イライザからの挑戦状
出典は、トリスタン・イズー物語から。
──クローバーズ本社。
ベネットはエリザベスと共に出勤した。
定時には間に合ったが、彼が来たころには皆揃っていた。
「ベネット。時が熟したようだ」
ダーシーはスチールデスクに座り、ベネットにそう告げた。
他の面々も、デスクに座っていた。
「……イライザか」
ダーシーは静かに頷いた。
彼は小包からDVDを取り出し、プロジェクターで再生した。
「芸のない奴だ」
DVDが再生されると、白い着物に身をやつしたイライザ・サクラダファミリアの姿がでかでかと映された。
『ごきげんようクローバーズの諸君。私よ、ベネット』
切り出しはそれだった。
『私には十二人の幹部がいた。彼らを全員奇襲させれば、この大陸は終わりを迎えたでしょうね。しかし、この世界の終末などどうでもいい。私はね、ベネット。あなたへの復讐のためだけに生きて来たのよ』
「ベネットさん……?」
「……後で話す」
困り顔のエリザベスの頭にぽんと手を置く。
『ベネット、最終決戦を申し込むわ。エリザベスを連れて時計塔に来なさい。後の連中は、イゾルデというジョーカーズ最強の幹部と闘ってもらうわ。私の声明は以上。じゃあね』
DVDはそこで終わった。
「何故エリザベスを連れて来いと……?」
ダーシーがこめかみに手を当てて考えこむ。
「危険よ、エリザベスちゃんは絶対に行かせない」
「いえ」
エリザベスは一言そう述べ。
「私、行きたいです」
そう告げた。




