(7)
「おい、水原」
「は……はい」
ここ1〜2日、ずっと、こんな調子だ。
どうやら、彼氏が、とんだクソ男だって事実を知ってから、落ち込んでいるようだ。
何とか立ち直らせる方法は無いか……?と考えていたのだが、まぁ、仕事をさせて忘れさせるのが一番だという結論に至った。
そこで……。
「おい、次のエピソードのプロット作っといて」
「えっ?」
「明日の朝までに頼む」
「え……えっと……ですが……」
「俺が書いてるアイデア・メモを参考にして」
「あ……あの……」
「これも漫画家になる勉強だ。明日の朝までな」
「は……はい……」
「頑張れよ。お前には才能が有るんだ。お前なら出来る。お前には期待してるんだ」
「わ……わかり……ました……」
「じゃあ、そろそろ退勤時間なんで……そうだな、6時までには、ここの電灯とかOFFにして帰って」
「え……えっと……自宅でやれって……事でしょうか?」
「そうだけど?」
「わ……わかりました……」
あいつには才能が有る……そう言ってやったのはお世辞でも何でもない。
俺のアシスタントになったのも何かの縁だ。
あいつの才能を延ばしてやるのも、俺の義務だ。
もちろん、自分の作品に愛着が無い訳じゃない。
けど……今は……あいつの才能を見出した男として漫画の歴史に名を残せれば、それで十分だ。
でも、どんな素晴らしい才能でも、適切に育てないと腐り果てる。
ちょっとキツい事かもしれないが……多少の試練は与えるべきだろう。
だが、大丈夫だ。
あいつはきっと……きっと乗り越えてくれる。




