【四年生・五月】第一話「新学期と小さな筆まめ」
前書き
はじめに
• 本作品はフィクションです。
• 実在の人物・団体・地名等とは関係ありません。
• 時代背景や登場人物の価値観を描いた表現がありますが、差別や偏見を助長する意図はありません。
• 登場人物を温かく見守っていただければ幸いです。
• 本作品は完結しています。
夕飯の胡瓜の塩漬けを食いながら、
「学校には慣れたか?」
とお茶を淹れるために立ち上がった倅に聞いてみた。
「うん、みんな優しくしてくれるよ」
安っぽい急須がカチカチと音を立てる。
それならばいいが、俺はどうもお前が心配だ。
「新しい仕事には慣れた?」
コンロでお湯を沸かしながら、勝太郎が聞き返してきた。
「いや、それがあまり慣れなくてな。嫌な奴がいるんだよ」
心配そうにこちらを見つめる勝太郎の、潤んだような目を見て、思わず本音を漏らしてしまったことを後悔した。
「だが、俺ほどの男だから問題はない。工場長も親切だし、恵まれている。お前も尾玉先生でよかったな」
「尾玉先生は3年生のときの先生で、前の学校の先生だよ。今は大和田先生」
「……そうか。いい先生か?」
「僕はいい先生だと思うよ」
そのあと、俺は「教師に対して敬意を忘れてはいかんぞ」と訓戒した。
飯も食い終わったので『単純肉体労働における音楽の重要性』を執筆し始めると、勝太郎もなにやら書き始めた。
「お前、何を書いているんだ?」
「前の学校の友達に送る手紙」
俺に似て筆まめなのは結構なことだ。自筆の葉書一枚のコストで得られる人間関係は、計り知れないものがある。
後書き
読者の皆様へ
• 本作には、登場人物の価値観や時代背景を反映した表現があります。
• 一部分だけを切り取ると、誤解を招く箇所があるかもしれません。
• お時間が許しましたら、ぜひ作品全体を通してお読みいただければ幸いです。
• 作者には、炎上してまで注目を集めたいという気持ちはまったくありません。
• ですが、誰にも読まれなければ、作者は一体何をしているのかわからなくなってしまいます(笑)。
• もし面白いと感じていただけましたら、「こんな作品があったよ」と善意でご紹介いただけると、とても励みになります。
• 私は、世の中は悪意よりも善意のほうが多いと信じています。
• その善意の輪の中で、勝太郎と光次郎の物語が少しずつ読者の皆様へ届いていくことを願っています。




