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Fly*Flying*MoonLight  作者: あかし瑞穂
一週間後
20/88

PM1:30 総務部

「内村さん、社長室から呼び出しよ」

 席に戻ると、田中さんが教えてくれた。

「……最近、呼び出し減ったわよね?」

「はい」

 ……その代わり、毎日家で会ってますが。とは言えない。

 掲示板に社長室、と書き込み、田中さんに言った。

「では、行って来ます」

「いってらっしゃい」

 田中さんは、笑って見送ってくれた。


***


 エレベーターの中で、私はここ一週間の事を思い返した。


 和也さんは、毎日帰って、夕食も……ちゃんと食べてくれていた。

(もっと、不規則な生活してるのかと思ってた……)

 私がハーブや薔薇の花でいろいろ作ってるのも、興味深そうに見てた。


『これで、化粧水とかクリームとかにするんです』

『へぇ……』

 めずらしそうに、抽出した薔薇の精油を見てる和也さん。

『こういうのを、店に出してるんだろ?』

『はい、自然化粧品のお店に置いてもらってます。結構好評なんですよ?』

『……』

 和也さんは少し黙った後、私を見て言った。

『お前、こういう技術があるなら、これで生計立てようとか思わなかったのか? うちでやってる仕事と全然違うだろう』

 私は、乳棒で薔薇の花をすり潰しながら、言った。

『……だって、これだけじゃ、固定資産税が払えないんですもの』

『……』

 ……なんですか? そのがっかりしたような顔は?

『……えらく現実的な答えだな……』

『何言ってるんですか!! 魔女は税金払わなくていいなんて控除、日本の法律にはないんですよっ!!』

 ぷくっと膨れた私を見て、和也さんが笑った。


 ――ごくごく普通の毎日。普通の生活。

……その中に、いつの間にか、和也さんが溶け込んでいた。


(慣れちゃったのかなあ……いつの間にか……)


 ――エレベーターが止まる。私はフロアに降りて、秘書室へと向かった。

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