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ついに今日、私は21歳の誕生日を迎えた。
反逆罪に問われそうになったところを国民のデモで助かり、念願だった平民の国政参加も動き出している。
「ようやくここまで…」
東棟のテラスに出て感慨に浸る。多くの国民が私の誕生日を祝うため、王宮に集まってくれているのだ。みんな私に見えるようにと、大きく手を振っている。
私の隣にはもちろんパリス様。「ここなら卵は届かない」と冗談を言いながら、私に微笑みかける。
「では、行こうか」
「はい、参りましょう」
テラスの縁まで進むと、歓声と拍手がますます大きくなり、地鳴りのよう。体の底から震えるような振動に、心も震え、涙が溢れる。これまでやってきたことは間違いではなかった。これからも、この信頼を裏切らないように、パリス様とともにたったひとつの道を進んで行こう。
「王妃様万歳!国王陛下万歳!アズミア万歳!」
みんなに聞こえるかはわからないけれど、精一杯声を張り上げる。
「ありがとう…!」
二人で何度も何度も手を振る。
そして、パリス様が私に横を向かせてくちづけた。「わぁっ」という歓声があがる。
パリス様は私の耳に口を寄せて「約束を覚えてるか?21歳の誕生日だ」と囁く。私は頬を染めて頷いた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。ブックマークや評価がとても励みになりました。
これが、私が初めて書いた作品です。
このサイトで素晴らしい作品を公表されている皆様への憧れと勢いだけで書き始め、連載を始めてしまいました。
そのため、途中、自分の力不足のせいで嫌になることが多々ありました。長い作品ではないにも関わらず、連載をやめてしまおうかと思ったこともありましたが、「私の作品でも読んでくれている方がいるんだ」と思うと、何とか、何とか、21歳の誕生日までたどり着くことができました。
本当にありがとうございます。