みーちゃんが求める人材とは
「というわけで、さきほどの『マスターが個人でダンジョン職員を雇用する場合の条件』について話してもらえるかしら?」みーちゃん
「要約すると
1.一般人とダン菅職員の両方から募集する
2.ミーちゃんが選んだ人物が一般人であった場合は、ダン菅の通常の職員採用試験にも合格する必要がある。
の2点です」ダンサン
「そりゃまた どうして?
ダンジョン立ち上げ当時は、守秘義務があるから ダンジョン管理はマスターに一人で
人手が足りないときは ダン菅に相談しろ
みたいなことを言ってたんではなかったっけ??」みーちゃん
「それはですね、今まで ダンジョンは基本ダンジョンマスターが一人でやりくりするか
マスター権限をダン菅に譲って マスターが引退するかの2択がメインだったからです」ダンサン
「しかしですね、『みーちゃんダンジョン』に関しては、今後も成長を続ける可能性大ですし
それには みーちゃんがマスターであり続けることが必要&
マスターを支える職員も必要であるという観点から、
ダン菅としても 増員方法を今回あらたに検討した結果が、あれなんです」ダンサン
◇ ◇
この点について 少しぶっちゃけ話をすると・・・
ダンジョンコアに登録できるダンジョンマスターは一人だけ
マスター交代時に ダンジョンが壊れる可能性があるので、
一人のマスターには長期間努めてほしい
「ダンジョン管理部」としては、すべてのダンジョンを組織の管理下に置きたい
しかし 一職員をダンジョンマスターにしても、汚職問題やら職員個人の能力不足やらでダンジョン経営がうまくいかなかった。
そこで苦肉の策として 宝くじシステムを使って マスター候補をスカウトし
マスターが決まれば ダン菅職員が担当者となって ダンジョンマスターを管理する
というダン菅方式に至った経緯が関係している。
しかし このダン菅方式にもまた 幾多の問題がいろいろありありで・・・
たとえば、過去のダンジョン管理においては、
ダン菅が 有望なダンジョンへの管理権を強めようとすると、
とたんにそこのダンジョンマスターのダンジョン運営力がおちるとともに、ダンジョンの成長が止まった。
これは、たんにマスターの思考が、「ダンジョンを成長させるという課題達成への集中」からそれて、むしろ「自分とダン菅との関係」を考える方向に気がむかいがちになるということだけでなく
「マスターの心のありよう」そのものが ダンジョンコアに投影されるからではないか?
という見立てが、ダンジョン管理部人事課・精神衛生担当及び職務適正査定部から出された。
それゆえ、ダンジョン担当職員は、マスターの性格を考慮しつつ、
ダン菅からの要望をどこまでダンジョンマスターに押すか、否かの決定権をもたされた。
さらに、ダン菅組織内の勢力争いに ダンジョン担当職員が巻き込まれないようなシステムづくりや、ダンジョン担当職員の人間性の査定方法なども 研究・検討の対象となった。
それゆえ ダン菅としては、
ミーちゃんダンジョンのさらなる発展のために、ダン菅職員を送り込みたい、
みーちゃんが個人的に人を雇うなんてとんでもない!
なにしろ機密性の高いダンジョンに部外者を入れることは規約違反だ!
と考え、
一方のみーちゃんは、「役立たず・足手まとい・信頼できない人間はいらない!」の三拍子。
その間を ダンサンが取り持った結果が、冒頭の条件であった。
◇ ◇
「しかしですね、そもそも 私の欲しい人材が ダン菅にいるのかしら?
