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ベネット遠征伝~女を汚す奴は、許さねぇ!~  作者: 神羅神楽
第十章 ローズ~天使の矜持~
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第一の戦い

しばらく間が空いてしまいました。申し訳ございません。

簡単なあらすじ:天使であるダーシーは熾天使キャルドンと智天使スパイサーに召喚された。キャルドンたちはローズというギフテッドを虐殺すると宣告したが、どういう理由かそのことでダーシーを試そうとした。ダーシーは怒り、ベネットと共にキャルドン達と相まみえることとなった。

ベネットたちはキャルドンに連れられ、路地裏に出た。


「スパーリングか? 遠慮はいらねぇぜ?」


挑戦的なベネットにコートに身をやつしたキャルドンは眉をぴくりと上げて、


「君の育ちが相当悪いのは重々承知だ。だが私どもとのやりあいにおいて、そうした荒れくれ者の発言はやめていただこう」


キャルドンは杖を地面についた。すると、すさまじい風が起こった。


「うおっ」


ベネットたちは腕で顔を覆った。

彼らが腕を放すと、そこは白い大理石でできた空中庭園となっていた。


「…………」

「なんだ? 驚いているなら素直にびっくりすればいいじゃないか」


スパイサーに心を読まれたベネットはいっそう殺意を増した。


「ではルールを説明する。二人のどちらかが私のどちらかと闘いたまえ。どちらかの陣営が全滅するまで戦うこととしよう、おっと、優勝景品を忘れていた」


キャルドンはそう説明し、指を鳴らした。

空中に波面ができて、そこからにょきっと十字架に縛り付けられた女性が現れた。


「……こいつがダーシーの言っていたジョーカーズの女か」


女性は羽衣を着ており、拷問の跡があちこちに残っている。


「では、どちらからまいるか進み出たまえ」


普段ならここで小競り合いを始めるダーシーとベネットだったが、


「俺から行こう」


進み出たのは、ベネットだった。


「では、スパイサー、お前が行け」

「はっ、キャルドン様」


水色のコートを着た銀髪のスパイサーが進み出た。身長が異様に高く、背の高い方のベネットを頭一つ分超していた。


「若造、準備はいいな?」

「タロットカードで占ってきたぜ、占いが正しけりゃあんたは負ける」


スパイサーは怒りに顔を歪めると、


「始め!」


キャルドンの声を皮切りに、スパイサーは指先を前に出した。そして指を鳴らした。


「《ケレイド》!」


彼は大きな狼を召喚し、ベネットに向かわせた。


「《ポインター》!!」


矢印が勢いよくベネットの指先から放たれ、狼に向かっていったが、それは見事に貫通した。


「ちぃっ、目くらましかっ!!」


次の瞬間には、もうスパイサーはベネットの眼前に来ており、剣で切りかかった。しかしベネットは矢印でそれを受け止める。


「ふふふ……私の異能(ギフテッド)に気づくとは結構なこと」

「ただの雑魚異能じゃねぇか」

「ところが、この異能は本来こういう使い方をする」


スパイサーはまた指を鳴らし、


「《ケレイド》!」


彼はいくつも分身し、どれが本物か分からなくなった。


「さあどうするベネット、どれが本物か分かるかな」

「クソザコが。《ポインター LEVEL2》!!」


ベネットは空間の裂け目を作りそこから()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


ところが。


「……ダーシー、てめぇ……何してやがる?」


ダーシーが剣を持ち、ベネットの背に剣を突き刺していた。


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