(8)
「おい、水原、お前、頭大丈夫か?」
「えっ……あの……?」
ああ、畜生。
やっぱ、このクソ女には才能が無い。
前から思ってた通りだ。
所詮は、脳味噌じゃなくてチ○ポでモノを考えるようなDV糞男に引掛るような馬鹿女だ。
「あのなぁ……杉山ゲンさんをレイプ魔だと告発した嘘吐き女が制裁を受ける話を、何で、逆に杉山ゲンさんが制裁を受ける話に変えてんの?」
「い……いや……でも……こっちの方が話の流れが自然な感じに……」
「あのさ、俺達が書いてんのは、作り話だよ? 現実的かどうかより、ウケるかどうかでしょ?」
「で……でも……最近だと、こっちの方が高評価になるので……」
「お前、俺の漫画だぞ?何、お前が勝手に判断してんだ?」
「え……え……でも、なら、先生が……」
「俺が何だって?」
「あ……あの……」
「お前、そんな事だから、あんな悪い男に体を弄ばれる羽目になるんだよ?あんな屑野郎の子供を妊娠したら、どうする気だったんだよ?」
「え……え……え……」
「もういい、今日中にプロット作り直せ」
「は……はい……」
「あと、お前が期限までに仕事を終らせなかったせいで、こうなったんだから、今日は、休んだ事として扱うから」
「あ……あの……」
「はい、言われた事を、さっさとやる。いいか、難しい事を何も考えずに、お前が面白いと思うプロットを作れ。それで巧くいく筈だから」
「は……はい……」
全く、使えねえなあ……と思ってるが、昼飯時になっても、まだ、水原は机の前で泣きそうな表情のまま、全く手を動かしていなかった。
しょうがないので水原を仕事場に置いて、他のアシスタント達と昼飯を食いに行き……。
三〇分以上して帰ってきても……まだ……。
何だよ。
これだから女は……。
水原は机の前で……何も手を動かしてない。
目は真っ赤。顔には涙の跡。
「おい、とりあえず、手を動かせよ。そうすりゃ、アイデアなんて、どんどん、湧いてくるものだろ?」
「は……はい……」
クソ。
どうすりゃいいんだよ?
俺、何で、こんな使えねえ女を雇っちゃったんだ?
結局、夕方になっても、プロットの書き直しは全然進んでいなくて……俺と他のアシスタントは、水原を置いて帰るしか無かった。