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間違いからの第2人生  作者: ふぅみき
10/40

10 新入り歓迎会デスマッチ開催


やっと10話まできました…!


評価点を付けていってくださる方、こんな拙い小説を読んでくださっている方々も本当にありがとうございます!


これからもどうぞよろしくお願いします!





 代々隣国のヘコイルト国に伝えられている伝説の国宝。ネックレスに刻まれた紋章と装飾された赤紫色に輝く秘宝は、どこか神秘的でいて見る人の目を惹くものがあり、見たものは二度と忘れられなくなる美しさだという。


「…と、昔友人に聞いたことがあるのですが」


「そうっすね。大体の噂はそんな感じっす。ところでシャロン、君に友人なんていたんすね。男すか?まさか女じゃないすよね?」


「うるさいです。それより今は、どうしてあのお嬢様がそのネックレスを身に付けていらっしゃるかでしょう」


「そんなの、あのお嬢様がその隣国の姫君だからじゃないすか?いやあ、あそこまで堂々とぶら下げているなんて、奪って下さいと言ってるんすかね?」


「まさか。お姫様にそんな自覚がおありなわけないでしょう。その隣にいる王子様にも。…大方、二人で控え室から抜け出して散歩しようとでもしたんじゃないですか。その時目についた訓練所にでも行こうかという話になって。護衛も何も付けずに」


「と、なると伯父さんとやらも嘘のようっすね。国王陛下にそんな馬鹿な兄妹はいた覚えないっすし。…ちっ」


「まだ逃げられると思ってたんですか?そんなことより、あの王子様とお姫様のこと、どうします?」


「…どうするもこうするも…放置っすね。王子様お姫様がわざわざ抜け出して来たんすから、軽く流して笑顔で見守ってあげるのが優しさじゃないすか」


「…優しさ、ですかねぇ?」


 少年少女のほうを振り返ると、何やら少女のほうは真っ赤な顔でこちらを伺っていた。ぽそぽそと聞こえる「美少年騎士×知的眼鏡青年騎士…!」とやらが何なのかは分からないが、少女のほうは幸せそうで、そんな少女の様子を見ている少年のほうも幸せそうだ。


「…ふむ、確かに、優しさ、ですね!」


「なぁにが、優しさなの?」


  「「…………………ッ!!!」」


 突如落ちてくる耳障りな声。背後に気配を感じた瞬間体を後ろに向ける。にぃっこりと素敵な狂人スマイルを浮かべた、我らが紅部隊長。アリデライ部隊長さまがいらっしゃった。


 音もなく近かないでくれないかなあ!


「僕が見てないうちに二人っきりで何こそこそ話してるの?随分と、仲良くなったみたいだねえ?ねえシャロン?…君の歓迎会、始めるよ?」


「…!遅かったすか…!」



 青ざめた顔をして逃亡の構えをとったショドウェイ先輩。即座に腕をがっしりと掴む。もう諦めましょうよ先輩…!


 しかしそれを見たアリデライ部隊長が何やら顔をしかめて、私とショドウェイ先輩との間に割り込むようにして入った。で、本当に何を思ったか、私の腕をとった部隊長はそのままずんずんと歩を進め始めた。


「あ、あの…アリデライ部隊長…?」


 呆気に取られてそのままずるずるとひこずられる形でついて行ってると、後ろにいたショドウェイ先輩もかなり驚いた顔で突っ立っていた。

 しっかしこれ、どっかで体験したな…あれは確か、アリデライ部隊長をも凌ぐ最重要危険物に会う前だったような…?………駄目だ鎖骨しか思い出せない。うーん。


 ぐるぐると頭を悩ませているとどこからかあがる可愛らしい悲鳴。


「きゃっきゃぁああっ!まさかの三角関係ですか!?美少年騎士に執着して他へは目を向けさせないようにする、ヤンデレ美形騎士!!さっ、最高ですわね!!!」


 どうした姫君、ご乱心か。


 言ってることはさっぱりだがこれはナイスだ。少し上を見上げると、アリデライ部隊長も少年少女に気がついたようで「なにあの頭のおかしい子」と呟かれていた。…いや、貴方がそれを仰いますか。とかいうツッコミは置いておいて。


