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第1話「全盲」


 

 「願望実現委員会」のエナメント委員長は、、いつものように「地球」に向けた『願望アンテナ』を注意深く、、見つめていた。。



 「世界で最も叶えたいという祈り、想いが強い人間のその『願望』を叶えるために、、全力でサポートする」


 という名目で結成された組織、、それが「願望実現委員会」である。




 今日、、「世界最大の願望パワー」を発したのは、、一人の病院にいる少年だった。。



 「この少年は、、先天性の全盲だった。。一度でいいから、、目が見えるようになって、、外を歩きたいという祈りだ。。祈りパワーゲージは『5000万』だ。。今日、、最も強い祈りを記録した。。さあ、行くぞ!! ミント!!」


 「はい!!」


 

 


 東京にある「新明病院」のある病室に、、全盲の少年「正樹」がいた。。


 ショパンの音楽がCDプレイヤーから流れている。。


 無言のままベッドの上で目を閉じて、、リラックスした状態で寝ていた。。



 「正樹君!! 起きてくれ!!」


 正樹は初めて聞くような声がして、、見えない目を開けて、、飛び起きた。。


 「はい!! なんでしょう?? 聞きなれない声ですが……」


 「私はエナメントという。。君の『目が見えるようになりたい』という祈りが、、私まで届いたよ。。

単刀直入に言おう。。 一日24時間だけ、、君の目が見えるようにしてあげよう」


 「えっ?? そんなことできるんですか?? なんの冗談でしょうか?? 目が見えるようになりたいと尋常じゃないくらい祈りましたが、、僕の病気は完治しないんです。方法がありませんよ」


 「それができるんだ!! 我々は、、『願望実現委員会』といって、、願いを叶える使者なのだ。とにかく、、今日、、24時間、、目が見えるようにしてあげよう。目の手術は5分で終わらせる。。そしたら、、君は、健康な目でこの世界を見ることができるようになる。。24時間後に、、また、、元に戻ることになるけどね」


 「24時間後には、、また目が見えなくなるのか……」


 「やるか??」


 「はい!! 痛くないですよね??」


 「痛くないよ。少しもね」



 エナメントは助手のミントと共に、、正樹に手術を行った。


 5分後……



 「さあ、、ゆっくり目を開けてみて……」


 正樹はエナメントに言われるがまま、、目を慎重に開けた。。



 そこには、、初めて目でみる世界があった。。


 「わああ……凄い!!!!」


 「どうだ?? 最初に見た景色は??」


 海の上に建てられた木造の水上コテージからの眺め。。



 「美しいです!! 綺麗です!! どこでしょうか?? 僕は病室にいたはずですが……」


 「ここはタヒチのボラボラ島だ。。これが世界一美しい『海』だよ。ワープして連れてきたんだ!!」


 「あなたたちは、、一体、、何者ですか?? ただの人間じゃないのはわかりました。。人間の科学力を超えることを軽々しく、、実現してしまいますね」


 「生まれて初めて見た景色が、、タヒチの海なんて、、なかなか幸せだと思うぞ??」


 エナメントは正樹を抱きしめた。


 「わあ」


 「初めて見る景色が陰気臭い病室じゃ、、可哀想だったから、、勝手に連れてきたんだ。。どうだ、、綺麗だろ??」


 「最高です!! こんな美しい世界を見られるなんて。。でも、、24時間後には、、もうまた見れなくなってしまうんですね。。今のうちに、、この景色を心に刻み込んでいきます。それよりも、、僕は、、父さん、母さんの顔を見てみたいです」


 「会いに行こう。ただ、、透明人間になって会いに行くんだ!!」


 「透明って、、そんなこともできるんですか??」


 「私たちは、、地球科学を超越した、、宇宙最高の組織だから、、余裕だよ。余裕!! 私と手を繋いでくれ。。繋いでいる間は、、透明のままでいられる。。瞬間移動して、、家族の元へ行こうか!!」


 「はい!!」





 正樹は、、母親と父親の元へと透明人間のまま、、エナメントと共に着いた。



 「これが、、僕のお母さん……お父さん……」


 「声を出しても抱きしめてもいいぞ?? ただ、、君の両親は君に気づかないが……」


 「お母さん!!」


 正樹は父母を強く抱きしめた。。


 「やっと顔を見ることができた。一生、、忘れないから」



 

 エナメントは正樹に鏡を向けた。。


 「自分の顔を見てみたまえ。。まぎれもない、、自分の顔を」


 「これが僕なんだね!! こんにちは!! 僕!!」



 24時間後、、正樹はまた手術により、、全盲に戻った。。



 「エナメントさん。。24時間の間、、美しい世界を見ることができて、、幸せでした。。僕の祈りが通じたんですね」


 「君の祈りの最大瞬間風速は、、本日の世界最高を記録したから。だから、我々がこうして祈りを叶えるために、、参上したんだよ。世界最高にならないと、、我々は来れないんだ」


 「僕に美しい記憶が残りました。。美しいタヒチの海、、優しい両親の顔、僕自身の顔、、自動車、美しい黄色や紫などの色、、青い空と白い雲と太陽、、海の夕焼け、夜の月、、虹、、すべて、、心の中に死ぬまで生き続ける宝物になりました。。ただ、、もう少し、、あと少しだけ、、もっとたくさんのものを見てみたかったです……」


 「できないことはない。。君の祈りが、、もっと強く、、そのことを祈れば、、もしかしたら、、我々は、、死ぬまで健康な目を与えることができるかもしれない。。祈り、願望の強さ、、今までのその強い祈りの想いの累計総量など、、厳しい審査、、オーディションがあるからな。。選ばれるには、、もっと強く、、祈るしかない!! その叶えたい願望が実現困難なほど、、強い祈りによる想いパワーが必要になるからな!!」


 「では、、祈り続けます。。また、、僕からあなた方を会いに来させます!!」


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