模擬戦かいっしー
視点がうろちょろ。
ロウがかなり頑張ってる。
ペガの所は頑張って書いた。
コクカは癒し。
そんな感じで模擬戦の前半。
<ロウside>
「始め!」
その声が聞こえたときには、全身が動いていた。私の足は、真っ先にアンナ氏に向かっていた。ゴドー氏はタンク、サコッツォ氏は剣士。ならば、私は唯一の未知数のアンナ氏から穿つべき。
アンナ氏は私に気づくと、すぐに火を放ってきた。魔法使いか、成る程。魔法はマスター達の中では慣れないものだ。見学のためにも、少し相手をしよう。私自身も、戦闘はまだやったことがないのだ。対魔法使い戦、ロウ、行かせてもらう。
<ペガside>
私はペガ。ますたーにはペガちゃんって思われてる、かな?ペガペガですよーん。ひひーん。
まず私は後ろに下がり、コクカの元に行く。コクカは後衛だから、護衛が必要なの。でも、ちょっと待てばコクカは攻撃の準備ができるから、私は攻撃に回る。遊撃はロウがやってくれる。
だからこそ、少しだけ囮になる必要があるの。
闘技場の中央にいるコクカの元に着くと、私は鬱屈展開・第壱段階を起動する。
私はペガ。混沌乃天馬。世界を駆ける駿馬。
今、参る。
人格、スイッチ。
<コクカside>
事前に話し合った通りに皆は動いてる。
プランα、全員が初見の人。この時は、ロウとペガの2人がまず出てから私が広範囲殲滅をする。
プランβ、数人が初見の人。この時は、ロウが初見を、ペガが既知の人を、私が2人の補佐をする。あとは私がやっちゃう。
プランφ、全員が既知の人。この時は、ペガが全てやってくれる。私の出番はなーし。
今回はプランβ。とりあえず、ロウが初見の人、アンナさんに向かって行った。アンナさんは魔法使いみたい、ロウ頑張ってね。
で、次は私の番だね。私が舞う間の牽制は、こっちに来てるペガが請け負ってくれるらしい。ありがたやー。これで大丈夫ー。これをますたーの世界ではフラグって言うんだっけ?意味は不知火。今度聞いてみようかな?
それで、ペガは鬱屈展開・第壱段階するみたい。ちょっとだけ障壁張ってガードしとこう。
障壁をぺちりーんと張ると、同時にペガの祝詞が始まる。
「花を手向ける
鬱屈を顕す
顕れる天馬に祝福を
鬱屈展開・第壱段階」
祝詞が終わると、ペガの身体が変化する。
額からは細く長い、一角獣の角が生える。
足は馬のそれに変わり、濃い蒼の蹄が生じる。
背中からは羽毛に覆われた、力強く羽ばたく翼が生まれる。
薄い桃色の髪は白銀になり、美しい光沢を生み出す。
瞳は灰に染まり、鈍い光を灯す。
美しい天馬の少女、ペガが出来上がり。
周りの人、相手の人も目を見開いて驚いている。ドッキリ大成功?だっけ?いぇい。
ペガは高らかに、相手に宣言した。
「天馬ペガ、ここにあり。さあ、かかってこい!」
そして空に上がり、私を護るように羽を広げる。頼もしい頼もしい。ありがたやー。
じゃあ、私の方も準備させて頂きますよーん。
あ、ロウ頑張ってねー。がんばえがんばえー。
天に手を翳し、祈りを捧げる。
請い、請うのは私のチカラ。
神のために、舞う。
それが私の在るべき姿だから。
舞巫女、コクカ。いきまーす。
鬱屈展開・第壱段階ー。
「花を手向ける
鬱屈を顕す
顕れる黒鯱に祝福を
鬱屈展開・第壱段階」
私の服が巫女さんになる。
袖は鰭のように垂れ、風に靡く。
背中にも背鰭が生え、風に揺らめく。
臀部からは尻尾が生まれて、風に流れる。
髪はしっとりと濡れ、前髪が風に吹かれる。
目は…どうなんだろうね?蒼くなってそうだね。あとで鏡見とこ。
これで巫女ちゃんコクカの完成ぞや。畏れるがよいぞー。
さてさて。
舞うのじゃー。
「請い請う神へと、我が神へ
