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ダンサンの帰還

10日ぶりに ダンサンがダンジョンに戻ってきた。


「おかえりなさい」


「ただいま」


今や ダンサンもダンジョンの住人と、ミーちゃんは認識している。


「ダン菅からの新方針のお知らせです」ダンサン


「えー またぁ」


「すみません。

 ダンジョンの成長に合わせて ダン菅としても管理体制を整えていくのが、ダン菅の存在目的なもので」ダンサン


「ぶーぶー」(しかたないけど)


「えーとですね、ダンジョンの種を植えたときに、地上からのエレベーターが支給されたのを覚えていますか?」ダンサン


「あーあの、種を植えるときに使ったきりのエレベーターね」


「そうです」ダンサン


「それでですね、ダンカンから、あのエレベーターを使って

 地上の開発をやったらどうかという提案がありまして。

 その みーちゃんダンジョン内でできた生成物を使って」ダンサン


「却下」


「ですよねー」ダンサン


「当然でしょ。

 地上の土地は 私のもんじゃないもん

 ダンジョン内で作ったものは ダンジョン内に来たお客様に提供してこそ ダンジョンの維持・成長に役立つのであって

 ダンジョンの外に持ち出すメリットがない」


「はい その点については、以前マスターの意向を伺っていましたので

 私も そのように反対してきました」ダンサン


「それで?」


「ダン菅からは、地上のエレベーター出入口の近くに、警備員を置きたいとのことです。

 その 万が一のダンジョンの暴走とか不法残留者の発生に備えて」ダンサン


「役に立たないし 干渉されるだけになりそうだから嫌」


「はい それも事前に話し合った通り 断ってきました」ダンサン


「それで?」


「この際、内部留保している資金を使って、エレベーター周辺の土地を買い取り、そこに職員用宿舎を建ててはどうでしょうか?


 そのさい、ミーちゃんダンジョン内の材料を使えば、うまくいけば

地上部分もダンジョンの一部にとりこまれるかもしれません。


 もともと ダン菅の意向は、ダンジョンの地上への成長実験をやりたいというのが 本来の狙いですから」


「今は そこまでやりたくない。


 もっと 地下でダンジョンを育てたい。

 過去の他のダンジョンのデータからすると、

ダンジョンを地上部まで延長したら、急速にダンジョンが消耗して、

地下での発展がものすごく遅くなったり 下手したら縮小してもるもの。


 絶対いや!」


「と マスターが拒否権を発動するだろうとは、ダン菅本部にはすでに伝えたんですけどね。」ダンサン


「それでも 担当者として 説得して来いって 送り返されてきたの?」みーちゃん


「そうなんです。

 それでですね、ダンジョンの職員をミーちゃんが個人で雇って

 普通に 地上の建材を使った家を、

 ミーちゃんが買い取った地上の土地に建てて

 職員に貸し付けるってのはどうです?


 ダン菅本部としては、将来への期待をつなぎつつ

 とりあえず、今回は地上の開発まで ミーちゃんが個人資産を使って

 手がけることになったというところで妥協するということで」


そう言ってダンサンは、現在のみーちゃんの個人財産(ミーちゃんがダンジョンマスターになる前に所有していた地上の家などの資産とダンジョンマスターとして稼いだ資金)と、

ダン菅から土地を買い取る経費&ミーちゃんが手配して宿舎を建てる場合の諸経費と維持費等の見積もりを手渡した。


もちろん ダン菅本部での会議録も添えて。


実のところ、ダンサンは 今回、ダン菅に出向く前に、ダン菅本部から提案されるであろうことを想定して 本部との交渉内容をみーちゃんとシュミレーションしていたのである。


「毎回、あなたの読みは当たるわね。


 それに、よくもまあ 大陸にある部材を使って宿舎を建てる場合と

 ダンジョン生成物を使って建築する場合の予算・期間などの見通し両方を調べたものね」

みーちゃんは ダンサンから手渡された資料を見てから言った。


「あー、部長がね、大陸にある部材を使って建築する場合の費用総額を見れば、素直にダンジョン生成物を使う気になるんじゃないかと言って、見積書をくれたんですよ」ダンサン


「でもさ、新築する場合は 天文学的費用になるけど

 移築する場合は 私の個人財産でまかなえる範囲におさまっているわね」


ダンサンは含み笑いをしながら言った。

「それね、馬術競技大会を開いた時の資料を見なおして、思いついたんですよ。


 大陸間の移動を、地上、正確には空輸した場合のコストは天文学的費用になりますけど、

 ダン菅から一度ダンジョン内に転移させて、そこから地上に送ればかなり割安になります。


 そのために 旧態以前のエレベーターに代えて

 すでにミーちゃんが特許をお持ちの「新方式限定転移陣」の利用を提案したところ

 実験許可が出ました。


 というわけで、『実証実験のために、職員宿舎を移築する(試案)』の場合には、その費用を、ダン菅が負担することになりました」


「えっ!その費用には、資材及びその移送費用だけでなく、土地取得費用や建築費その他諸経費も含まれるの?」みーちゃん


「その点に関する詳細は後日につめることにして

 とりあえずは、みーちゃんが ダンジョン上部の地上を購入する費用と転移陣設置費用は

 ダン菅がみーちゃんに支給する実験奨励金とで相殺するということまでは

 承認をもぎ取ってきました。」ダンサン


「すごい!

 これって、私からダンサンに 報奨金を支払わねばならないほどの働きではありませんか!


 あ、でも その建物って職員宿舎限定なのかしら?自由設計できるのかな?


 それに、この話の流れだと、ダンジョンの一部に職員を置くことが規定路線のようなんだけど

 それって おかしくない?


 つい タダと言うところに目がくらんでしまったけど」みーちゃん

  


「残念ながら 私はダン菅職員ですから、ミーちゃんから報奨を頂くことはできません。

 ですが、私はダン菅職員として これからもマスターをサポートします。

 

 あと 地上部の建物については、職員宿舎でなくても、

ミーちゃんの好きな建造物を選んで、好きなように使えばいいんです。

その場合は 建物の取得費用と ダン菅までの運送費用はミーちゃんの個人負担になりますけど。


 あと マスターが個人でダンジョン職員を雇用する場合の条件については、このあとご説明します。


「なるほど」みーちゃん

次は 明日12日 朝8時公開です

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