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PM8:40 キッチン

 ……ここ、本当に、キッチン!?


豪華な設備の揃ったキッチン。オーブンもシンクも、ガス台も、綺麗に掃除されてる。


 ……だけど。


(……こんなに、冷たく感じるキッチン……初めて……)

 誰かにおいしいって言ってもらいたい、とか、喜んでもらいたい、とか……そんな想いが全く感じられない。

 こんなところで、お料理しても……

 ……おいしくならないような、気がしてきた。


 冷蔵庫を開ける。材料も良さそうな物が揃ってる。

 あのスープ……作りたいけど……


 おばあちゃん特製の、調合ハーブ、がない。月の光を閉じ込めた、魔法のハーブ。

(あれさえあれば……きっと……)

 そう、思いながらテーブルを見た。



 ――テーブルの真ん中が、きらきら光ったかと思うと……見慣れた瓶、が現れた。



「え!?」

 手に取る。まじまじと見る。少しグリーンがかった、分厚いガラス。コルクの栓。間違いない、おばちゃんのハーブ、だ。


 ……私、引き寄せた!? 今までそんな事、出来なかったのに!?


「でも、これでおばあちゃんのスープが、作れる……!」

 私は、再び冷蔵庫を見て、材料を吟味し始めた。

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