破滅への道
「あら? アイシャとご結婚を望まれている方じゃないですか。何の用ですか?」
なんだか騒がしいと思えば、玄関先で元婚約者であるイダムズ様が兵士と取り囲まれていた。あらあら、なんだか想定していたよりも事態は早く動いたようである。
「シーナ! どうしてこんなことをするんだ!君と復縁したい、そう伝えに来ただけなのに!」
「そんな勝手なこと言われましても……」
さすがはアイシャのことを好きになってしまった人間である。今自分が、どうしてこんなことをされているのかすらも分かっていないようだ。
「イダムズ様との婚約が解消されましたので、私は別の方と結婚することになりました。父にあの日のことを全て説明したら激怒しまして、アイシャを家から正式に追い出すことにしたのです。でも、イダムズ様がいるから、アイシャのことは安心ですね」
「なっ、別の人と結婚? 嘘だろ……それじゃあ俺とはどうなるんだ?」
「もうあなたは部外者ですよ。だから今、こうやって拘束されているんじゃないですか。不法侵入って言葉ご存知じゃないんです?」
彼は絶望顔を浮かべる。でもこれは、あなた自身の選択なのに被害者のように振る舞われても困る。
私が兵士に視線を送ると、兵士が玄関の扉を開け放つ。そこには、兵士に取り押さえられたアイシャの姿があった。
イダムズ様が公爵家に訪れ、離れに入った時点で兵士には両方を押さえるようにと伝えてあったのだ。
「あああああ!!! 離してよ!! 全部あいつが悪いの! わたしは何も悪くないもん!」
アイシャは泣きじゃくりながら、イダムズ様を指さす。
「アイシャ……! お前、なんで俺のせいにするんだよ! よくよく考えてみれば、悪いのは俺を騙していたお前の方じゃないか……!!」
「うるさいうるさいうるさい! お姉さまのもの、あと少しで全部奪えそうだったのにっ!!」
あぁ〜……なんてお似合いなんだろうか。
やはりイダムズ様は私より、アイシャとの相性が格別にいいわね。
「兵士の皆さん。それでは二人を追い出してください」
「待ってくれ!! そんな、待ってくれよ!」
「だから引っ張らないでっ!! そんな強引に……やめてよもう!!」
二人は暴れながらも、兵士たちに引きずられていく。
「アイシャとともに、お幸せに」
そう言って、私は彼らを見送ったのだった。
全く、今更よりを戻せと言われても困りますよ。