それに かなりコアな部分にかかわる仕事を任せること考えているから
ダンジョン乗っ取りを防ぐために 慎重に採用計画を進める必要があるわ」みーちゃん
「つまり ダン菅職員であろうとなかろうと、ダンジョン経営に欲を出すような人間はダメということですね」ダンサン
「そういうこと」みーちゃん
☆ ☆
みーちゃんが欲しいと思った人材は
〇システムエンジニア
・顧客=みーちゃんが何を求めているのかを聞き取り
どういったシステムを作ると要望をかなえられるのかを考える・・要件定義
要件定義において、自社で(=自分が)どのようなシステム開発ができるのかを正しく認識し、大風呂敷のプレゼンではなく 顧客に対して明確に(現実的・具体的に)説明する能力が必要
ここまでは これまでミーちゃんが一人で行ってきたが、
一人で考えがまとまらないときは
顧客の意図をきちんと読み取ることのできるコミュ力のあるダンサンとの会話でなんとかやってきた。
・システムの概要(要件定義)のあと、実装する機能や仕組みを具体化する作業・・基本設計&詳細設計
基本設計:表から見える部分
ミーちゃんダンジョンで言えば、お客様と直接かかわる部分
詳細設計:基本設計を具体化するための設計
ようは 裏方の仕事であり、ダンジョン設計(=プログラム)の根幹にかかわる部分
この詳細設計に関しては、ダンサンは完全に専門外なので、ミーちゃんの相談相手になれない。
これまでは 「ここは ダンジョンマスターとしてがんばらなくては」とミーちゃんも頑張っていたが、
やはり 一人だと、詳細設計で息詰まると 基本設計を動かしたくなり、
しかし安易に基本設計を動かすと 接客サービスとしての経営面に影響する。
つまり、ダンジョンを使ったテーマパークという「ミーちゃんダンジョン」の基本理念(安全安心&ワクワク・リフレッシュ)が崩れ、顧客満足度に影響する。
その結果、ミーちゃんの頭の中で問題がとぐろを巻いていしまい、行き詰まりやすくなった。
そこで 主に この詳細設計部分で ミーちゃんの助手(話し相手 いずれは協力者)となれるシステムエンジニアが欲しいと思ったのだ。
そして ダンジョン設計は、詳細設計がそのままプログラミングにも直結するので
プログラミング能力の高いシステムエンジニアが欲しいと思ったミーちゃん。
〇プログラマー
・本来は システムエンジニアが創った仕様書を機械に入力していく専門家のこと。
ゆえにプログラム言語の知識は必須
機械がかわるとプログラム言語も変わるのが世の習い
ゆえに 常に 新しい言語を学び続けねばならず・・プログラマーの実働年数が短くなりがち><
さらに入力コードが正常に機能するか点検するデバックも行う。
システムが稼働後、設計時には予期できなかった問題が発生した場合に対応するときも、デバックする。
このデバック作業が ものすごく面倒で・・
みーちゃんは デバックポイントを推測するのは得意で的中率ほぼ100%だが
作業そのものは ものすごく苦手
というか コード入力そのものも苦手
若い頃は 奥歯にひびが生じるほど歯を食いしばって入力作業を行なっていた。
当時はまだシステムエンジニアという職が確立しておらず、
システム設計からコード入力からデバックまで一人ですることが一般的だったから。
それでも みーちゃんは「私にxxは無理!」と宣言して、仕事仲間との分業体制を実践していた。
(昔は チーム全体として業績を上げて その報償を平等に分けていたので、
互いに持ちつもたれつだったのだ。今は昔の物語)
そしてまた 大多数の者は、フローチャートをもとに プログラム言語を扱うことまでは学習できても、フローチャートそのものを書く閃きが沸かないというのが悩みの種だったので、
クライアントを見つけ、クライアントから要望を聞き出してフローチャートを書き上げるミーちゃんの手腕が 高く評価されていた時代でもあった。
当時は「コンピューターなにそれ?機械にわしの腕と勘と経験が負けてたまるかい!」という時代だったから。
