16. 倉庫の奥、そして予期せぬ遭遇
薄暗い倉庫の内部に足を踏み入れたイーグルとローズは、埃と金属の匂いが混じり合った独特の空気に包まれた。積み上げられた物資の山の間を、二人は慎重に進んでいく。
「ローズ、そっちはどうだ?」
「特に異常はないわ。だけど、セキュリティのレベルが高い。研究区画はかなり厳重に守られているはずよ」
ローズは耳元のインカムでイーグルにそう伝えた。彼らの目の前には、巨大なコンテナが並んでおり、その奥から微かに機械の作動音が聞こえてくる。
「アリエルの言った通りだ。奴らはここで、生体兵器を製造している…」
イーグルは静かに呟くと、物資の陰に身を隠しながら、周囲を警戒した。その時、彼の耳に、聞き慣れない足音が届いた。それは、人間のものとは違う、重く、引きずるような足音だった。
「…ローズ、物陰に隠れろ!」
イーグルが叫ぶと同時に、巨大なコンテナの隙間から、一体の怪物が姿を現した。それは、教会の地下で見た生体兵器の試作品に酷似していたが、より洗練されており、体にはより多くの金属が埋め込まれている。その目は赤く光り、口からは涎が滴り落ちていた。
「どうしてここに…!?」
ローズは驚愕し、マシンガンを構えた。だが、怪物は彼女の存在に気づくと、一気に距離を詰めてきた。
「危ない!」
イーグルはローズを突き飛ばすと、マシンガンを連射した。だが、弾丸は怪物の分厚い皮膚にはじき返される。怪物はイーグルの攻撃を意に介さず、巨大な腕を振り上げ、彼に襲いかかった。
「クソ…!」
イーグルはとっさに腕で顔を覆った。だが、怪物の腕は彼に届くことはなかった。代わりに、怪物の腕を何かが受け止めた。
「まだだ…まだ、死ぬな、イーグル」
低い声が聞こえ、イーグルはゆっくりと目を開けた。彼の目の前には、アリエルが立っていた。彼は、巨大な怪物の腕を片手で受け止め、もう一方の手で怪物の頭部を掴んでいた。
「アリエル!どうしてここに!?」
「……なに、嫌な予感がしてな。予感ってのは当たるもんだな。クックッ」
アリエルはそう言うと、怪物の頭部を掴んだまま、ゆっくりと怪物の体を持ち上げた。
そして、そのまま地面に叩きつけ、金属が軋む音と共に、怪物を破壊した。
「…な…」
イーグルは、目の前で起こった信じられない光景に、言葉を失った。アリエルは、まるで何事もなかったかのように、埃を払い、イーグルとローズに顔を向けた。
「無駄な戦闘は時間の無駄だ。イーグル、お前は引き続き内部を調査してくれ。ローズ、俺はこの怪物の残骸から情報を抜き取る」
アリエルの言葉に、二人は戸惑いながらも頷いた。イーグルは改めてアリエルの正体について考えた。この男は一体、何者なのだろうか。
「…行くぞ、ローズ」
「ええ」
二人は再び奥へと進み、アリエルは怪物の残骸の前にしゃがみこみ、懐から小型の機器を取り出した。ブラックボックスの闇に潜む巨悪を追うイーグルたちの戦いは、新たな局面を迎えていた。