「ア、アリデライ部隊長…!あの方々はどうやらヒグレリア国の王子と、隣国へコイルトの姫君らしくて…!」


 耳に寄せてなるべく音がもれないようにご報告すると、アリデライ部隊長は急にニコニコしだした。なっなんだどうしたあの子達をどうするつもりだ。すると後方でもあがるまたまた可愛らしい悲鳴。こっちもどうした…!!


 初仕事をしているはずなのに訓練所の中で 王子とお姫様と部隊長と先輩でてんやわんやになっているというこの状況。


 どっどういう状況や!


 一人頭の中でテンパっていると遠くから聞こえる複数人の声。


「ちょっと部隊長ー!全紅部隊員呼んどいて放置ー!?なんか始めるんならさっさと始めてよねー!」


「俺らも暇じゃねえんだぜ部隊長さまよお!」


「ちょっとなっによお!あんたは牢屋に篭ってるだけでしょう!?あんたが暇じゃないならあたしたちはなんなのよ!」


「あんだとこら?こちとら私用任務で忙しいんだよクソ野郎!」


「だっれが野郎ですって?あたしは立派な乙女よ!それに私用任務とかほざいてるってことはあんたまさか、また脱獄してたんじゃないでしょうね!?」


「うるせえ化物!脱獄じゃねえ、外出だ!ちゃんと戻ってっからな!それと、脱獄言うなら昨日入ってきた隣のガキのほうが問題だろ!あいつはクソ爺の結界ぶち壊そうとしてたんだからよ!最終段階まで破られそうな結界張ってるクソ爺か、黒の奴らに文句つけやがれ!!!」

 

「待って下さい、それは本当ですか?もしかして昨日ロナルド先輩が言っていた王家の森の少年のことでは…」


「ああん!?知るかよ誰だてめえ!」


「ぼっ僕はヒグレリア国王宮騎士隊黒騎士隊見習い騎士のナヤルです!それより…」


「ああ!?おいなんで黒騎士隊のクソがここに紛れ込んでやがんだ!!!」


「知りませんよ!貴方達のアリデライ部隊長殿に引きずられてきたんですから!僕だって任務中だったんですよ!?」


「はあ!?ちょっと部隊長ー!?あなた黒騎士のやつまで呼んでたのー!?」



 ………………なんだこれ。


 いろいろとツッコミたいが、何から手を付ければいい?明らかに収拾つかなかくなってるじゃないか。


 助けを求めてショドウェイ先輩のほうを振り返るが先輩はガンとして私と目を合わせようとはしなかった。


 …この野郎、放り投げやがった!


 ふとアリデライ部隊長を見上げると部隊長は今だにニコニコしたままだった。えなにこれ怖い。なんなの。一体なんなの。


「アリデライ部隊長…!どうにかして下さい!あなたがみなさんをお呼びしたんでしょう…!?」


 どうにか部隊長さまに話しかけるが、どうしたことか彼は急にニコニコをやめた。途端ピリッとした空気が流れる。


「ひっ」


 なぜだ…っ!今のどこに地雷があった…!


「ねえシャロン、こしょこしょ話はもういいの?」


「は!?何言ってんですか!?今必要あります!?」


 撤回。地雷ではなかった。このお方ただただ頭沸いてただけだ。


  「ふうん…つまんないなあ。まあいいや。そのことは今度じっくり話そうか、ね?──────じゃあ新入り歓迎会デスマッチ、始めるよ!!!」


  えぇえええ…!!!




  「「「突然ンンン!!!!」」」


 


 この時、訓練所内の空気は始めて一体化したと思う。







だんだんとコメディー化してきてるのは気のせいです。そうです、気のせいなんです。



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