選ばれし者
眠い。これ上げたら寝る。
イジワールは臨戦態勢をとった。Nはデカいサングラスをかけており、表情が読み取れない。
「ギフテッドって知ってるよね?」
「ああ? 天才児のことか? 俺様のように?」
「ふーん。君の世界じゃそういう意味なんだ。じゃあ教えてあげるよ。ギフテッドってのはねぇ、《フローズン》!!」
イジワールの足元からめきめきと氷が生えてきて、彼は動けなくなった。
「……なるほど、異能使いというわけか」
冷や汗をたらりと垂らしつつも、にやりと口角をあげるイジワール。
「ふふっ、その剣をくれるなら、殺すのをやめてあげてもいいよ!」
「そんなもん許すか!」
「ガキャあ黙ってろ!!」
Nが突然血相を変えて罵声を浴びせた。
「俺ぁよぉ、子供が大っ嫌いなんだよ。年端もいかねぇくせに子供扱いするなと言っときながら大人扱いするなと言い、わがままで親が守ってくれるからなぁ! どうだ、ガキども、俺が大人の怖さを教えてやろうか? え?」
小夜は硬直していた。少し漏らしたらしい。
「あーっとごめんねお兄さん。さぁ話をつけようじゃないか。僕にその剣を渡してくれたら異能を解いてあげる。確かこの遺跡は陽が上る前に出ないと二度と出られないんだったねぇ。早くしないと、どうなるかわからないよ?」
「クソッ、てめえら逃げろ!」
桃介たちは階段へ向かってダッシュした。
「誰が逃げていいっつったクソガキ共! てめえらは巻き添えで死ぬんだよ! 《フローズン》!」
Nは階段に巨大なつららを出現させ、桃介たちの逃げ場所を止めた。
「クソッ!!」
桃介は怒鳴りつけた。
Nは相当怒り、
「てめえらの教育が先だな。一人ずつ殺してやる」
指をパキポキ鳴らしながら、三人の前に歩み寄る。
すると、桃介が。
「そうだ!」
彼は走り、剣を取ろうとした。
「がああああああ!!」
桃介は悲鳴を上げた。剣が稲光を放ったのである。
「桃介!」
(……どういうことだ?)
イジワールは動揺する。
「おいクソガキ。まさかその剣でこの俺を殺そうって算段じゃなかったんだろうなぁ? えぇ? こんなもん俺の力でへし折ってやるよ」
……それだけは絶対にさせられない!
小夜は迷っていた。
そして謎の天啓が彼女には降り立っていた。
──私が剣を握れば、大丈夫なんじゃないだろうか。
でも、怖くて勇気が出ない。
ごめん……桃介、みんな……。
「小夜っ……!」
桃介が叫んだ。
「小夜、何か迷ってるねぇ」
竜一が彼女の肩に手を置いた。
「どうしてわかるの……?」
「僕たち友達何年やってると思ってるのさ。あのおっさんは、はっきり言って威勢だけだよ。大丈夫、やってごらん」
「あぁ!? てめ今なんつった!?」
Nがキレて、背水の陣となった小夜は、剣を取った──。
『気高き誉れある少女よ。私はオリジン・イヴ。あなたに権能を授けよう』
小夜の体が蒼く光った。




