【第4話】記録者、世界を書き換える
【第4話】 完成版
その夜、俺は浅い眠りについた。
森の奥から聞こえる、得体の知れない“何かの気配”を感じながら――
(翌日)
昨日の魔物を迂回して
魔の森の奥深く、特例任務である危険調査が始まる。
魔物の巣窟に足を踏み入れた瞬間、緊張感が一気に高まった。
戦闘が始まる。ライオネルは剣を振るい、敵を切り裂く。
ガルドは盾を構え、仲間を守るために前面で攻撃を受ける。
ミラは魔導書から強力な魔法を放ち、敵を弱体化させる。
フィリスは味方を強化し、戦闘の流れを調整する。
そしてエレナは回復魔法で仲間を支える。
しかし敵の一撃は予想以上に強力だった。
その瞬間だった。
「……っ!?」
死角から、魔物が跳びかかる。
反応が、遅れた。
⸻
「レイ!!」
ライオネルの声。
だが――間に合わない。
ドンッ――!!
鈍い衝撃。
視界が、弾ける。
(え⁉︎……)
俺の身体が、浮いた。
次の瞬間、地面に叩きつけられる。
息が――できない。
胸が潰れたような痛み。
視界が急速に暗くなっていく。
………………..
………….
……
「レイ!!しっかりして!!」
遠くで、エレナの声がする。
(やばい……これ……)
思考が、途切れる。
意識が――沈む。
――静寂。
何もない。
音も、光も、感覚もない。
ただ――
“何か”が、ある。
だがそれは、言葉では表せない。
形もない。
だが、確かに“意識”だけが存在している。
(ここは……どこだ……?)
問いかけても、返答はない。
だが次の瞬間――
“見られた”
ぞくり、と背筋が凍る。
(なんだ……今の……⁉︎)
理解できない。
だが、本能が告げている。
“これは見てはいけないものだ”と。
その瞬間――
意識が、引き戻される。
「――――ッ!!」
レイは大きく息を吐き、身体を跳ね起こした。
「はぁっ……はぁっ……!!」
激しく咳き込み、肺に空気を流し込む。
「よかった……レイ……!」
エレナが、すぐそばで涙を浮かべている。
「ヒール……間に合って……」
その手は、まだ震えていた。
ライオネルが低く言う。
「……危なかったぞ」
ガルドも頷く。
「あと少し遅れていたら、助からなかった」
レイは答えられない。
ただ、呼吸を整えることしかできない。
(……今のは……なんだ……)
あの“場所”。
あの“視線”。
次の瞬間。
レイの視界に――
“ノイズ”が走った。
(……っ!?)
景色が、わずかに歪む。
魔物の動きが――
“二重に見えた”。
(……ズレてる……?)
ほんの一瞬。
魔物の動きが、“遅れて”重なる。
まるで――
「一度……切り離されて……」
「あとから……重なったみたいな……」
心臓が、大きく鳴る。
(さっきの……あれと……繋がってる……?)
「レイ!まだ動けるか!」
ライオネルの声で現実に引き戻される。
「あ……ああ……大丈夫だ……」
そう答えながらも――
胸の奥に、確かな違和感が残っていた。
“何かに触れてしまった”
その感覚だけが、消えない。
一時は優勢だった攻撃も徐々に通用しなくなり遂にエレナが倒れてしまう。
「キャーっ……!」
エレナが致命的な攻撃を受け、血が頬を伝い、呼吸が次第に弱まっていく。
俺の胸に切実な願いが湧き上がる。
「……助けたい、絶対に助ける!」
次の瞬間、レイの視界に――
また”ノイズ”が走った。
(痛っ⁉︎)
その瞬間――頭の中に突然、幼少期の記憶が鮮明に蘇える。
あれは俺が5歳の頃、愛犬ルクスと森に入り魔物と遭遇したときだ。
俺は突然現れた魔物に払い飛ばされ頭を強打して意識がもうろうとなる。
そんな俺を守ろうと愛犬ルクスが必死に戦い傷つきながらも魔物を追い払う。
俺の側まで来て頬を舐めてくれたルクスは俺の腕の中で息をひきとった。
その後の事は覚えていない。
翌朝、目が覚めるとそこは自分のベッドだった。
いつものように愛犬ルクスに頬を舐められ起こされる。
頭が混乱する
あの時の出来事が夢だったのでは無いかとも考えた……….
今迄はそう思っていた……..
だが…今!
全部思い出した。
あの時、死にかけたルクスを抱きしめたとき無意識に力を発動させていたこと。
まるで撮影された映像を編集するかのように映像を操作していたこと。
そうか、これが記録スキルの正体だったのか。
記録したものを自在に操作できる能力。無意識でも発動していた力。
今、エレナを救おうとする切実な願いの中で、自分のスキルの使い方と重要性がはっきり理解できた。
まだ手探りではあるが元の世界で慣れしたしんだ俺の編集スキルで必ず救ってやる!
気づくと、エレナは再び息を吹き返していた。
深かった傷も、まるで元に戻ったかのように修復されている。
その奇跡をパーティーの仲間はもちろんエレナ本人さへも気づいていない。
俺は深く息をつき、胸の中でそっとつぶやいた。
「記録する力、これが俺のスキルか」
秘密裏に、静かに、確実に――俺の能力は働いていたのだ。




