4.新たな始まり
再びカチッと音が聞こえると、イーグルが座っている椅子が上昇し、バーカウンターの前に固定された。
アリエルは、カウンターの下から薄い書類を3枚、テーブルに滑り込ませた。
「確認してくれ。」
書類にはイーグルの身長や体重、好きな物から、本人ですら気づかないようなタバコを吸う際の癖まで、詳細に記載されていた。
「なるほど……優秀なエージェントがいるみたいだな。」
イーグルは書類から目を離さず、警戒心をあらわにする。
「この仕事をしていればいずれ会う、気にするな。さて、ビジネスの話をしようか。」
「ああ……【真っ当】な仕事を頼む。」
アリエルはイーグルの皮肉に、「クックッ」と喉を鳴らして笑った。
その笑いはどこか余裕があり、イーグルの警戒心をさらに煽る。
「何、簡単な教会の調査だ。イーグルはそこに向かい、危険がないか調べてくれ。
安全を確保できたら、戻って報告。期間は3日。装備はこちらで用意する。報酬は50万だ。」
「まあ、悪くはないな。」
50万という金額は、スラム街で暮らしていくイーグルにとって、当面の生活を保障するには十分すぎる金額だった。
「今日はもう遅い。明日の夕方に他のメンバーと顔合わせして、明後日には向かう。それでいいか?」
「ああ。」
「この奥に個室がある。アンタは指名手配されてるから、しばらく部屋を使うといい。」
「何から何まで悪いな。」
「これからはビジネスパートナーだ。お互い気持ちよく仕事こなそうぜ。」
「そうだな。よろしく頼む。」
イーグルはアリエルの背後にある扉を開け、軋むベッドに横になった。
その日、彼は過去の裏切りや未来への不安をすべて忘れ、泥のように深い眠りに落ちていった……。