私のチカラはその手の中に
舞って待たれずそのチカラ
今こそ私に、穿つ刃を
請うのはチカラ、私のチカラ」
そして、手を広げる。
「今こそ私に、分けたまえ」
さあさあ、ショータイムですぞー。
<ロウside>
アンナ氏は火系統の魔法使いのようである。先程から放ってきているのは火属性のものばかり、そう考えても良いだろう。
だが、そのような早とちりはしてはいけない。何かしらの策なのかもしれぬいのだから。もしかすると水系統だったりするかもしれないのだ、油断は禁物。
迫る炎弾を避けながら、そう考える。
アンナ氏は憎々しげに舌打ちをすると、火柱を放ってくる。火力を上げて押しきるつもりなのだろうか。
正面に迫る炎を右に跳んで避けると、そのまま火柱が追尾してくる。予想外と言えば予想外ではあるが、追尾機能の付与された魔法があること自体は想定していた。ホーミングファイア、とでも言うのだろうか?いや、それはないか。火柱だからもう少し捻ってあるだろう。右に左にと跳びながら冷静になるためにも雑念を考えていると、アンナ氏が地団駄を踏む。
「何故当たらないのです!」
「攻撃方法が少々安直過ぎではないか?そこが問題かと思う」
「何で私の弱点を知って、いやそれより喋れたんですね!?」
「最近会う女性は、こぞって同じことを言うような気がするな…」
少し動揺したのか、火柱が方向を変える。いや、ぐるぐると回っている。相当動揺しているな。落ち着いてるとは全く思えない。火柱の影に隠れてこっそりとアンナ氏の背後に移動し、体当たりする。
「んにゃぁっ!?後ろっ!?」
「すまんな、ガラ空きだったぞ」
「きぃぃいいい!」
アンナ氏は顔を真っ赤にしてこちらを睨み付ける。屈辱と悔しさ、恥ずかしさからだろう。だからか、次に放ってきたのは大量の火球、それもとても巨大なものだった。
流石に量が多い。火球と火球との間を縫い、アンナ氏の元へ再度向かう。
途中で温かな感触に包まれたのもあり、当たらずに駆け抜けることができた。
「これでも、避けますか!じゃあ、私の必殺、墜雷を食らってくたばりやがれです!」
アンナ氏が最後に繰り出したのは、案の定火とは違う属性の魔法、それも雷の魔法だった。アンナ氏の右手から紫の雷が放たれ、私の身体を捕捉する。
成る程、火球と走るのにも分がこちらにあったので更に速い魔法を出した、ということだろう。勿論光と競争できるような速度は出せないので追いつかれ、全身が焼かれる。
「グゥン…」
「やっりぃ!」
拳を握り、漸く攻撃を当てられたことに喜ぶアンナ氏。しかし、その余裕はすぐに消えることになった。
「っ…何で傷1つも無いんですか!?」
勿論だが、私に傷など1つもない。
これでも私は、ペガやコクカと同じ、マスターの配下だ。これぐらいの攻撃は傷にもならぬい。強いて言えば、毛並みが少し乱れた程度か。
アンナ氏は怖れたように目を開き、そのまま座り込む。
「そんな…、私の、最大出力の魔法…なのに…」
戦闘続行は到底無理そうな状態か。これは…、いや、本人から聞かないと勝利は確定しない。もしアレが演技の場合、不意討ちで狩られるかもしれぬい。
正面に移動し、十分に距離がある場所で口を開く。
「もう終わりか?」
「くっ…、私の…負け、です。参りました」
本当に、戦闘意欲は失っているようだ。しかし、このアンナ氏は1つばかり勘違いをしていた。それも、とても大きな。
「そこで負けを認めると、3対2になるが、それで良いんだな?」
これは団体戦だ。ここで敗北を認めてしまうと、他のメンバーに迷惑がかかる。私がアンナ氏を引き付けていたのはあるが、それでも、他の仲間に加勢に行くくらいの選択肢は選ぶべきではないか?
