エピローグ
長いようで短い旅から、二年が経った。
世界では魔粒子の流れが安定しつつある。気候は過度な高温や低温が減り、魔物の狂暴化もほとんどなくなった。
ギルガント帝国とイルマーダ王国の関係は良好になり、交易も盛んになった。
そんな中、アルヴェントの報告書は世間を驚かせた。
魔粒子の流れの仕組みや精霊界の存在。
何より『魔力なし』が人間と精霊の子であること。精霊魔法が強力に発動することは今までの常識を覆すものだった。
しばらくはアルヴェントを嘘つき呼ばわりする集団もいたが、それも徐々に沈静化した。
国の中枢が見てしまったのだ。『魔力なし』が魔法を使うところを。強力な精霊魔法を使うところを。
ブラックベル伯爵の件が、恐怖と共に深く心に刻まれていた。
それから、皇帝ハワードは約束通り、井戸水の自動汲み上げ機をクリスの村に導入してくれた。
村人たちは大喜びし、毎日使われている。多少の不具合なら村人でも直せるのがありがたい。
レミは自分で汲み上げられないので、いつも誰かに便乗していた。
が、クロウスやシャルティスの魔力を貸してもらえれば魔道具を動かせるということが後日、判明した。
念のため、このことは手紙でアルヴェントにも報告した。
何か気付いたことがあったらまた連絡が欲しいと返事があった。相変わらずの研究熱心さだ。
今では村の周辺に現れる魔物も減少し、レミとクリスの出番も減った。そのことを二人は残念がったりしない。
平和が一番である。
レミは今日も宿屋の裏で薪割りをしていた。カラン、カラン、と木が転がる。
クロウスはもにもにと動いて薪を拾う。
そこへ駆けてくる軽い足音が聞こえた。レミは手を止め、上体を起こす。
「レミお姉ちゃん! お友達がきてるよ」
金髪をツインテールに結んだ女の子が声をかけてきた。
レミは「友達?」と訝しむ。訪ねてくる友人など心当たりがない。
「どんな人?」
レミは汗を袖で拭いながら聞いた。
「あのね、赤い髪のお兄さん!」
――END――
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
レミの旅はこれにて終了となります。
見守ってくださった皆様、本当にありがとうございます。
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