漏れる。

「美月……さん……」

 総務部の……田中……。


「……社員は、


……内村さん以外、全員、無事……です……」


 泣き出しそうな声。


 あいつ……何やってるんだ……


『私が、あなたを、守るから』


 ……そう、言った。そして、その通りにした。

 だが……。


「……っ!」

 アスファルトの地面に、両手を叩きつけた。

「……あの、大馬鹿野郎!!」


 俺だけ……守って……


「俺を……守って……も……」


「お前が……いなくなるんじゃ……」



「……何の意味も、ないだろうがっ!!」


「和也……っ」

 伶子が俺の肩に手を置く。そうされるまで、自分が泣いてる事にも気がつかなかった。

「楓……楓……っ!」

 ただ、名前を呼んだ。


 ……その声に応える者は、誰もいなかった。


 


 


 唇を噛み、俯いたまま、だった俺の耳に、


 ――消防隊員の叫び声が入ってきた。


「おい、担架っ! 生存者確保っ!!」


(……生存者!?) 


 俺は、咄嗟に立ちあがって、声の方へ駆けだした。消防隊員の制止も振り切って、焼けただれたビルの跡に入る。

 

 ――まだ熱を持ったがれきの中……消防隊員に抱えられた、すすだらけの


 ……楓、がいた。

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