それを聞き、アンナ氏は立ち上がる。
「そうだ、サコッツォさん、ゴドーさんの援護をしなきゃ…!」
しかし、どうだろうかな。
まだ、戦闘は続いているのか?
<コクカside>
おはようございます、神よりチカラを貰った新しいコクカです。ぷりちーコクカ参上。ロウが頑張ってるから支援しときます。火の玉いっぱいあるからね、当たるとこんがりしそうだね。美味しそう。
「我が友よ、我が盟友よ
その身体に祝福を与えん
其は焔の加護、灼熱の紅蓮
今こそ君に、我が願いを」
にゃにゃにゃのしゃー、と。
ロウに軽く耐熱加工しておいた。これでローストウルフにはならないかな。食べてみたかったけど…。今度ますたーに頼んでみよ。
そのままペガにも耐性をかけておく。多分いらぬいけどね。
「我が友よ、我が盟友よ
その身体に祝福を与えん
其は鋼の加護、硬塊の白銀
今こそ君に、我が願いを」
しゃっしゃしゃのにゃん、と。
これでペガがぷちっとぺちゃりんこになることはないっしょー。どちらにせよそんなことあり得ないけど。…そういえばますたーの世界には馬刺しなんて言う食べ物があるらしい。…。今度だね。
それで、次は私の番だ。えーっとね、どうしようね。ペガが全部終わらすまで舞ってましょうかね。最後は盛大に決めたいし。ふにゃふにゃ踊って最後にドカン。いいねぇ。
それまでにペガが終わらせたりしなきゃいいけど。
まあいっか。れっだんす。
手を広げてー、ふにゃふにゃー。あんよトントン、尻尾ふりん。ひれひれピクピク首ぐるりん。ぱっきぱっき、ごきごきん。
「ふにゃふにゃふにゃふにゃん、ふにゃにゃんしゃー」
踊りに合わせて雨が降る。晴れたお日さまから降るその雨は、舐めると酸っぱい。その中にちょっと苦味もある。まるで…まるで?えーっと…まるでお酢に漬けたお魚みたい。生臭そうで美味しそう。
「編め編め振れ振れ、世界を紡げ
糸で雲を縫い繋げ
白いわた雲、黒いわた雲
新たな世界を紡ぎ出せ
酸味の雫は大地を融かし
苦味の雫は命を汚す
とある夏の儚い豪雨
あの子を包んで、滅しちゃえ」
殲滅よーいかんりょー。あとはペガを待つだけだね。んじゃあ、もうちょい踊ってよー。
決着の、その時までー。
<ペガside>
取るに足らない…と思われる人間2人に向けて、ペガは咆哮した。見るからに怯えるような表情をするが、すぐに取り直して向かってくる。
「成る程…!貴様は天馬、だから聖なるオーラを…」
「しかし、だとしても、魔の方はどう説明するんだサコッツォ殿…」
勇者の師とかいう謎のお爺さん、サコッツォがペガを見て何か言ってる。それにゴドーとかいうムキムキが答えてる。何の話?
