第一の戦い
しばらく間が空いてしまいました。申し訳ございません。
簡単なあらすじ:天使であるダーシーは熾天使キャルドンと智天使スパイサーに召喚された。キャルドンたちはローズというギフテッドを虐殺すると宣告したが、どういう理由かそのことでダーシーを試そうとした。ダーシーは怒り、ベネットと共にキャルドン達と相まみえることとなった。
ベネットたちはキャルドンに連れられ、路地裏に出た。
「スパーリングか? 遠慮はいらねぇぜ?」
挑戦的なベネットにコートに身をやつしたキャルドンは眉をぴくりと上げて、
「君の育ちが相当悪いのは重々承知だ。だが私どもとのやりあいにおいて、そうした荒れくれ者の発言はやめていただこう」
キャルドンは杖を地面についた。すると、すさまじい風が起こった。
「うおっ」
ベネットたちは腕で顔を覆った。
彼らが腕を放すと、そこは白い大理石でできた空中庭園となっていた。
「…………」
「なんだ? 驚いているなら素直にびっくりすればいいじゃないか」
スパイサーに心を読まれたベネットはいっそう殺意を増した。
「ではルールを説明する。二人のどちらかが私のどちらかと闘いたまえ。どちらかの陣営が全滅するまで戦うこととしよう、おっと、優勝景品を忘れていた」
キャルドンはそう説明し、指を鳴らした。
空中に波面ができて、そこからにょきっと十字架に縛り付けられた女性が現れた。
「……こいつがダーシーの言っていたジョーカーズの女か」
女性は羽衣を着ており、拷問の跡があちこちに残っている。
「では、どちらからまいるか進み出たまえ」
普段ならここで小競り合いを始めるダーシーとベネットだったが、
「俺から行こう」
進み出たのは、ベネットだった。
「では、スパイサー、お前が行け」
「はっ、キャルドン様」
水色のコートを着た銀髪のスパイサーが進み出た。身長が異様に高く、背の高い方のベネットを頭一つ分超していた。
「若造、準備はいいな?」
「タロットカードで占ってきたぜ、占いが正しけりゃあんたは負ける」
スパイサーは怒りに顔を歪めると、
「始め!」
キャルドンの声を皮切りに、スパイサーは指先を前に出した。そして指を鳴らした。
「《ケレイド》!」
彼は大きな狼を召喚し、ベネットに向かわせた。
「《ポインター》!!」
矢印が勢いよくベネットの指先から放たれ、狼に向かっていったが、それは見事に貫通した。
「ちぃっ、目くらましかっ!!」
次の瞬間には、もうスパイサーはベネットの眼前に来ており、剣で切りかかった。しかしベネットは矢印でそれを受け止める。
「ふふふ……私の異能に気づくとは結構なこと」
「ただの雑魚異能じゃねぇか」
「ところが、この異能は本来こういう使い方をする」
スパイサーはまた指を鳴らし、
「《ケレイド》!」
彼はいくつも分身し、どれが本物か分からなくなった。
「さあどうするベネット、どれが本物か分かるかな」
「クソザコが。《ポインター LEVEL2》!!」
ベネットは空間の裂け目を作りそこから全てのスパイサーの分身を一人残らず刺した。
ところが。
「……ダーシー、てめぇ……何してやがる?」
ダーシーが剣を持ち、ベネットの背に剣を突き刺していた。




