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夢見た転生のその先は。  作者: 空静
第1章 動き出す運命と別れ
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6.さようなら

約30分遅刻!許して…テストだったんです…

「ここは…公爵邸うち?なんで、さっきまで城に…」


目を覚ますと気づけば公爵邸の自室にいた。


そう、さっきまで城にいて。

陛下が操られて。

襲いかかってきた兵士から私を逃がすためにお父様は残って。

それで…それで…


「ああああああああああああっっ…!」

「ココオン!落ち着いて」


私のせいでお父様が死んで。

いや、もしかしたら生きてるかもしれない。だってお父様は強くて、つよくて、ツヨクテ。


「悲しむなとは言わない。後悔するなとも言わない。でも役割を思い出して!ココオン、あなたは何者?!何のために今まで生きてきたの?!」

「わたし…は…ココオン・フォン・アコルデ、金倉真由美…アコルデ公爵家の次期当主で女子高生…」

「スキルを使えココオン!あなたのスキル、『多重思考』を使えばそのどうしようもない思いとともにちゃんとこれからを考えられる」


必死に、叫ぶようなサラを見て急に意識が覚醒したような気分になった。

そうだ、私にはここでウジウジ悩んでいる時間はないんだ。


「…大丈夫だよ、サラ。私はちゃんと、考えられる」


少し冷静になったからか、私は右手首についているブレスレットに気づいた。金色の薔薇の蔓が巻きついたようなデザインのそれには、父が右手に常につけていたものだった。

これはブレスレットなんかじゃない。


「なんで…『精霊剣アコルデ』がここにあるの…?」

「全所有者が死んだ故」

「誰?!」

「はじめましてココオン。妾はアコルデ。この剣に宿りし『セイレイ』。そなたの一族と契約を結んでいるものなり」


いつの間にか私の横にいた金色の美しい毛並みを持つ猫はそう名乗った。

聞いたことがある。この『精霊剣アコルデ』には当家の名前の由来となったセイレイが宿っていると。その姿は猫であると。

でも…待って。


「お父様が死んだって…どういうこと?」

「言葉の通り前の妾の契約者、エレステアは死んだ。最後の1人と相打ちになる形でな。力を失ってもあそこまで戦うとは、さすがは妾の契約者か」


感心したように言うアコルデに呆然として言った。


「なんで、たすけてくれなかったの?」

「それがエレステアの意思だったからじゃよ」

お父様の…意思?

「エレステアは娘のお主を生かすことだけを考えていた。スキルを使うことで自らの経験・記憶・能力をお主に渡し、あとは妾を渡すだけだった。妾をそなたの元に転送するには前一日に妾の力を使わぬと言う条件があるでな、転送は力を使う故な。だから、と言うので満足かえ?」

「…ごめん、アコルデ。あなたが悪くないのはわかった。お父様が私を思ってくれたのもわかってる。でも、何かを責めないと私の心が落ち着かないんだ」


お父様も、アコルデも、サラも、たぶん私も誰も悪くない。だからこそ私のこのどうしようもない気持ちはどこにぶつければいいのだろう


「簡単だよ。この悲劇を引き起こした犯人はシステル王国をどうにかしようとしたんだから、何もなかったかのように強固な姿勢でいればいい。そのためにも必要なのはー」

「三公会議」


三公会議とは、公爵家のリルラ家、ワーファ家、そしてアコルデ家の当主によって開催される会議。これに国王を加えると『国策会議』となり国の基本方針が決定させる。三公会議は次期国王たる王太子の選定、国王への退位決議などが主な議題となる。今回は、情報の共有と次の行動を決定するために開きたい。


「よし、リルラ家とワーファ家に連絡次第三公会議を開催する!」


もう、迷っている時間はないのだから。

もし、この事態が落ち着いたのならば。


貴方を思って泣かせてください、お父さん。



アコルデのことを『セイレイ』と表記しているのはわざとです。

『精霊』は、魔法を司っています。

それに対し『セイレイ』は持ち主の強い思いが具現化した付喪神のようなものです。セイレイの中でも強さのランクがあり、アコルデは最強クラスです。

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