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小話2 初顔合わせ

兄出てきます。

兄バトルです。


 ツッキーさんと何時ものように白ワインにおでんをつついていると呼び鈴が鳴った。

 

「何か通販で買いました?」

「どれだろ?」

「俺、行ってきます」


 ツッキーさんが財布片手に玄関に向かった。

 代引きを払ってくれるつもりらしい。

 

「花~………」


 玄関から聞こえた兄の声に私は震え上がった。


「………あれ?部屋間違えました!」

「あ、いや、間違ってません!」

「………はぁ?」


 私は慌てて玄関に向かった。

 気まずそうなツッキーさんを睨み付ける兄とその後ろに母と父が居た。


「どうしたの皆」

「花!誰だコイツ!」

「ツッキーさんだよ。寒いから皆上がって」


 とりあえず皆を家に上げた。

 家族でこたつに入るとツッキーさんが溢れてしまう。

 どうしようかと思ったら、ツッキーさんはこたつに入らず私の横に座った。

 正座はきついんじゃないだろうか?


「花ちゃん、紹介して」


 母の言葉にツッキーさんは真面目な顔で三つ指をついて頭を下げた。


「五十嵐月斗ともうします。花さんとお付き合いをさせていただいてます」


 うわ!感動する!


「な、なに~!」


 兄が勢いよく立ち上がるとこたつの上のワインのグラスが倒れた。

 ツッキーさんは手際よく台布巾でそれがこたつの布団に溢れないようにしてくれた。


「ツッキーさん、ありがとう。ワイン勿体無い」

「大丈夫。また買ってくるよ」


 ツッキーさんは眼鏡を中指で持ち上げてから布巾を洗いに行ってくれた。


「お兄ちゃん!ツッキーさんに迷惑かけないでくれる?」

「お、俺?俺が悪いのか?」

「ワイン溢したのお兄ちゃんでしょ!」

「お、俺は花の事を思ってだな!」

「はぁ?ならちゃんとツッキーさんに謝って」

「な、何で俺が!」

「お兄ちゃんが悪いからでしょ!ツッキーさんにフラれたらお兄ちゃんのせいだからね!」


 私の言葉にツッキーさんが布巾を持って戻ってきてニコッと笑った。


「俺は花さんがフラないかぎりは一緒に居ますよ」


 うぅぅ~格好つけてるツッキーさん格好いい!


「五十嵐君、それは花花と結婚を前提に付き合っているって事だろうか?」

「勿論です」


 父の言葉にツッキーさんはヘニャっと笑った。


「仕事は何を?」


 母は目をキラキラさせて聞いた。


「外資系の会社で管理職をしています」

「まあ、いくつ?」

「29です」

「まあ、役職は?」

「課長をさせていただいてます」

「まあまあ!エリートじゃない!花ちゃんやるわね!」


 私は驚いた顔をツッキーさんに向けた。


「どうしたんですか?」

「ツッキーさん、外資系の会社で課長してるの?」

「言って無かった?」

「聞いてない!インテリ顔だと思ったらリアルインテリじゃん!」

「………悪口じゃないよね?」

「違うよ!一樹と影でインテリ眼鏡とか言ってないよ!」

「………言ってるんだ………」


 ヤバイ。バレた。


「悪口じゃないよ」

「悪口にしか聞こえないです」

「格好いいって意味だよ」

「説得力0だよ」


 さすがインテリ、流されてくれない。


「まあ、ラブラブね!」


 母よ!何処がラブラブに見えるんだ?


「か、一樹も手なずけてるのか!」

「一樹はツッキーさんみたいなお兄ちゃんが欲しかったんだって!」

「あいつ、シメる!」


 ツッキーさんはそんな私達を見詰めると真剣な顔をして言った。


「ふつつか者ではありますが、花さんとの付き合いは真剣に考えさせていただいています。どうか、お付き合いを認めていただけないでしょうか?」


 父と母はニコニコしているが、やはり兄の顔はヒクヒクとひきつっている。


「誰が許すか~!」


 私は兄を睨み付けると言った。


「なら、お兄ちゃんとは一生口きかない」

「へ?」


 兄がフリーズすると、ツッキーさんが困ったような顔で私に言った。


「は、花さん。そんな子供みたいな事言わないで」

「私はツッキーさんが好きだから認めないような兄は要らないんです!」


 私の言葉に兄の目から涙が溢れた。

 何時もの事なので、私も両親も無視だが、ツッキーさんは驚いたみたいでオロオロして言った。


「花さん!お兄さんは花さんが大事だから、何処の馬の骨とも解らない俺を認められないだけです!俺は認めてもらえるように頑張りますから。お兄さんに意地悪しないで下さい!」


 え~私が悪者?兄の涙には何にも価値がないのに!


「五十嵐君は良い人だ~」


 兄が感極まったようにツッキーさんに抱きついた。

 ツッキーさんもそんな兄の背中をヨシヨシしてて兄に殺意が生まれた。


「ちょっと!ツッキーさんは私のなんだから離れて!」

「花さん、泣いてる人に酷いこと言ったら駄目です!」

「五十嵐君~」


 ツッキーさんを味方につけるだと!

 むっ、ムカつく!


「私だってツッキーさんにそんなヨシヨシされたことないのに!」

「………花さんが望むなら何時でもしますよ」

「じゃあ!今!」

「………お兄さんの後でも良いですか?」

「お兄ちゃんなんて大っ嫌い!ツッキーさんから離れて!」


 その後も、シクシクする兄をツッキーさんがいっぱい構っててムカついて文句を言う私を後から来た一樹が見て大爆笑するって事件があったが、とりあえず初顔合わせは終了したのだった。

兄vs花ちゃんの話になってしまった………

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― 新着の感想 ―
[良い点] 久しぶりに読み返しました。 御著の中で、ダントツに好きなお話です。 [気になる点] soy様、「バック」「ベット」など、若干『あれ?』と思う入力ミスがおありです。 誤字報告機能有効にされる…
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