そこを「わしの経験と勘を あたりはずれなく現実化して後輩に引き継ぐモノをつくってくれてありがとう」といわしめるみーちゃんは 貴重な人材だったのだ。
それがいつのまにか あっという間に「技術者?人! なにそれ 不正確な。機械があれば不要」なんて言い出す経営者・管理職が増えたので、みーちゃんは頭を抱え、
時流に乗って荒稼ぎする人間のほうが偉いと威張りだす輩が闊歩しだしたので、みーちゃんがプッツンしたのだが。
(ちなみにBASICは フローチャートの書けないプログラマーのために開発された言語であるといってもよいかもしれない。
そのBASICが集積回路を使ったシステムの飛躍的発展の土台となるとともに
プログラマーやシステムエンジニアをただの使い捨て労働力・使い勝手の良いパシリ程度に
そして 生産場面におけるすべての熟練労働者・技術者の
社会的地位と労働環境を劣悪化させる引き金を引いたとみーちゃんは個人的に思っていた)
・ただ ダンジョンの場合は、ダンジョンコアの操作を行なえるのはミーちゃんだけなので
実際には プログラマーはいらない。
しかし 新しいシステムを導入した時のバグ取り要員もかねて
バグの発生しにくいプログラムを書ける人・ハッキングとハッキング対策に秀でたプログラマー(←ホワイトハッカー、セキュリティエンジニアとも呼ぶ)が一人いたら、良い話し相手になるのにと思うみーちゃんであった。
というのも、ダン菅技術部とのやりとりや、ダンジョン内の端末機器を動かすプログラムで、
通常のプログラム言語を使うこともあるからだ。
ただし ホワイハッカーというのは 諸刃の剣でもあり
ダンジョンプログラムというのは、最重要機密でもあるので、
実際の採用活動そのものから雇用後の働かせ方・人事管理まで慎重におこなわなければならないのであるが。
〇システムオペレーター(シスオペ)
本来の意味は システムの維持と効率化のために、ホストコンピューターを管理、運営する技術者や、ネットワークを管理する人のこと。
主に システムの運用状況の監視や小規模なメンテナンスを行なう。
ミーちゃんダンジョンでは 顧客の入場~退場までの監視・管理、転移陣の稼働状況の把握を担当させる予定。
◇
ちなみに みーちゃんが現在 システムエンジニアを雇ってでも構築したいシステムが
この顧客管理システムである。
さらに デバックに強いプログラマーの助けを借りて再点検したいシステムというのは
ダンジョン生物の生成・稼働&疲労の回復・消滅をモニターし管理する自動システムであった。
これらの点に関しては、このダンジョンと結びつかないように変換した物語として課題を出す予定だ。
言い換えるなら、みーちゃんがダンジョン設計の時に「ひな形」として使えるプログラムモデルを作成・開発できる人間が欲しいのだ。
☆ ☆
「顧客の管理、転移陣稼働状況のモニターやデータ処理を専門とする職員は、
これまで ダン菅にはいませんでしたね」ダンサン
「知ってます、それは 私もダン菅職員から聞きました」みーちゃん
「そもそも ダンジョンに関するそれ系の仕事を ダン菅は、ダンジョンマスターに押し付けてたじゃないですか。
最近は、ダン菅から送られてくる客数の確認を、貴方が代わりにやってくれていたので私は助かりましたが
貴方がいないと それが全部私に回ってきて 目がまわりました。」みーちゃん
「あはは
今まで 他のダンジョンマスターからの苦情はなかったので。
ダン菅としても それらは あくまでも「経営者の仕事」と思ってました。
まさか 経営者個人がやる事務仕事ではなく、専門職員を雇ってまで行う大仕事になるとは予期してませんでした。
ただ、職員採用にあたっては、ダン菅のメンツを立てる為にも、ダン菅職員にも一応は募集をかけてください」ダンサン
「面子ね~。
それって 受験はさせても 採用者ゼロってことでもいいの?
というか資格要件を満たさない者は 書類審査の段階で落とすよ」みーちゃん
次は 明日13日朝8時公開です




