表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/101

第99話 本来の支配者



―――アズルーズ異能学園・旧校舎。

―――”寒熱のレイ”と”支配の超怪異” 戦闘開始からわずか112秒後.......


戦いは、二分と続かなかった。

わずか112秒。その短すぎる時間の中で、両者の勝敗は決した。


人間は、”朔月のムーノ”という超例外を除けば、等しく怪異より劣る。

久しく忘れかけていた、そんな当たり前の絶望を僕は改めて突き付けられていた。



「ゴホッ......あっは~。」


「なんと哀れな。弱き命ですこと。」


「そりゃぁど~も。醜悪なマダム?」


「その軽口が苦痛で捻じ曲がる瞬間......楽しみでしかたありませんわ。」



こりゃ、肋骨は全部逝ってるね......。

肺の中に血が流れ込んで、まともに息をすることすら難しい。


そして、何より恐ろしいのは――

向こうが異能を封じる、あるいは抑制する何らかの能力を持っていることだ。


僕の”レンジハイヒール”の効力が、さっきから劇的に弱まっている。

それが何より動かしようのない証拠だ......。


異能への支配干渉......こいつは特にヤバい。

もし世界中の退怪術士の大半が異能を封じられるのなら、流石に上位勢がどれだけ踏ん張っても負け確だもんな。



「異能封じ......か。」


「ご名答。しかもわたくしの物は、数秒硬直させる安い代物でもありませんこと。」


「だろうね......この感じ。」


「時間制限も人数制限もございません。」



人数制限に関しての真偽は五分、といったところだろうな。

もし本当にそれが可能なら、こんな回りくどい手を踏む必要がない。


問題は、そこじゃない。

漆黒等級である僕の”レンジハイヒール”すら、その効力の大半を封じられている。

ただ異能共振した時に、黄金等級の焔氷神律が占める効果領域だけは、問題なく機能していた。


そこから推察するに......

恐らくこれは、最上位等級より下の異能を完全に封じる怪能と見た。

あまりにも反則じみた代物だね。



「四大ってことは......あと三人いるのかな?」


「えぇ。わたくしその中でも最弱ですのよ?絶望しまして?」


「いんや。興奮して漏らしそう♤」


「汚らしいことですわ......」



これより上が、怪異の神も含めてあと四人いるわけか......。


流石にベリーベリー鬼ヤバい!

これまでのムーンハニー頼りのやり方じゃ、もう限界じゃん!!



「勝ち目ないな......これ。」


「初めから勝ち目などありません。これだから人間は......」


「もしここで僕が逃げられなかったら......ね♡」


「無駄と言っているでしょうに。言語さえも理解できなく......」



そう言いかけた瞬間、超怪異は異形の膝を地面についた。

全身から体液が溢れ出し、それは地面へ触れると同時に燃え上がる。


だが、その膝が触れた箇所だけは逆だった。

そこだけが、体液とは正反対に大地を凍結させている。



「格下の異能なんて効かない。それがマダムの敗因さ♡」


「敗.....因?この程度すぐに回復を......」


「ゴホッ......焔律之第5章陽炎・幕の詩:芯炎」


「ぐっ!?.......ま、まさか!?」



異能共振によって編み上げられた焔律と氷律には、それぞれ十章のストーリーがある。

僕がイメージした炎と氷で描いた、神律の物語だ。


それは章ごと、詩ごとに異なる事象を引き起こす。

絶対に順番通りでなければ作用しない、なんてことはない。


けれど――

順番通りになぞり正確に刻みつけられれば、絶大なメリットがある。



「少しだろうけど動けないよ♡だって今、マダムの中身は炎だからね?」


「あ...ぁぁ......一体わたくしに何を!!」


「今のマダムは外皮が氷、内が炎なのさ。動くための筋肉も何もかも、全て炎に置き換わってる。」


「訳の分からぬことを......」


「それな~僕もよく分かんないんよ~。」



順にすべての章を当てれば、その章の幕之詩で対象に新たな”律”を刻むことができる。

当然、途中で逃げられればそれで終わりだ。

けれど、舐め腐って風景結界から逃げないおかげで助かった。


でも......普通なら五章まで届けば絶対に殺せるんだけどなぁ?

相手がクソ強い怪異だから、たぶん怪能ですぐに打ち消してくるんだろうな......


もし本当に倒すとなれば、十章まで順に通すか......

あるいは一発の禁章で削り切るか。まぁ、今の実力差じゃどっちにしろ不可能だけど。


――それでも、こいつは僕との相性が良すぎたね!



「あがっ......超怪異たる私がこんな、特異点でもない格下に!」


「普通に戦ったら惨敗だよ~♡舐めプしてなきゃ圧勝だったのにね♡」


「っ.....このわたくしを!!」



よし!!

奴の硬直が終わる前に、動ける程度には回復が間に合った!!



「ぐっdばっあ~い♡」


「待ちなさい!」


その場から逃亡しようとした――その時だった......


「......ッ!?」



とてつもない悪寒が、背筋をなぞった。

身の毛がよだつ、その感覚......明らかに格の違う気配がする。


気付けば僕は息を切らし、足を前に出すことさえ忘れていた。



「なん......だ?」




――馬の蹄の音が聞こえる......


――恐ろしく不気味な鳴き声と、冷え切った空気が流れ込んでくる。


――まだ姿すら見えていないのに、そこに絶対的な“死”の気配だけがあった。



「ヤバい.....これはやば......」



そう呟いている最中、僕は不可解な現象を目撃する。



「なっ!?」



――地面が、僕の方へ向かって起き上がってくるのだ。



「ゴハッ......」


違う......倒れたのは、僕の方だ。

思えば、もう体に力が入らない。


全身に、黒い杭のようなものが突き刺さっている......


姿を見ることはできない......けれど、感じる。


後ろにいる。

何か、とんでもない化け物が......



――別次元の怪異が背中側に存在している。



「なに......ものだ......」


【死の怪異にして四大超怪異が長、タナトスである。】


「死の......怪異だと......?」


【怪能・病毒】


「......!?」


刺さった杭から、何かウイルスのようなものが肉体へ侵入していくのが分かる。

毒物耐性まで付与される僕の異能を、易々と貫通してくる。

それは......もはや人類に抗う術などないと告げていた。


それでも......諦める気には到底なれず、僕は異能をフル稼働させる。

体内へ侵入する病毒へ必死に抵抗を試みた。



【愚かな......】


「タナトス様......いつから現界しておられたのですか?もし連絡を頂ければお迎えに......」


【よい。】


「......すぐにマキアとリモスにも伝達を。」



何を言っている......?

こんな化け物が、四体も集まって何をする気なんだ?



「なにを......するつもりだ......」


【全ては我らが神......その現界のために。】



その瞬間......

僕の意識は電源を強制的に落とされたように、唐突に立ち消えた。


 どうもこんにちわ。G.なぎさです!

 でもここまで読んでくださりありがとうございます!


 焔律の五章を当てたものの......”寒熱のレイ”は超怪異に惨敗を喫す。

 しかしとっておきの隠し玉で何とか逃亡を試みた瞬間......

 ラナを殺した”死の超怪異”異次元の力でレイを瞬殺し......


 5月29日、18:10更新の次回......舞台は再びFCTへ?ムーノの守った光景とは。


 面白い、続きが気になる!と思った方は”いいねで応援”してくれると超嬉しいです!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