7人目の招集者
皆さん分かりますでしょうか。ヒントは新約聖書、イエス・キリストを殺したあの人です。
エラリーは推理を続けた。
「7人目の人物はこの部屋のどこかにいるはず……そして異能で身を隠しているはずです。微生物レベルに小さくなるか、壁のタイルと同化するか、透明になるか……。しかしもし彼がリチャードと同じく独り勝ちを狙っているなら、誰かと口裏を合わせている、そう考えるのが自然です」
みんなはお互いの顔を窺い合った。
「この中に一人、その人物Xと共謀している人物がいます。そこの御三方か、ジェイムズさんか、私か、あるいは死んだリチャードか。一人ひとりに聞きましょう。目覚めたときのことを教えてください」
そしてエラリーの聴取について得られた情報がこれ。
一番最初に目を覚ましたと主張するのはベネット。彼が目を開けたときみんな眠っていたと証言した。
それから彼はエリザベスとウィッカムを起こし、他の三人が起きた。しかしそのとき、部屋には6人しかいなかった。
「こうなると誰も人物Xを見ていないことになります。つまり誰かが嘘をついているのです」
「一体誰なんですか! 人物Xに何か弱みでも握られているというのか!?」
ジェイムズが声を荒げる。
「確かにそうです。誰かが人物Xに何らかの弱みを握られているか、あるいは心の内でXの味方をしておいて、裏切るつもりでいるか」
すると。
「……嘘をついたのは私であーる」
ウィッカムが手を上げた。
「ウィッカムさん!?」
エリザベスが目を見開く。
「私は彼の異能を利用し、脱出しようと試みているのであーる。全て話そう。拷問でもなんでもすればよーい」
「ウィッカム、てめぇ……そんなに自分が可愛いか!?」
「HAHAHA! 当然であーる。生き残れるのは一人であるからーな」
するとジェイムズが加勢して、
「そうだ、ふざけるな! エラリーさん、事件は解決しましたね」
「どう解決したのですか?」
「説明するまでもないでしょう、あなたは探偵でしょう? この男は、Xと口裏を合わせて脱出しようとしたんです、Xの透明になれるという異能を使って!」
「ん? そんな異能知らないのであーる。 初耳であーる」
「────!」
嵌められた。ジェイムズは頭が真っ白になった。
「ジェイムズさん、どうしてあなたはXの異能が透明になるというものだと知っているのですか?」
「それは……その……」
「ベネット、やれ」
「《ポインター》!」
ベネットは矢印を何もない空間に飛ばした。そして何かが刺さった感触がして、どろどろと血が流れ、傷口からその人物Xの姿が見えて来た。
「てめえは……」
人物X──男は倒れ、死んだ。
「すべて話していただけますね、ジェイムズさん」
「……はい」
ジェイムズは役者で、寝る演技をしていたのだ。
ベネットが目が覚めるよりも先に目を覚ましていて、その人物X──スティヴンと共謀し、彼の異能、《インビジブル》を利用し、脱出するヒントは分からないけれど、とりあえず他の参加者を皆殺しにすることを計画していた。
しかし誤算だったのは、脱出することができるのは1人だけという点。それでスティヴィンは動けなくなってしまい、エラリーとウィッカムによって見破られてしまったのである。
「こいつのアルファベットは“T”であーるか。それでは、女性の方は女性同士で、お互いの背の文字を見せあうのであーる」
そうしてできあがった文字列──。
「P」「I」「L」「A」「T」「U」「S」
「人名っぽくなってきたな」
「どう発音するんでしょうね……」
エラリーが戸惑っていると。
「あっ、ジェイムズ、てめえ! 何してやがる!」
ジェイムズがディスプレイの電源を入れた。
『回答権を与えます』
ディスプレイの音声が流れた。
「わかった! わかったぞ! デスゲーム伯爵! お前の本名は──」
「『ピラタス』だ!」
『──残念でした』
「え?」
床が落ち、底にある無数の針に貫かれ、ジェイムズは死んだ。
「……ピラタス、じゃ、ねぇのかよ……?」
ベネットは唖然としていた。




