表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベネット遠征伝~女を汚す奴は、許さねぇ!~  作者: 神羅神楽
第八章 エラリー~苦闘!デスゲーム編~
25/42

まさかのデスゲーム招集

今回の登場人物名の出典は「ローマ帽子の謎」です。ちなみに著者であり主人公のエラリー・クイーンは男性です。読みやすさとスピード感を出すべく改行を多用してみました。

──目が覚めた。

 その途端、ベネットは霧が覚めていく感覚のなかで、今の状況が異常であることを悟った。

 

 三人の見知らぬ男女と、エリザベスと、ウィッカム。

 自分たちは、どうやら白いタイル張りの部屋にいるらしい。

 大きなモニターが、壁に埋め込まれ、

 天井には、蛍光灯と、棘がたくさんひしめいている。


「……おい、エリザベス、ウィッカム」


 ベネットは二人を起こした。


「むにゃ……なんですかぁ……?」

「もう朝であるーか?」


 二人はのんきに起きたが、自分のおかれている状況を察すると、唖然とした。


「なんですか……これ……?」


 そして向こう側の三人も、目を覚ましたらしい。

 すらっと鼻の高いワイシャツ姿の美青年と、がっちりしたつなぎを着た体格の青年、そして背の低いベレー帽を被った美少女。


「おい……なんだここ……?」


 がっちりした青年がぼやくように言う。


「夢なんでしょうか……しかし、頬をいくら強くつねっても、全く変化がない」


 美青年が落ち着いた雰囲気で言う。


「皆さん……どうやら、これは夢ではないようですねぇ」


 美少女が言う。


「夢じゃないならなんだって……」


ベネットがそう言いかけた途端、ディスプレイに映像が表示された。ディスプレイには、黒いタキシードを着て、仮面を被った年齢不詳の男がソファに腰かけているのが映されている。


『ははは、……ゲホッ、ゴホッ、こんにゃろう。吾輩はデスゲーム伯爵と申す。ジョーカーズ十三部隊の一員だ。今君たちは吾輩の異能デスゲームによって閉じ込められている。……ゲホッ、ゴホッ、こんにゃろう。君たちにはその名の通りデスゲームに参戦してもらうべく集まった。ルールを説明しよう。尚、こちらには君たちの声は一切聞こえないので、質問等は許さないのでご了承いただきたい』


「ざっけんじゃねぇぞコラ! 何がデスゲームだ! 俺たちを元の世界に返せ!」


 がっちりした体格の青年が怒鳴りつける。が、デスゲーム伯爵は続ける。


『……ゲホッ、ゴホッ、こんにゃろう。では、ルールを説明する。この部屋を出られるのはたった一人。出たものには賞金を与える。一生遊んで暮らせるほどの賞金をな。そして脱出するには吾輩の本名を当てなければならない。本名が分かった者は、このディスプレイの電源を入れ、これに向けて吾輩の本名を言い放つがいい。なお、間違えた者は死が与えられる。それでは第一ヒントはここまで。なお、制限時間は2時間。誰かが脱出した場合か、2時間が経過した場合、天井の棘が自動で降りてくるので、覚悟するように、……ゲホッ、ゴホッ、こんにゃろう。また後程第二ヒントを与えよう。それでは、スタート!』


 ディスプレイが消えた。


「ベネットさぁん! 怖い、怖いですぅ!」

「……脱出できるのは一人であーるか。ということは我々のうち5人は死ぬことになーるであーるか」

「クソッ……イライザの野郎ッ……!」


 ベネットは地面に拳を叩きつけた。


「あの……」


 美少女がおずおずと手を上げた。


「まず……お互いに自己紹介をしてはどうでしょう……? この手のゲームは、協調性が求められるかもしれませんし」

「お、そうだな嬢ちゃん。じゃあ俺から行くぜ。俺はリチャード・カーペンター。とび職さ。よろしくな」


 がっちりした体格の男、リチャードは陽気に自己紹介した。


「僕はジェイムズ・エルメス。俳優をやっている。よろしく」


 美青年が述べる。


「私はエラリー・クイーン。実は探偵をやっています……大した功績はあげていませんが……」


 美少女がおずおずと発言する。

 そしてベネットたちも自分の名を名乗った。


 だがウィッカムは一つの疑問を抱いていた。


(こいつら、エンプティか? ……それとも、不利になるのを恐れてギフテッド名を隠しているのか?)


「これから、どうしましょう……」


 ジェイムズが弱弱しい声でつぶやく。

 するとベネットが、


「《ポインター》!」


 と言って、天井に矢印を飛ばし、破壊しようとするものの、天井はびくともしない。


「あんた、ギフテッドか!?」

「まぁな」

「あなたたちはギフテッドじゃないんですか?」

「ああ、俺たちはちげぇよ」

 

エリザベスの問いに、リチャードが答える。


(完全に嘘だ。視線を見ればわかる。こいつら、間違いなく何らかの異能持ちだ)


 ウィッカムが舌うちをする。


 そして再び、ディスプレイに映像が映し出される。


『……ゲホッ、ゴホッ、こんにゃろう。第一ヒントを与える。吾輩の本名はお前らの背中に縫い付けられている。それだけ教えておこう。では……ゲホッ、ゴホッ、こんにゃろう』


「背中に縫い付けられている……?」


 ジェイムズが反芻した。


「おいベネット、試しに上半身裸になるのであーる」

「えぇ、なんで俺が?」

「いいから脱ぐのであーる」


 ベネットは渋々コートを脱ぎ、インナーも全部脱いで上半身裸になった。


 すると。


「ベネットさん……これって……」


 ベネットの背中には、大きな「L」という文字が刺繍で縫い付けられていた。


 そのとき。


「《リザード》!」


 リチャードが突然異能を発動させ、火炎をベネットに浴びせた。だがベネットはすかさずよけた。


「てめえ! 何しやがる! エンプティってのは嘘か!?」

「馬鹿だなてめぇは。このゲームの攻略法にまだ気づかねぇのか。そうさ。このゲームの攻略法は……」


「全員殺して、自分だけが生き残り、他の奴の背中の文字を読みゃあいいんだよ! そしたら俺が一人脱出できる、俺天才だなぁ!」


「《ポインター》」


 ベネットは矢印を放ち、リチャードの心臓を貫いた。


「ぐ……は……」


 リチャードは大量の血を吹き出しながら、死んだ。


「愚かな男であーる。確かにその考え方はまったく理にかなっていないわけではないーが、最後の一人になったとき、一体誰が自分の背中のアルファベットを読むのであーるか?この部屋には鏡がないではないーか。よしんばあったにせよ、鏡を使っても自分の背の文字を見るなど苦難なはずであーる」

「……あ、そうか」


 ジェイムズがあっけにとられて声を漏らす。

 ベネットはリチャードの服を破って背中を見て、


「……こいつのアルファベットは“P”か」


 そして、またディスプレイにデスゲーム伯爵の姿が映る。


『諸君、デスゲームは楽しんでいるか? ……ゲホッ、ゴホッ、こんにゃろう。最後のヒントだ。吾輩の名前のアルファベットの文字数は《7文字》。以上だ。もう私はこれ以上ヒントは与えない。せいぜい頑張りたまえ。では健闘を祈る、……ゲホッ、ゴホッ、こんにゃろう』


「アルファベット7文字……?」


 ウィッカムは動転する。


「どういうことだ? 僕たちは六人のはず……」


 そして、エラリーが。


「……みなさん、この中に一人、“いないはずの人間”が誰かいます。その人物は、まぎれもなく、ギフテッドの可能性が高いです」


 と強く、発言した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