「そこは警戒するしかないだろう、ゴドー。いつもので行くぞ!」
「そうだな!うっし!耐えろよ嬢ちゃん!」
走りながら会話を終えると、ゴドーが左手の盾を前にして、右手の戦斧を構える。サコッツォは2つ吊ってある鞘から片手剣を1本取り出してペガの後ろに回る。挟み撃ち、か。悪くないね。
でも、相性が悪かったね。ペガは空を飛べるんだ。宙に浮き、ゴドーの突進を回避する。そのままゴドーの背中に蹴りを加えて、飛び掛かろうとしていたサコッツォの方へと吹き飛ばす。
サコッツォは咄嗟に避けて無事だったが、クッションがないゴドーは転がっていく。数回転がると、その勢いを使って飛び上がり、態勢を立て直す。跳ね起きたゴドーの身体は土に汚れていたが、転がされた事自体の怪我は負っていないようだ。
ゴドーは口元の土を拭うと、再度こちらに向かってくる。
「空中はなかなかにアドバンテージだな!面倒だ、だがそれがいい!」
この男は戦闘狂なのか。ペガはこういう人は気色悪いと思う。
というわけで追撃に移る。狙いはゴドー。首を刈り取る勢いで滑空し、蹄を向ける。
ゴドーはペガに気づき、そして盾を向けて防御姿勢に移る。
「ラェアァッ!」
「っ、重い、な。だが、これを待っていた!」
ペガの蹴りを受け、盾がひしゃげる。しかしゴドーはその盾の後ろに隠した戦斧でペガの頭を狙ってくる。
ペガは避けもせず、戦斧の軌道に頭を持っていき、その細い角で受け止める。ゴドーはそれを見て、目を開く。
明らかに折れそうな角が、自らの全力を受け止めた。
「なっ、くそっ!」
悪態を吐き、飛び退くゴドー。砂埃を巻き上げながら、地面を滑っていく。
「その角も立派な攻撃手段ってことか。こりゃますます、たまんねぇ、なっ!」
やはりこいつは戦いに快感を見出だす変態だ。ペガとしては普通にコレを消し飛ばしたいが、ルール上それはしてはいけない。ますたーにお願いをすればよかったかな?
そう思い、ゴドーを見ると、奴は笑っていた。
しかも、ペガの後ろを見て。
「背中がお留守だな、お嬢ちゃん?」
サコッツォが片手剣を振り抜き、ペガの背中に切り傷をつける。浅いが、確実な傷だった。血が吹き出し、ペガの髪と翼を紅く染め上げる。
ふむ。見事な連携。これなら、もう少し速くしても良さそうか。
立ち止まり、宣言する。
「鬱屈展開・第壱段階、形態:半天馬人」
臀部から馬の尾が生え、腰から下が馬のモノに変化する。幼子の胴体とは全く合わない馬の腿が顕れ、蹄が更に大きくなる。
サコッツォは顔を引き締め、ペガの変化に対して距離をとることで対処する。
ゴドーが側に寄り、囁きかける。
「更に馬に近づいた…、更に機動力と速度が上がった、ってことか?」
「恐らくな。引き続き、警戒は怠らないように」
「あいよ!」
ペガは思い出した。こういう時にどう言うべきなのか。
「お前達に足りないのはっ!」
駆け出して、ゴドー達の方へと接近していく。
「気品!」
ゴドーが盾を構え、サコッツォが後ろに下がる。
「理性!」
戦斧を右手に持ち、ゴドーが姿勢を低くする。
「知性、叡知!」
サコッツォが走り出し、ペガの後方へと回り込む。
「力、技術、勇敢さ!」
思い切り飛び上がり、陽を背にして高くまで行く。
「そして、なぁぁぁあああによりもぉぉぉぉおおおおおお!」
ゴドーの元に急降下し、ゴドーの盾へと蹴りを放つ。衝撃で盾は粉々になり、ゴドーの姿が露になる。
ゴドーが戦斧を突き出すと…、
「速さが、圧倒的に足りないッ!」
サコッツォの剣が空に蹴り上げられ、ゴドーの戦斧が土に蹴り込まれた。
2人が自らの獲物を手に取ろうとすると、ピシッと音が鳴ってそれは砕け散る。これでゴドー達に残された武器は、サコッツォのもう1つの剣だけとなった。
「さあ。第2ラウンドをしよう、おじさん?おじいさん?」
ペガは肉食獣の眼差しでそう嗤った。
考えすぎでカロリーが足りないッ!
あと頼むから艦これさせて欲しいぜ。
ダメ?
ふえー。
メイ「模擬戦なんかどうでもいい、ご主人様のかほりが芳しい」
見えないからって変態するんじゃねぇ。
角もぎ取るぞ。
メイ「めぇぇえ」