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異世界召喚の憂鬱  作者: ポストマン
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第三幕

みんなは異世界に召喚されることをどう思うだろうか?

悪魔を打ち倒すような勇者として呼ばれるのか?

あるいは自分たちの世界の知識を生かして国に富をもたらす?

ひょっとしたらハーレムでも作れるかもしれない?

……はっきり言うが、そんなものはまやかしだ。

なぜなら、俺は奴隷として攫われてきたのだから。




半年前、俺は普通の学生だった。

友人とたわいもない話をし、授業をあくびしながら過ごし、部活に参加する。

そして恋人と一緒の時を過ごしたりして青春を謳歌する。

そんな本当にどこにでもいる学生だった。

だが、俺のそんな日常は終わってしまった。

いきなりあたりが暗くなったと思ったら、いつの間にか石造りの部屋の中にいた。

周囲には奇妙なローブを着込んだ男たちが居り、何事かささやきあっていた。

その中の一人が俺に向けて水晶玉のようなものを向けてきた。

しばらく動かずにいると、その男は頭を横に振りながら、落胆した様子で周囲の男たちに何かを言い放った。

その後、俺は着ているものすべてを剥ぎ取られ、粗末な服らしきもの一枚でどこかに連れて行かれて気を失わされた。

そして次に目が覚めたとき、俺は檻の中にいた。

後にそこが俺を買い取った奴隷商人の奴隷部屋だと知ったが。

それが地獄の始まりだった。

俺の顔は童顔でそれなりに良かったようで、すぐに買い手がついた。

貴族の息子で、変態趣味の最悪男だ。

俺はいいように体を弄ばれ、体中に消えない傷をいくつも刻まれた。

たった半月で飽きられ、同じような趣味の配下に下げ渡された。

その男も一月で飽きられ、別の奴隷商人に売り渡された。

今は、鉱山で働かされている。

同じような男たちに囲まれ、体を弄ばれながら。




新入りに外の話を聞いた。

この国の王が勇者を召喚したという話だ。

強大な魔力と秀麗な剣技を操る異世界の存在らしい。

今は魔王討伐のために旅に出ているらしい。

それを聞いた俺は、あの時の事を思い出していた。

俺をこの世界に攫ってきたのはこの国の王だ。

同時に見ず知らずの勇者が哀れに思えた。

たぶん、王は勇者を殺そうとするだろう。

この国の王は猜疑心の強い腐り果てた男だ。

魔王討伐を成し遂げた勇者を決して野放しにしない。

同時にこの国に縛り付けることも嫌うはずだ。

ならば、確実に勇者と王はぶつかり合うはずだ。

そんな日が来ることを祈りながら、俺は今日も地獄を這いずり回る。




弟の葬儀に参加しながら、私は両親を冷ややかな眼で見ていた。

私と弟の間に血のつながりは無い。

父の知人が死んだとき、引き取り手のいなかった弟を引き取ったのだ。

弟に渡された高額な遺産目当てで。

弟が家に来てから、両親の金遣いは荒くなった。

家は新築になり、海外製のスポーツカーを乗り回し、年に何度も海外旅行に行っていた。

そうして、彼らは弟の財産を食いつぶした。

今彼らの頭の中にあるのは、弟に掛けられた保険金の使い道だけだろう。

だから、私はこの家を出よう。

弟の、いえ、愛しい男との思い出を胸にして。




ーそれでは次のニュースですー

ー昨夜未明、民家にタンクローリーが激突・爆発炎上すると言う痛ましい事故が起きましたー

ーこの家では先日死亡した少年の葬儀が執り行われており…ー

ー死亡したのはこの家に住む両親とその娘の三人と…ー

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